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【J1:第27節 川崎F vs 札幌】レポート:じれること無く戦い続けた川崎Fが、試合終盤の決勝点で札幌を下す。粘りながらも敗れた札幌は降格圏が確定(12.09.30)

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鬱積していた感情が大きければ大きいほど、解き放たれた時の衝動は強度を増す。レナトのシュートが高原寿康が守るゴールを突き破った刹那、等々力は地鳴りのような歓喜の声で埋め尽くされた。川崎Fが強いられた79分間の忍耐の報酬として、それは正当なものだった。

最下位札幌をホームに迎えた川崎Fは、ボール支配率で圧倒する試合を見せる。風間八宏監督の就任以来磨いてきたショートパスはもちろん、時にはロングパスも織り交ぜて札幌を押しこみ、次々と札幌ゴールに襲いかかり、シュートチャンスを伺った。

「失点を減らしていこうという形でゲームに入った」と大宮戦に引き続き採用した3バックの理由を述べる石崎信弘監督は「選手自身が体を張って本当に勝ちたいという気持ちで戦った」と選手たちの奮闘を評価する。札幌の集中の切れていない前半は、川崎Fが押し込んでいるように見えて、実は効果的なシュートはそれほど多くない展開となる。

守備のリズムを掴んだチームは守れる。そういう意味で、川崎Fが焦りを感じていておかしくはなかった。ただ、その点については試合前に風間監督がうまく心理マネージメントを施していたという。

「試合が始まる前に、簡単な相手ではないということ。それから相手に左右されないということ。自分たちが何をするべきか、しっかり頭の中で思考してからゲームに入るように。90分間でしっかり勝点を取ればいいと、という話をしました」

先制する時間帯が遅れたとしても、それで焦ることはない。試合は90分間あり、その時間の中で決めればいいのだということを試合前に言い含められ、川崎Fの選手たちは戦いに臨んでいた。だから試合後の選手たちからは、口々に「じれずにやれた」という言葉が出てきた。例えば中村憲剛。

「じれずにやり切ることが大事だった。前半のうちに1点取れていたらとは思いましたが、半分終わった(前半を終えて0−0だった)ので、我慢の勝負かなと思いました」

また、驚異的な心肺能力に支えられ試合を通して積極的な攻撃参加を見せていた田中裕介も「前半で1点とれていればもっと楽に支配できていたと思います。じれずに戦った結果、点を取れました」と述べている。

0−0のまま79分まで推移していたとして、そしてその試合でほとんど効果的な攻撃を受けず、その一方で圧倒的にシュートを打ち続ける中、川崎Fの選手たちに焦りの感情はなかった。札幌と川崎Fの戦い方や順位を公平に見て想定される戦いを踏まえた指示が、選手たちを落ちつけたのである。だからこそ、焦りに起因する自滅的なミスもなく、落ち着いて試合を最後まで進める事ができたのだろう。風間監督の言葉が選手たちに前向きな影響を残している証拠であろう。

この試合を前に大宮が引き分け、新潟が勝利したことで、札幌がこの試合での降格圏決定を免れるには勝点1以上を手にする必要があった。そんな背景の中、勝点に対する気迫は立ち上がりの攻撃として見られる事となる。前半9分には右サイドの古田寛幸からのクロスを中央に飛び込んだ内村圭宏が貪欲に狙う。11分にはペナルティエリア内で山本真希がシュートを放つが、わずかに枠をそれた。守備的な意識を高く持つ一方、状況を判断して攻めに転じようとするその姿勢は、その攻撃が決まっていれば勝点を大きくたぐり寄せるものになっていたはずだ。しかし、25分のハモンのシュートも杉山力裕のファインセーブに跳ね返される。

0−0で折り返した後半になっても平常心のままゴールを狙う川崎Fの攻撃を受け続け、結果的に札幌は持ちこたえられなかった。それでも先制された試合終盤には1点を跳ね返そうと気迫の攻めを見せたが、88分の上原慎也のシュートも杉山に弾き出されて万事休す。「守っている時間が長いとどうしても失点してしまう」と石崎監督は試合を振り返るが、そうした状況を打破するために必要なものが攻撃であり、それが「短すぎると思う」と述べて降格圏が確定した残り7試合もそれを改善すべく戦うのだと口にしている。

J1に昇格した今季、なかなか勝てないシーズンだったが、それでも毎試合、どこの試合会場にもチームを鼓舞するサポーターの姿があった。そんなサポーターからは、敗戦後に挨拶に来た選手たちを前に「悔しい思いばかりしてきたけど、好きだから応援するしかない。だから最後までがんばろう」との声が出ていた。サポーターかくありき、という言葉だったように思う。

7月28日以来のホームでのリーグ戦の勝利となった川崎Fに対し風間監督は「勝つことに対してブレずに、目標を達成してくれた。そこでまた1つ段階が上がったかなと思います」と述べている。勝ち切れない日々が続いていたが、その中で選手たちは監督の言葉にも支えられ、ブレること無くサッカーを磨き続けた。勝ち星は少ないが、それでも気が付けば11位川崎Fと4位磐田との勝点差はわずかに3。まだまだ上位は狙える状況である。そして、少しでも高い順位でシーズンを終えるために、これからも勝ち続ける事が求められる。そのためにも、この日の勝利は大きな意義があるように思う。

なおこの試合には、川崎Fが東日本大震災に対する復興支援の一環として開催した「第2回陸前高田川崎修学旅行」の参加者が訪れていた。昨年の1回目の修学旅行ではノーゴールでの敗戦と悔しい思いをしていただけに、そのリベンジを果たす大きな一戦ともなっている。

以上

2012.09.30 Reported by 江藤高志
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