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【J1:第27節 大宮 vs 横浜FM】レポート:怒濤の横浜FM、10人の大宮。勝点1をつかみ取った魂のディフェンス(12.09.30)

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16時キックオフのこの試合、大宮は勝点3を取る必要に迫られていた。14時キックオフの試合で、残留争いのライバルである17位の新潟が5−0の勝利。これで勝点差を1と詰められただけでなく、前節で札幌に5−0で勝利して得失点差を大きく挽回したことさえチャラになった。さらに、背中を追うべき14位のC大阪が、神戸相手に2点リードされながら試合を引っくり返し、勝点3を上積みした。勝点差2で16位のG大阪は同時刻キックオフだが、レアンドロがFWに君臨しての爆発力を、前節に浦和を5−0で葬った強さを考えると、やはり大宮はこの横浜FM戦で勝点3を取らなければ再び降格圏に突入もあり得る――選手たちが知っていたかはともかく、西陽を受けてどこかのんびりして見える横浜FMゴール裏を除き、オレンジのスタンドはどこか張りつめた空気が漂っていた。

試合の入り方は悪くなかった。互いにこれまでとは違うメンバー構成。マルキーニョス不在の横浜FMは予想通り小野裕二がワントップに入り、大宮はケガや代表招集でなかなかコンディションが上がらなかったズラタンを左サイドハーフに起用した。5分にそのズラタンからチャンスが生まれる。ノヴァコヴィッチとのコンビネーションで左サイドを崩し、中央の東 慶悟がキーパーと1対1になりかけたが、必死に絞ってきたドゥトラに潰された。その直後にもズラタンの粘りから、下平 匠がペナルティエリア内に侵入してクロスを送った。試合前に「相手はサイドバックが高い位置に出てくるので、奪ったらその裏がチャンスになる」と渡部大輔が話したように、逆サイドでもカルリーニョスがドゥトラの裏へ素晴らしいボールを送り、東と村上和弘がチャンスを1つずつ作った。そのうち12分の村上和弘のポストに嫌われたシュートがもう少し内側に飛んでいれば、ゲームはどう動いたか分からない。
ただし、大宮が良かったのはここまでだった。横浜FMは富澤清太郎と熊谷アンドリューのダブルボランチの出来が素晴らしい。鋭い出足で大宮のダブルボランチにプレッシャーをかけ、パスコースを消し、大宮の攻撃の起点となる東にも自由を与えなかった。ボランチ2人の出来に引っ張られるように、横浜FMは最終ラインを高く保ち、ラインを高く保つことで裏へのボールの出所にトップや2列目がしっかりプレッシャーをかけることができた。
対照的に大宮は、ボールを奪っても横浜FMのプレッシャーですぐ奪い返されてしまうことで、なかなかラインを押し上げられなかった。ボランチも「DFラインとの距離を気にしすぎて下がってしまい、相手のボランチにプレスに行けなかった」(金澤 慎)ことで、横浜FMとは逆に前からプレスに行けず、全体がズルズルと下がってしまった。選手同士の距離が遠く、セカンドボールも拾えず、最も警戒すべき中村俊輔を自由にプレーさせてしまう。前半も半ばには完全に横浜FMに主導権を握られ、自陣に押し込まれっぱなしになっていった。小野に訪れた前半の2度の決定機のいずれかが決まっていれば、試合もほぼ決まっていただろう。劣勢の大宮は45分にズラタンが齋藤 学のドリブルに後ろから足をかけ、この日最初のイエローカードをもらった。

後半、ボランチが「下がらずに相手のボランチにプレッシャーに行くようにした」(金澤)ことで大宮は流れを取り戻そうとし、立ち上がりから激しいカウンターの応酬となった。49分には自陣から一気に東が縦パスを受けて持ち上がり、ディフェンダーを引きつけてノヴァコヴィッチにラストパスを送るが、強烈な左足のシュートはクロスバーに弾かれた。しかし53分に小野の突破からペナルティエリア内で連続シュートを許すと、地力に勝る横浜FMに再び押し込まれる。そして62分、トラップミスを齋藤に奪われたズラタンが、齋藤を後ろから追いかけて倒し、2枚目のイエローで退場すると、横浜FMにとっては「1点取れば終わっていた試合」(栗原勇蔵)になった。
大宮はもはや、“残留争いのことを考えると、何が何でも勝点3”などと言っていられなくなった。勝てないまでも、負けないために全員でゴールに鍵をかけた。横浜FMは両サイドバックを前線まで進出させ、齋藤や途中出場の松本怜と数的優位を作って中央にボールを供給し、中村が、小野が、至近距離から次々にシュートを放つが、大宮もペナルティエリア内に7〜8枚が人壁を築き、菊地光将、河本裕之、金澤らがシュートを身体で跳ね返し、最後の砦・北野貴之が神がかった反応でゴールを割らせない。横浜FMの怒濤の攻撃を後押しするアウェイゴール裏の声援と、大宮の魂のディフェンスを支える祈りを込めたホームの声援が交錯する。アディショナルタイムは4分。49分に松本翔のシュート性のクロスにファーで飛び込んだ富澤の足はわずかに届かず、大宮は勝点1を得て、横浜FMは勝点2を失った。

渡邉大剛が「5点取られてもおかしくなかった」と感じた通り、横浜FMはそれだけの決定機を作った。ただ、フィニッシャーがいなかったことが横浜FMにとっての不幸であり、大宮にとっては幸いだった。皮肉にも、このゲームで最も存在感の大きかった選手は、出場していなかったマルキーニョスだったかもしれない。
残留争いを考えれば、この引き分けは大宮にとって“勝ちに等しい”とは言えないが、劣勢の中で全員が心を一つにし、身体を張って勝点1を取りきったことは、勝点1以上に大きな収穫と言える。ノヴァコヴィッチの退場によって同様の戦いを演じた第24節のさいたまダービー以来、これで4戦負けなし。下位との差は詰まったが、悲観する必要はない。魂のディフェンスある限り、大宮はJ1とともにある。

以上

2012.09.30 Reported by 芥川和久
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