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【J1:第27節 柏 vs 浦和】レポート:“優勝する資格”を示した浦和、執念の逆転劇。柏は依然として不振から抜け出せず(12.09.30)

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浦和は的確に柏のウィークポイントを突いた。まず阿部勇樹が最終ラインに降り、永田充、坪井慶介、槙野智章と幅を使ったビルドアップを展開すると、柏の前線はプレスに行く的がどうしても絞りにくくなる。工藤壮人、田中順也がビルドアップの起点となる阿部に引き付けられれば、中盤で浮く柏木陽介に預けてそこから攻撃を展開するか、マークの緩さに乗じて永田がドリブルで持ち上がる。そこで柏がバランスを崩すと、一気に両ワイドに張る平川忠亮、宇賀神友弥へサイドチェンジを仕掛け、陣形を大きく揺さぶる。
この浦和の出方を柏も想定していたというが、大谷秀和と栗澤僚一が浦和の2シャドーを、近藤直也と那須大亮が1トップを見るということ以外は、全体的に誰が誰のマークをするのかが曖昧だった。特に前線の2人、工藤はセンターバックへ寄せるには寄せるのだが、DFの縦への突破に対しては緩い場面が目立ち、柏木をケアするタスクを与えられていた田中も、役目を全うできずに相手を終始泳がせてしまった。それによって後方のマークにズレが生じ、綻びが発生するのはある意味当然である。

レアンドロ ドミンゲスの交代も大きなポイントだった。2、3人のマーカーをも振り切るドリブル突破が可能なアタッカーにスペースを与えることは、浦和にとっては致命傷となる。そうなれば阿部も永田も槙野もそう容易には攻め上がれなかったはずだった。しかし31分のレアンドロの負傷退場によって、柏の攻撃には推進力がなくなり、浦和にとってはより守りやすい状況となった。
15分にセットプレーから柏が先制したが、レアンドロの交代を機に圧力を強めた浦和も、39分に右ワイドに張る平川がチャンスを作り出し、最後はこぼれ球を詰めた梅崎司が同点弾を叩き込んだ。

「(水野)晃樹とジョルジ(ワグネル)が中へ絞り、入ってきた選手に対応し、中央で浮いていた柏木には澤がマンツーマン気味に付いて対応した」(ネルシーニョ監督)。後半から投入された澤昌克が守備のタスクをこなし、柏はボランチと最終ラインがブロックを形成する。縦パスが入った瞬間に潰す。後半の柏の守備はそれぞれの役割が明確化し、前半のようにバランスを崩すシーンが激減した。
「相手がしっかり守備をしているところを仕掛けていくのは簡単ではない。相手はミスを誘ってカウンターを狙っている」(ペトロヴィッチ監督)。ボールを保持する浦和のミスを突き、柏が狙い通りカウンターからチャンスを作り出す。この日、工藤は両チームを通じて最多となる7本のシュートを放った。そのうち3本はゴールネットを揺らしてもおかしくはない場面だったが、そのチャンスをことごとく逸した。
全体的な試合の流れでは1−1の引き分けは妥当に思えた。ところが試合は、思いもよらない結末を迎える。後半アディショナルタイムの柏のセットプレー。浦和のGK加藤順大はボールをキャッチすると、すかさず前線へロングスローを送った。矢島慎也と大谷が競り合い、ボールがこぼれる。特に処理の難しいボールだったわけではないが、栗澤と稲田康志との間に連携ミスが生じた。栗澤がクリアをしようとしたにも関わらず、稲田が判断を誤り、前へ飛び出してしまう。最後はクリアボールを弾き返したポポのシュートが無人のゴールへ吸い込まれていった。
一見、単なるミスにも見えるが、「始めにバウンドした瞬間に間に合うと思い、ボールに届くと思って信じて走った」というポポの諦めない気持ちがあったからこそ、柏の連携ミスを誘発させたとも言える。スペクタクルとは程遠い、泥臭さ満載のゴールだ。ただし、どのような形であっても最後の最後で勝ち切れるチームには必ず“何か”がある。そしてその”何か”が、最終的に優勝を手繰り寄せていく。試合の運び方も見事だったが、同時に浦和が優勝する資格を持ったチームであることを示す1勝でもあった。

一方、チャンスに決め切れず、レアンドロ不在では攻め手を欠き、ミスから失点して敗戦を喫す。柏の不振の要因が凝縮された試合となり、もはやそれが深刻レベルであることは明らかだ。「良い試合はできているが、今は勝つチームかと言われれば、何かが足りない」(澤)。細かいことを指摘したらキリがないが、その足りないものは一体何か、多くの人は薄々感づいているのではないだろうか。時にはプレーで、時には言動でチームを鼓舞し、奮い立たせることのできる存在が、今のチームにはいないということを。

以上

2012.09.30 Reported by 鈴木潤
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