最中(もなか)に例えると、上質で濃密なあんこがたっぷり詰まった部分と、スカスカの部分があって、思いきり囓ると微妙な顔になる。両チームともに、丁寧な技とひらめき、勢いを出したが、「ん?」と首をかしげたくなる時間も長かったゲーム。それでも勝利という最中は、岡山にとってじゅうぶんに甘く身体を満たす。
岡山はこのゲームで原点に戻り、走りきることを念頭においていた。立ち上がりから早くも中盤は混戦気味となり、福岡の左SH成岡翔、DF和田拓三がシュートを放つ。しかし福岡のCKの流れから岡山がカウンターに出る。ドリブルで抜け出そうとした石原崇兆が一度、金民均にボールを預け、金がこれを斜めに鋭く出して再び石原へ。これを「石原からのボールがすごかった」と言う川又堅碁がしっかりと押し込んだ。シャドー2人が繋いだボールがトップの川又に渡り、前半3分、理想的なゴールが決まった形だ。追加点は28分。岡山のボランチ・仙石廉からのスペースへのパスに右ワイド・澤口雅彦が追いつき、中央へ。これをDF後藤圭太がおしゃれなヒールのワンタッチで角度を少しばかり変えて、川又の2点目をお膳立てする。川又は今日の2得点でゴールランキング暫定3位に躍り出た。また石原はキレキレのプレーを続けている。
福岡は今季、何度も繰り返してきた立ち上がりの失点を許し、2失点目の後は魂が抜け出たような状態に陥ったが、それでも岡山にとってこのリードは、危険な方の「2-0」スコアだという気配はあった。それはゴール前でフリーになりながらも決められなかったシーンが予感させ、また2010年カンスタで行われた天皇杯2回戦・岡山vs福岡で、2-0で岡山がリードした後半、福岡の岡本英也、城後寿、中町公祐に決められて2−3で敗れた記憶も蘇る。
後半に入ると福岡は、トップに城後寿、1.5列目に高橋泰、右SH成岡、左SH石津大介に並びをアレンジした。「ギャップをいじられ、相手のボールホルダーにプレッシャーが掛けられなくなった」(岡山・影山雅永監督)。福岡は球際を厳しくして、間で受けることでシュートチャンスを増やした。城後の裏に抜ける動きが機能し始め、ついに後半8分、福岡のボランチ・末吉隼也が岡山のパスをカットして城後に繋ぎ、これを城後が決めて1点を返す。「思い切り蹴ったら上手く入りました」と話すが、技ありのゴール。その後も攻め続けたが、後半8分の高橋泰のシュートと、後半39分のFKからの西田剛のヘディングシュートがバーに当たるなど、不運さもあった。
岡山のDF竹田忠嗣はゲームをこう振り返る。「前半はCBの裏を狙う意識が明確で、そこに石原崇兆が斜めに走るなどしてチャンスを作れた。また今週は前線の守備も原点に帰って修正したので、その点もいい結果に繋がったと思う。後半は、引いて5枚で守ると、向こうが前に出てきて、クリアしてもCBのところで潰されて、結局向こうの時間帯が長くなるような気がした。だからそこまではせずに、サイドに行ったところに強く行くように、後ろがスライドを速くして、1対1のところで食い付くようなことをしたので、ゴール前にへばりつく時間帯もあった。運もあったと思うが、なんとか(乗りきれた)」。
「困ったことがあったら、『厳しい守備をもう一度前から』というところに戻る」という影山雅永監督の考えは、選手に浸透している。岡山ではどんなテクニックのある選手も走る。走らなければ、存在意義がない。巧い千明聖典も走って、絶対に止めるんだ、と気迫を見せた。「課題は残ったが、勝つという役割は果たせた」と話すのは、川又堅碁。つまり、10日(水)に行われる天皇杯3回戦・名古屋戦に勝って、14日(日)のホーム・東京V戦で勝てば、この勝点3に文句はつけられなくなる。川又は、「次の天皇杯は僕にとって大事だし、みんなそこに向けてやっている。中3日はきついけど夏場でもやってるので、勝つための試合をしたい。負けちゃってへこんだらいかんから絶対勝ちたいです」と話す。
以上
2012.10.07 Reported by 尾原千明















