台風17号の影響で1日順延された10月1日、Jリーグでこの日唯一の開催となったShonan BMWスタジアム平塚で、J2の昇格争いに大きく影響する試合を制したのは、ホーム・湘南ではなく、アウェイ・熊本だった。
立ち上がりこそ、一気に押し寄せる湘南の攻撃を受け止めるのが精一杯だったが、何度も受け止めながらそのスピード、パターンに慣れていくと、最初は相手キーパーやゴールラインに流れていくだけだった縦パスも、回数とともに受け手につながるようになってきた。前半終了間際に挙げた齊藤和樹の先制点は、後半、微妙な判定で与えたPKによって追いつかれたが、90分+4、五領淳樹のボール奪取から市村篤司の仕掛けからのシュートと、途中出場の2人がお膳立てすると、バーに跳ね返ったボールに詰めた北嶋秀朗がヘディングで決勝ゴールを押し込んだ。
前々節の福岡戦でもシュート数6本で3得点を挙げているが、湘南戦でもシュート4本で2得点。耐えるべき時間帯を耐えながら、少ないチャンスでも決めきるしたたかさがある。「基本的には自由にやらせてもらえなかったというのが正直なところです。ただそういうなかでも泥臭く点を取れたことが今日の大きな勝因かなと思っています」と高木琢也監督。注目の試合で結果を出し、チームは今季2度目の3連勝を飾った。3連勝のうち、大分、湘南と昇格レースに直接絡む2チームを倒していることからも、「勢い」の枠に収まらない強さを備えている。10日の天皇杯もユアスタでの仙台戦となりアウェイが続くが、4連勝をめざし、自信をもってNDスタに乗り込むことになる。
熊本の勝利は、3位以下でひしめく多くのクラブをも活気づける勝利となった。8位・山形もそのひとつ。9月は3連敗を含む2分け3敗と勝利が得られなかったが、2位・湘南との勝点6差は、残り6試合でめざす地点としてけっして不可能ではない。京都が未消化の第36節を勝利したとしても7差だ。ましてや、勝点2差のプレーオフ圏内は十分に可能性がある。
前節・東京V戦は、その可能性を強く感じさせる変化が見られた。中盤をダイヤモンドからボックス型に変更。これにより、バイタルを閉じて東京Vのパスワークを封じるとともに、サイドハーフの配置により、3ボランチをスライドして対応させていたときに比べれば相手のサイド攻撃のケアも容易になった。FW林陵平が「バランスはすごくよくなったし、ある程度落ち着いて守備ができたので、そこまでやられる気が全然なかった。安定した戦いぶりは今までよりできていたと思います」と語るなど、先制点を与える試合が続いていたチームが、安定した守備を手に入れた意味は大きい。また、後半には山崎雅人、廣瀬智靖の投入で攻撃を一気に活性化。特に7試合ぶりの出場となった山崎の登場にはホームのスタジアムのボルテージが一気に上昇し、秋葉勝の先制点につながった。後半アディショナルタイムに追いつかれ、勝点3を逃す結果になったが、奥野僚右監督は「人任せにするんじゃなくて、自分たちでできることを足していくしかない。人が結果を決めるわけでもなく、人に左右されないものを表現していかなきゃ」と、勝利をつかむための、確固たる強さを求めた上積みをめざしている。
3連勝と好調の熊本に対し、6試合ぶりの勝利をめざすホームの山形は、前節同様に4-4-2同士の対戦となる。しかし、ショートパスをつなぐ東京Vと違い、熊本の攻撃の軸は縦のフィードやアーリークロスなど、相手の裏を突くロングボール。特に、押し込んだケースで奪われればリスクは必然と高くなる。セカンドボールを拾い、間延びしないための運動量が必要だ。また、自陣への戻りが早い熊本に対し、攻撃では裏のスペースを簡単に突かせてもらえないシーンも増えそうだ。さらに、熊本はボールに厳しく食いついてどの局面でも数的優位をつくり、カバーリングやセカンドボールへの対応も確実。そして、地味だが見逃せないのは、シュートコースに入るディフェンダー陣の体の張り方だ。そうした守備を山形が破るには、特に相手陣内に入ってからどれだけ意図してボールを動かすことができるか、簡単に失わないか。失ったとしても切り換えを早くできるか。その徹底が90分間持続することが求められる。
前節のラストプレーで、勝点3が勝点1に変えてしまった自らのプレーを、GK清水健太は「全然難しくないボールだと思いました。単純にボールと照明がかぶってしまってボールが見えなくなったのでこぼしてしまった」とその状況を説明。名誉挽回を懸けて臨むピッチのもっとも遠い場所には、清水が松戸高から柏に加入した当時、すでに守護神として活躍していた南雄太が構えることになる。「練習をやっている姿勢も学んでいきましたが、サッカー選手の生活がよくわからないときに、一緒にいて学んでいけたのがいまも生きているんじゃないかと思います」。直接公式戦のピッチ上で対峙するのは、南がJ2柏時代の06年まで遡る。リーグ戦終盤を迎えたピッチ上では、さまざまな思いが試合を動かすこともある。
以上
2012.10.06 Reported by 佐藤円
J’s GOALニュース
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