両者とも、前節はショッキングな黒星となった。逆転優勝のため必勝を期して鳥栖へ乗り込んだ柏は、序盤から圧倒的にゲームを支配しながら、前半終了間際に自分たちのミス絡みで立て続けに2ゴールを奪われ、終わってみれば1−3の完敗を喫した。一方の浦和もG大阪をホームに迎えた一戦では、相手攻撃に成す術なく守備網を切り崩され、0−5の大敗となった。
率いる指揮官は、柏がネルシーニョ監督、浦和がペトロヴィッチ監督だ。Jリーグでも屈指の名将が指揮するチームだけに、本来は戦術的なベースが確立されているはずだが、それでも喫した大量失点での黒星には、もちろん戦術面の確認、問題点の修正も大事だが、敗戦のショックを次の試合に引きずらないメンタル面の切り替えこそ、最も重要な要素になる。
そして、そのメンタル面の問題をクリアしたことを前提に話を進めていきたい。
この2カ月間、柏は思うような結果を残していないが、実はレアンドロ ドミンゲスとジョルジ ワグネルのブラジリアン・デュオの調子は非常に良い。したがって今回のキーマンも、この2人のブラジル人選手になることは間違いない。第2節の前回対戦時は、阿部勇樹がレアンドロを徹底的にマークし、その神通力を封じることに成功したが、浦和とG大阪の試合を踏まえて、工藤壮人は「浦和はボールウォッチャーになるケースが多く、意外とバイタルエリアにスペースを空ける」と分析する。ボールを持ったレアンドロが敵陣深く入り込めば、浦和のマーキングは必ず引き付けられる。そこで2、3人を食い付かせ、空いた裏のスペースに他の選手が飛び出すというのが柏にとっては理想的な展開だろう。つまりレアンドロ、及びジョルジを囮に使い、他のアタッカーがゴールを奪うというシナリオだ。
だがここで問題がある。最近の柏はレアンドロやジョルジが作ったチャンスをことごとく逃し、結局得点源はレアンドロの個人技頼みになりつつある。そこに加えて浦和のシステムは3−4−3と特殊。これは両ウイングバックが下がれば5バックでスペースが潰されてしまうため、口で言うほどスペースを見出すことは容易な作業ではない。スペースを潰されてしまえば、浦和の守備を攻略できずに敗れた第2節の二の舞にもなりかねないだろう。
また、紅白戦は非公開の練習日に行うのが常であったが、ネルシーニョ監督は水曜日にも紅白戦を行う異例のメニューを組んだ。鳥栖戦のメンバーを主体に、田中順也、水野晃樹らを主力組で試すなど、百戦錬磨の智将は浦和戦に臨むベストの布陣を模索している。攻撃陣へのテコ入れは十分に考えられる。
前回対戦では、引いてガッチリ守る策が奏功した浦和だが、それは開幕直後で、しかもペトロヴィッチ監督就任直後ということもあり、現在とは置かれている状況が異なる。浦和の強みは多彩な攻撃にある。対峙する柏の守備は、遅攻には強いが、ロングボールを多用したシンプルな攻撃には意外と脆い。おそらくペトロヴィッチ監督のこと、現在の柏のウィークポイントに関しては、スカウティング済みだと見ている。ウィークポイントを的確に突き、手数をかけず、速く、シンプルに、浦和が攻撃を仕掛けていくのか。それともビルドアップをしながら、柏が敷くコンパクトなゾーンを崩しにかかるのか。浦和の出方にも注目だ。
様々な局面で策を講じるネルシーニョ監督とペトロヴィッチ監督、この2人の名将の采配と、前節露呈した弱点をこの1週間でどこまで克服できているのか、選手たちの修正力が問われる一戦。ただ、先ほども述べたが、これはあくまでメンタル面の問題をクリアできている場合の話である。どちらかが、前節のダメージを引きずるようであれば、また目を覆いたくなるような試合展開になる可能性も否めない。
以上
2012.09.28 Reported by 鈴木潤
J’s GOALニュース
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