水戸にとって前節北九州戦は平常心で戦うには難しい試合であった。試合2日前に「J1ライセンス」を取得できないことがJリーグから発表され、来季のJ1昇格の可能性が消えてしまったからだ。それまで「J1昇格」を唯一無二の目標として奮闘を続け、残り7試合の段階でJ1昇格プレーオフ圏内の6位との勝点差は9と可能性を残していただけに、選手たちが受けたショックの大きさは計り知れないものがあった。
しかし、試合まで選手たちはミーティングを重ねて、話し合い、意見をぶつけ合った。そしてたどりついたのが、「J1へは行けないけど、チームとして力があることを証明するためにも6位以内に入らないといけない」(西岡)ということであった。以前よりも強くなった「6位以内」への渇望を胸に選手たちは戦った。
悔しい思いもあったことだろう。しかし、目の前の試合にすべてを出し切るという水戸が目指すべきスタンスを貫いて3対1で勝利を挙げた。「非常にメンタルの強いゲームだった」と柱谷哲二監督は胸を張った。今節も前節同様強い気持ちを維持して臨みたい一戦である。
市川は言う。「自分たちの目標を失ったわけではない。新たな目標に向かっていく」と。「新たな目標とは何か?」と問うと、市川はこう答えた。「6位以内に入ってもJ1には上がれないけど、必ず来年につながる。目標を達成できなかったからといって、終わりではない。チームとしての成長を続けないといけない。僕らが目標を実現するためにも、これからも積み上げていくことが大事なんです」。
来季のJ1昇格の可能性がなくなったからといって、戦いに終わりなどない。今年、1つでも多くの勝利を挙げ、1つでも上の順位で終えることで、水戸を取り巻く環境が変わる可能性は高まるはず。残り6試合の戦いぶりが今後の水戸の行く末を左右すると言っても過言ではないのだ。だからこそ、市川は力を込める。「二桁順位で終わるのと、6位以内で終わるのとでは周りの水戸への関心の持ち方が変わる。僕らは今、それを変えられる状況にある。いや、変えないといけない状況にあるんだと思います」。その思いを持っているのは市川だけではないだろう。残り6試合の意義を理解し、高いモチベーションで試合に挑もうという雰囲気がチームに充満している。
ただ、岐阜もこの一戦に懸ける思いは強い。消化試合が1試合少ないとはいえ、現在19位に低迷し、残留争いの真っただ中にいる。それだけに勝利に対して執念を燃やして挑んで来るに違いない。前節松本戦は台風のため延期となったが、その前の節では今季初の連勝を達成。栃木、湘南という上位から立て続けに勝利を挙げたことで選手たちは自信を深めている。守備の安定感が高まったことで、速攻の威力が増した。堅守速攻というチームの戦い方が明確になったことが好調の要因。連勝の勢いそのままに水戸に乗り組んで来ることだろう。
水戸にとって対岐阜戦はいい思い出があまりない。前回対戦で勝利したものの、それまで8試合勝利することができなかった苦手な相手である。昨年は2試合とも水戸が主導権を握りながらも、チャンスを決め切ることができず、一瞬の隙を突かれて敗戦を喫してしまった。もう同じ過ちを繰り返してはいけない。今年2連勝をおさめて、苦手意識を完全に払しょくしておきたいところ。それが今節の最大の使命だ。
残留争いから抜け出したい岐阜と、「6位以内」に入って「J1」への機運を高めたい水戸の対戦。ともに今節、勝たないといけない理由がある。だからこそ、激しい試合になることは間違いない。より強い気持ちで、より勝利への飽くなき執念を見せて、勝点3を手にするのは、果たしてどちらのチームか。
以上
2012.10.06 Reported by 佐藤拓也
J’s GOALニュース
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