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【J1:第28節 名古屋 vs 大宮】レポート:双方の決定力不足が招いたスコアレスドロー。勝点1を分け合い現状を維持した名古屋と大宮は、今季の最終目標への気持ちを新たにした。(12.10.07)

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今節での勝点1は双方にとって現状維持の結果をもたらしたが、その意味を考えれば差は大きい。前節で屈辱的な大敗を喫した名古屋にとっては、まず負けないことは最低条件であったし、残留争いの最中である大宮にとってもアウェイで負けなかったことは大きな意味がある。しかしその内容において、大宮がポジティブな面を見出せたことに対し、名古屋はややネガティブにならざるを得なかった。スコアレスで終えた一戦での両チームの表情は、実に対照的だった。

名古屋は新潟での大敗を払拭するため、いくつかの変化をもってチームに刺激を与えてきた。腰痛を再発させたケネディが不在のため、永井謙佑を1トップに据え、ディフェンスも前から激しくプレスをかける作戦でスタート。ここ数試合で精彩を欠いていた藤本淳吾とダニエルをベンチに下げ、小川佳純と増川隆洋をスタメンで起用したことも変化のひとつだ。試合までの練習でもゾーンディフェンスの意識づけを再確認するなど、戦術面での準備もいつも以上に入念に行なってきた。「危機感しかないですよ」とは戦前の楢崎正剛の言葉だが、その言葉通りにアグレッシブな立ち上がりを見せ、キックオフから大宮を押し込んだ。

「相手が気迫と戦う心をもって、5−0で勝つような意気込みで来ることはわかっていた」(北野貴之)という大宮だが、それでもキックオフから名古屋のプレッシャーに後れを取った。こちらも前節で退場したズラタンが出場停止だったが、代役がチョ ヨンチョルというあたり、前線の層の厚さは残留争いをしているチームとは思えないところ。戦術家のベルデニック監督の指導は短期間ながら行き届いていることは、コンパクトかつ緊密な守備組織を見れば一目瞭然だった。やり方は違えど、かつて名古屋を率いた時に無敗記録を作っただけのことはある。指揮官は「ボールを動かし、キープする」ことを指示し、我慢強く反撃の時を待った。

流れが変わったのは前半20分を過ぎたあたりからだ。序盤から飛ばした名古屋が「バテたというか、失速した」(東慶悟)ことで大宮のディフェンスが落ち着き、中盤からのショートカウンターが威力を増し始める。18分のノヴァコヴィッチ、22分のチョ ヨンチョル、25分の下平匠と続けてシュートを放つと、29分、30分とノヴァコヴィッチが決定機を迎える。どちらも名古屋のDFに阻まれたが、これで大宮は傾いた試合の流れを引き戻すことに成功する。名古屋は縦に速い攻撃を焦るあまりに前線が4トップのような形でとどまってしまい、ケネディがいない前線が競り勝てるはずもなく、動きのない4−2−4のような形で攻撃はどんどん停滞していった。

しかし大宮も決めきれない。39分にはチョ ヨンチョルが中央に切れ込んでシュートを放つもGKの正面。終了間際の45分には前線でボールを奪った東がワンツーで抜け出すもGK楢崎に1対1を止められ絶好機を逃した。守備が耐え、持ち直した流れを活かすことができなかったあたりは、大宮にとっても大きな反省点だったといえるだろう。それは名古屋も同様ではあったが、後半に入るとその様相は少しずつ別のものへと変化していった。

後半は良く言えば、一進一退の攻防となった。名古屋は前半の終盤からフォーメーションを玉田をトップ下とする4−2−3−1に変更しており、それを継続。53分に田口泰士の裏への飛び出しで後半最初の決定機を作ると、以降も継続的に大宮のゴール前へと進出し続けた。大宮はベルデニック監督の「よりボールを動かすという要素をゲームの中で求めた」という方針のもと64分にチョ ヨンチョルを渡邉大剛に、68分に東慶悟を金久保順に代える早めの交代策で対抗。だが、それでも得点は生まれなかった。

名古屋も68分に最初の選手交代として藤本淳吾を投入したが、それでも先制点を奪う気配は漂ってこない。しびれを切らしたストイコビッチ監督はもはや常套策になりつつある闘莉王のFW起用に踏み切ったが、前半から続くビルドアップの不出来が改善されていなかったため、ストライカー・闘莉王を活かすパスが前線に入らない。86分にはようやくCKから闘莉王が強烈なヘディングシュートを放ったが、これはGK北野が意地のファインセーブ。90分+1分には大宮の金久保のシュートがGKの手を弾いたが、ポストに当たってゴールの外へ。+3分には名古屋がスローインから藤本のクロスを玉田が頭で合わせに行ったが、ゴールマウスの中へ押し込むことはできなかった。最後の最後まで、この日の両チームは得点と縁がなかった。

ゴールはできなかったが、守備陣が粘り強く戦った末のスコアレスという結果を、前向きに捉えるのは大宮のベルデニック監督だ。「勝点1は残留争いをするチームには少ないが、今日見せたプレーは希望が持てるものだった」。組織的な守備は4試合連続で失点を防ぐことに成功しており、これでより攻撃に手を加えることができる、という手応えである。対してストイコビッチ監督はどうか。「前節と比べると確実に良くなっている。いま我々には攻撃を構築しながらプレーするストライカーがなかなかいない。ケーキで例えると、ケーキの基礎の部分はあるが、クリームの部分がない状態」。こちらは攻撃のキーマン、つまりケネディ不在を嘆き、得点は個人の問題と割り切っている。打開策はあるようで、非常に曖昧だ。これが前述した、ポジティブな大宮とネガティブな名古屋の理由である。

しかしながら名古屋の選手たちが下を向いているわけではない。大宮の選手同様に「最低限の結果」であることを自覚しながら、連敗を無失点で止めたことを回復へのひとつのステップと捉えて前を向く。増川に笑顔が戻ったことは、悩み多き守備陣にとっては良いニュースのひとつだろう。ちなみにこの日の観客数は今季リーグ戦最低の8793人。奇しくも昨年のホーム16節・大宮戦以来の10000人割れだった。これを文字通りのゼロからのスタートとせよ、ということなのだろうか。残り6試合、ACL出場圏内までは勝点6である。

以上

2012.10.07 Reported by 今井雄一朗
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