首位・広島との勝点差が12に開いたが、まだまだACL出場も含めて夢をあきらめていない清水。それに対して、首位との勝点差がわずか2ポイントで、悲願の初タイトル獲得に向けてモチベーションは高まるばかりの仙台。仙台にとっては鬼門のアウスタで、お互いに絶対に負けられない戦いが始まろうとしている。
そんな大事な戦いを前にして、今週清水ではチーム内に大きな動きがあった。試合前日になって攻撃の柱であるアレックスのアル アインFC(UAE)への完全移籍が発表され、キャプテン小野伸二のオーストラリアへの移籍も可能性が高まっているのだ。ただ、それによってチーム力が大きく低下するという心配はない。もちろん、戦力的には大きな痛手だが、若手の成長によってその穴を補う力を備えつつあり、選手たちも心の準備ができているからだ。
高木俊幸と吉田豊がケガから復帰してきたことも大きなプラス要素だ。今節でいきなり先発起用されるかどうかはわからないが、出場時間が限られていたとしても、何かやってくれそうな期待感を持たせてくれる選手たちだ。また、今節は村松大輔が出場停止になるため、8月からチームに加わった三吉聖王がボランチとして初先発する可能性が出てきている。いきなりの出場で不安を持つファンもいるかもしれないが、アルゼンチンやウルグアイの厳しい環境でもまれてきた三吉は、そういう面では非常に鍛えられている。
「向こうでも、なかなか使ってもらえなかった中でケガ人が出て急に出番が来て、そこでチャンスを生かしてポジションをつかんだということが何度かありました。エスパルスに来て過去の試合も観て、ボランチやセンターバック、サイドバックの役割は整理できているので、混乱することはないだろうし、もし出番があれば、しっかり仕事するだけの経験はあると思っています。自分の場合は本当に生活がかかっているので、勝つためにやるべきことを全力でやるだけです」と、三吉本人の言葉も頼もしい。もし彼の先発起用があれば、ひとつ大きな注目点になるだろう。
もちろん、復帰してきた選手や新戦力に限らず、清水としてはすべての選手が自分の力をしっかりと出せるかどうかという部分がもっとも重要になる。前節のC大阪戦では、それができなかったことによって、チームとしても機能せず、「今年初めて、相手にプレー内容で上回られた試合だった」(ゴトビ監督)という敗戦になってしまった。そのため、個人個人がしっかりとハードワークするというのが大前提になり、そのうえで「もっと結束しないといけない。C大阪戦では11人が個々で戦っていたところがあるので、しっかりとチームとして戦わないといけない」(ヨン ア ピン)という部分が求められる。
それができれば、仙台が相手であっても主導権を握る時間を作れるはずだし、チャンスも作れるだろう。もちろん、仙台の守備は非常にタイトなので、その中でいかに最後の仕上げができるのか。まだ清水での初ゴールがない金賢聖や、エースの大前元紀をはじめ、決めるべき人がしっかりと決めきれるかどうかが、勝敗を分ける大きなポイントになる。
対する仙台は、25節の首位決戦には惜しくも敗れ、前節の神戸戦でも非常に苦戦したが、終了間際の劇的な鎌田次郎のゴールで逆転勝ちし、チームの士気は非常に高くなっている。ここまでわずか4敗という安定した成績にも表われているように、チームとしての完成度は非常に高く、安定した守備をベースに、取るべきところで点を取る力も、チームとしての決定力も高いものを持っている。
とくに、前節の決勝ゴールをはじめとして終盤の得点が非常に多いことが大きな強みだ。前半の残り15分(8得点)と後半の残り15分(14得点)を合わせて22得点を挙げており、それは総得点(46点)の約半分を占める。逆に清水はその時間帯の失点が多いことが課題となっている。
選手たちが疲れて集中力が低下していた時間帯には、仙台が得意とするセットプレーやカウンターが大きな威力を発揮する。一方、若い選手が中心の清水は、そこをしぶとく(あるいはうまくごまかしながら)しのぐという経験が不足している。そう考えると、ここは仙台がアウェイでも優位に立てる要素と言えるが、そこで清水が踏ん張り切れれば、勝利の可能性は大いに高まる。いずれにしても、勝敗を大きく左右する要素にはなるはずだ。
また、お互いにハードワークが身上のチーム同士だけに、暑さが残る中での13時キックオフでどちらが走りきれるかという部分も大きな見どころ。おそらく主導権は行ったり来たりするだろうが、清水としてはより多くパスを回し、仙台をできるだけ消耗させたいところだ。
見どころは非常に多いが、勝敗を予想するのは非常に難しい一戦。当然、最終的には精神面が非常に大きなウェイトを占めるだろう。仙台は対戦成績の悪い清水に対して、苦手意識なく戦えるのか、清水は最後の最後まで高い集中力を保ちきれるか。本当にスリリングで一瞬も目を離せない戦いになることは間違いない。
以上
2012.09.28 Reported by 前島芳雄
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