華麗な先制ゴールであった。鈴木隆行が落としたボールをロメロ フランクが前線にクサビのボールを入れる。そして、岡本達也が左後ろの橋本晃司にボールを渡すと、橋本はダイレクトにゴール前にスルーパスを送る。そのボールに走り込んだのはフランク。冷静にゴール左隅に突き刺し、水戸が幸先よく先制する。そこまでの流れを見る限り、追加点が生まれるのも時間の問題かと思われた。
しかし、その直後から主導権は岐阜に移ってしまう。原因となったのが、細川淳矢が「度肝を抜かれた」と言うほど、岐阜が「選手にDF裏にランニングすることを徹底させた」(行徳浩二監督)ことであった。ボールを持つなり、執拗に水戸DF裏にボールを蹴り込んで来た。1トップの佐藤洸一と2列目の3人が前線を動き回り、水戸DFを錯乱。セカンドボールに対する反応も早く、球際での争いに気迫を見せてきた。さらに水戸DFに積極的にプレスをかけて、自由にビルドアップをさせなかった。勢いのある岐阜の攻撃に押し込まれ、水戸は防戦一方の戦いを強いられた。それは完敗を喫した第31節千葉戦、第35節京都戦と同じ流れであった。
その2試合で浮き彫りとなったのが、押し込まれた状態で厳しくプレッシャーをかけられるとビルドアップできなくなり、相手と同じようにロングボールを蹴るしかなくなるということであった。今節こそ、進化した姿を見せたかったところだが、過去2戦同様、後手に回ることとなってしまった。水戸は最終ラインからボールをつなげず、ボールは攻撃の起点となるべき小澤司と橋本の頭上を越えてしまったため、生命線である中盤の展開力は影を潜め、防戦一方の展開に。再三チャンスを作られ、そして42分に尾泉大樹が蹴った右CKを後ろからスルスルとゴール前に入り込んだ李漢宰にボレーで合わされて試合を振り出しに戻されてしまう。
後半に入っても岐阜のペースは変わらず、ロングボールのセカンドボールをことごとく拾われ、「3、4点取られてもおかしくなかった」と柱谷哲二監督が振り返るほどのピンチの連続を迎えた。結果的に岐阜の決定力不足に助けられ、なんとか1対1のドローに持ち込むことができたものの、最後まで自分たちのペースに流れを変えることはできなかった。「内容では負けていてもおかしくない試合」(橋本)だっただけに、試合後の選手たちの表情はまるで敗戦を喫したかのように険しいものがあった。
悔やまれるのは試合の中で修正できなかったことだ。これまで柱谷監督が求めてきたものは判断力である。相手の状況を見て、いかに主導権を握るか判断することを選手たちに求めてきた。過去2試合、同じような戦いを経験しているだけに、今節は何とか打開してもらいたかったところだが、またしてもなすすべなく攻め込まれてしまったことが今節の最大の痛恨であった。リーグ残り5試合、おそらくこの日の岐阜のような戦いをしてくるチームがあることだろう。もう同じ過ちをしてはいけないことは選手たちがよく理解しているはず。この勝点1を今後に生かしてくれることを信じたい。
岐阜にとっては勝点2を落とした感の強いゲームとなったことだろう。先制点の場面以降、徹底的に水戸の弱点であるDFの背後を狙い、終始主導権を握って試合を進め、水戸の倍以上のシュートを放つことができた。理想の展開と言っていいだろう。「それだけに勝ちたかった」(佐藤)という思いが選手たちには強かったようだ。チャンスを作りながらもフィニッシュの精度を欠き、勝ち切ることができなかったことは今後に向けての課題と言えよう。ただ、それでもアウェイで勝点1獲得という最低限のノルマは達成することができた。これでリーグ戦3試合負けなし。J2残留へ、着実に歩みを進めている。
以上
2012.10.08 Reported by 佐藤拓也















