「みんなが待っていたC大阪のサッカーというのを、今日は選手が存分に楽しんでやってくれた」とレヴィークルピ監督が称えれば、「本来我々が求めているサッカーを、見せることができた」(シンプリシオ)と、選手たちも胸を張るような戦いを示すことができたC大阪。この第26節では、ホームで清水に3-2と競り勝ち、勝点を32に伸ばして、J1残留のための大きな1勝を手に入れた。
C大阪にとって9月22日は、本当に大事な1日だった。1994年、95年にC大阪でプレー、Jリーグ昇格などに貢献し、現役引退後も育成組織やスクールの指導者としてC大阪の発展に尽力された久高友雄さんが、36歳の若さで急逝されたのが、13年前のちょうどこの日。そして、久高さんの命日に、初めてホームゲームが行われることになったのだ。それだけに、なんとしてもクラブとして白星で飾りたいという思いは強かった。
前節、名古屋に苦杯をなめさせられ、16位との勝点差も4に縮まったC大阪。さらに、キックオフ前や試合中には残留争いのライバルである大宮、G大阪がそれぞれ大勝している結果も伝わり、さらなるプレッシャーがかかったが、桜色の戦士たちは、開始直後から、ピッチ上で本来あるべき「レヴィーセレッソ」らしいサッカーで躍動した。いい意味でも、よくない意味でも。
まず、よくない意味とは、前半立ち上がりのPK献上と、後半のセットプレーからの失点。どちらも、一瞬の隙から与えたものだった。早々にケンペスに2度の決定機がありながら、シュートがポスト直撃など決めきれずにいると、ファウルでPKを献上。押していたはずが、逆にPKを大前元紀に決められ、10分経たないうちに、1点ビハインドからのスタートになった。
2-1として、主導権を持って迎えた後半も、さらなる追加点奪取へ向かっていた矢先、ペナルティーエリア手前でのファウルでFKを与えると、これをアレックスに鮮やかに決められ、同点に。しかも、清水のシュートの数は、この2本と金賢聖の1本の、計3本のみ。清水にとっては効率がよく、C大阪にとってはもったいない失点が続いた。
しかし、それ以外では、冒頭にも述べたように、C大阪のいい意味での「らしさ」が前面に出ていた。移籍後初先発したヘベルチや、丸橋祐介の左サイドを軸に、小気味いいパス回しや、サイドからのクロスで攻め立てると、20分には丸橋の左クロスに、ケンペスがダイビングヘッドで同点弾。前半終了間際には扇原貴宏の絶妙クロスフィードから、右サイドペナルティーエリアでヘベルチが巧みにキープしながら折り返すと、飛び込んできた山口螢がシュート。一旦は清水GK山本海人に弾かれたが、こぼれ球にすぐさま反応したのは、C大阪の若きエース、柿谷曜一朗。右足で軽くゴール上部へ流し込み、逆転に成功。これがC大阪ホームJ1通算400得点というメモリアルなゴールとなった。柿谷は両手を天に指し、久高さんへゴールを捧げるポーズをとった。
そして、勝負を決めたのは、2-2で迎えた終盤の88分。スローインから素早く攻めると、途中出場の杉本健勇が左サイドから右足で「感覚であげた」というクロスを送る。これに反応したのが、ボランチの位置から飛び込んできた、シンプリシオ。ダイレクトで右足を合わせると、ボールはGK山本の股間を抜け、きれいにネットへと吸い込まれた。その瞬間、スタジアムは熱狂のるつぼと化し、ピッチではC大阪イレブンが喜びを身体いっぱいで表現。結局、この1点を守りきり、C大阪は価値ある勝利を収めた。
これで13位・神戸との差を1に縮めたC大阪。次節は、その神戸との直接対決を迎える。「神戸に勝って、しっかり順位を入れ替えられるようにしたい」と藤本康太が言えば、「ここから全部重要な試合になる。勝てば上に行くし、負ければ下に行くという状況なので、勝つことだけを考えて、次は戦っていきたい」と杉本も述べるなど、C大阪イレブンは残り試合での必勝を誓っていた。
逆に、清水としては、「我々が一番ひどいものを出してしまったように思う」とアフシンゴドビ監督も振り返るように、ゴールシーン以外は、ほとんどと言っていいほど見せ場を作ることはできず。ハーフタイム時には「前半については話しをしない。腹が立つだけだ。使えない!」という指揮官の厳しい叱咤が出るほどで、後半、アレックスのFKで一時振り出しに戻したが、結局は前後半の終了間際の失点に泣いた。
「C大阪に携わってきた偉大な先輩だし、今日ホームで試合があるというのも、何か運命的なものもあると思う。面識はないのですが、久高さんがこのチームを勝たせてくれたというくらいのものも、今日の試合ではあると思う」と語った藤本。天国で見守ってくれた久高さんとともに、2012年9月22日、C大阪は記憶に残る、大きな勝利を飾った。
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2012.09.23 Reported by 前田敏勝















