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【J2:第35節 横浜FC vs 徳島】レポート:ワンチャンスをモノにした横浜FCが、福島のサポーターに勝負へのこだわりと粘り強さという大事なメッセージを残した(12.09.24)

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試合後の横浜FC・山口素弘監督の記者会見コメントで「粘り強い」という言葉が4度も登場した。横浜FCのサッカーの売りは、ポゼッションとパスワークで相手を切り崩すところにあるが、Jリーグも終盤に差し掛かり、お互いの研究が進む中で自分の良いところが出せないことも多い。そういう苦境の中で、勝点3を得るために粘り強さを前面に出すことは、サッカーにおいて必要なもう1つの要素である。粘り強さは、復興に立ち上がる福島の人たち、そしてその福島を応援する日本全体に必要なものであり、この試合の横浜FCの戦いは、その大事さをメッセージとして残した。

朝から降り続く強い雨の中、横浜FCと徳島の両チームともピッチコンディションによるリスクを計算しながらの立ち上がりとなるが、前半ペースを握ったのは徳島。ドウグラスとアレックスをシンプルに使う狙いが功を奏する。横浜FCのセンターバックのマークが若干弱かった上に、徳島のボランチ、特に上里一将を自由にさせる場面を多く作ってしまい、2トップへのロングボールのこぼれ球を徳島が拾う展開が続いた。

しかし、この徳島ペースを最終ラインが粘りを見せて防ぐと、徐々に横浜FCが自己修復力を見せる。まずは、スタートは左に高地系治、右に小野瀬康介だったサイドハーフの左右を変えることで、起点になりかけていた徳島の右SBの平島崇の上がりを押さえる。さらに、「相手のボランチにプレッシャーを掛けることができなくて、試合中に選手の間で話をして修正してからはリズムを作ることができた」と寺田紳一が振り返ったように、徳島の攻撃パターンを分析し、その対応を取っていく。その結果、20分を過ぎたあたりからは、横浜FCがパスワークを見せる時間も増え始める。そして、41分、大久保が奪ったボールを右サイドに展開、クロスは一度跳ね返されるが、再び寺田が持ち替えてクロスを入れると、カイオのヘディングシュートは徳島DFに当たってコースが変わってゴールイン。前半押し込まれていた横浜FCが相手の隙を突いて先制をして前半を折り返す。

後半に入ると、横浜FCはペ スンジンを投入し、徳島の2トップを抑えに掛かるとともに、中盤の配置を修正し徳島のボランチへのプレッシャーを強化。この策が効果を発揮し、徳島の攻撃の芽を摘んでいく。徳島も70分にジオゴ、76分に花井聖と徳重隆明を入れて攻撃の形を変えていくが、横浜FCも76分に中里崇宏を投入し守備に重点を置くと、さらに82分には野崎陽介を入れ大久保哲哉を右サイドにする4-2-3-1のようなフォーメーションで徳島の左サイド那須川将大を抑える理詰めの采配を見せる。徳島が打つ手に対して、横浜FCがしっかりとその手を抑える展開で、前半は両チームで14本あったシュートが、後半は5本に。横浜FCの自己修復力、最終ラインでの粘り、そして効果的な采配がかみ合い、局面だけでなくチームとしての粘りを見せつける形で徳島を下すことに成功。順位を7位に上げるとともに、福島で三度目の正直となる初勝利を挙げた。

横浜FCにとっては、目指すサッカーをできた時間は少なかったが、一方でチームとしての強さ、しなやかさを見せた試合でもあった。選手の口からは、前半回される時間が多かった点についての反省が多く聞かれたが、押し込まれた時間で失点せずに、自らのペースに持ち込む強さは本当の意味での「粘り強さ」。反省点は次の試合に活かす必要はあるが、チームとしての成長を感じさせる試合だった。

一方の徳島としては、横浜FCに対応をされてから、攻撃のバリエーションを出せなかった点が敗戦につながってしまった。ドウグラス、アレックスが抑えられたとき、どのように勢いを出していくのか。小林伸二監督は「正確につなぐ、正確に合わせないといけないでなくて、ある程度タイミングがいいところで合わせる、合えばいいし、合わなければセカンドボールを拾うというメリハリに欠けていた」と振り返ったが、二の矢、三の矢を繰り出すためのチームとしての動き方の追求が課題として残った。

非常に強い雨が降り続いたが、試合後、選手の口からは「すばらしいピッチだった」という言葉が残された。ボールがピッチ上で止まることはなく、サッカーの醍醐味は存分に表現された。この試合のために最高の準備をしていただいた福島の方に感謝をするとともに、天候が悪い中駆けつけていただいた5,173人のお客様にも深く感謝をしたい。そして、試合前、試合中、そして試合後に選手を見た福島の子供、そして大人の口からは感激の言葉が漏れていた。福島の方々のホスピタリティ、そして両クラブとJリーグが福島に残したメッセージの交流は間違いなく成功だった。改めて、この福島開催は、すばらしい機会だったと思う。

以上

2012.09.24 Reported by 松尾真一郎
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