新潟が5-0で名古屋を下し、残留に向けて大きな勝点3を挙げた。後半11分、ミシェウがPKを決めて先制すると、これを皮切りに合計5得点。J1昇格後のチーム史上最多得点で勝点を伸ばした。中でも左サイドバックの金珍洙が2アシストなど、3得点に絡む活躍を見せた。名古屋は立ち上がりこそポゼッションを高めたが、後半に入ると新潟の勢いに飲まれ、劣勢のまま試合を終えた。
金のもとに、チームメートが3度と集まった。最初は後半11分。田中亜土夢の縦パスに反応して、ペナルティーエリア内の左でボールを受けたところで倒され、PKをゲットしたときだ。2度目はその8分後、左サイドの突破から体勢を崩しながらもクロスを入れ、ミシェウの2得点目をアシストした場面。最後は後半45分、左サイドで丁寧なパスを出し、ブルーノ・ロペスのミドルシュートをお膳立てした。
「得点にたくさん絡むことができてうれしい」と自然と笑顔に。特に2点目は「練習通りのアシスト」だった。左サイド深くから、正確に折り返す。これまでは早くクロスを入れようと頭の中がいっぱいだった。この日は「柳下監督のアドバイス通り、落ち着いてボールを入れられた」。クロスを入れる前に意識して周囲を見るようにした。すると中央で待機するミシェウが視界に入った。冷静なプレーが試合の流れを決定付けるゴールのアシストにつながった。
6月に右ひざ半月板を痛めた。母国の韓国に一時帰国して治療するなど、長期離脱を余儀なくされた。9月9日の天皇杯・福井戦で復帰すると、前々節のG大阪戦、前節の磐田戦とスタメン出場した。本格的な練習を初めて1カ月ほどだが、試合ごとにプレーの精度を高めている。
特に意識しているのは攻守の切り替え。チームメートと積極的に連係して、チャンスを作ることを忘れない。「僕がパスコースを探していると、珍洙の方からすぐに呼んでくれた」。左サイドで好連係を見せた田中が言うように、周囲の動きを見て、必要なプレーを判断できるようになった。
金にとっては復帰後の初勝利。「ホッとしたしうれしい」と言う。新潟にとっても6月16日の第14節清水戦以来のホームでの今季2勝目。久々のホーム戦勝利になった。
そこには成長も伴っていた。この1カ月余り、ゴール付近の攻撃のミスをなくすために、近い距離でパスをつなぎ、ボールも人も動く形を練習してきた。「思っていたより早くできるようになっている」と柳下正明監督は言う。金の絡んだプレーでは、PKのゲットも、クロスもパスをつないで攻め込んだところから。G大阪戦から3試合負けなし。リーグ終盤なって、スタイルの修正は着実に武器になっていることを示した。
一方、名古屋はいいところなく敗れた。立ち上がりの5分ほどは敵陣でボールを保持。そこからゴール前に迫った時間帯だった。だが、この後は新潟に主導権を握られた。
後半に入ると、運動量が低下し、空いたスペースを新潟に使われ始めた。失点を重ねるごとに傷は深まった。「J1レベルの守備ではない」。はき捨てるように言ったストイコビッチ監督は、「新潟は戦って勝った。名古屋は戦わずして負けた」と相手の気迫を認めざるを得なかった。
新潟は順位こそ17位のままだが、勝点29と16位のG大阪に並んだ。勝点31の15位大宮とは2差。降格圏脱出の土台はできた。名古屋は首位広島とは勝点12差の7位に降下。現実的には、優勝からACL出場権獲得にターゲットを変えなければならなくなった。
勢いを、つけつつある新潟と、取り戻さなければならない名古屋。どちらにとっても、次節が重要になる。
以上
2012.09.30 Reported by 斎藤慎一郎(ニューズ・ライン)
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