すでに冷え込みつつある初秋の北海道で行われるこの天皇杯3回戦の1カード。札幌市厚別競技場で合まみえるのは長野県代表のAC長野パルセイロと東京都代表の横河武蔵野FCだ。この3回戦で唯一Jクラブが登場しない、JFL所属チーム同士の対戦。つまり、どちらも格上であるJクラブを撃破してこのステージまで勝ち抜いてきたということだ。ちなみに、現在の順位は長野パルセイロが2位で横河武蔵野FCが13位である。
長野パルセイロの2回戦は、今回と同じく厚別競技場でJ1の札幌と対戦し、90分と延長戦前後半を戦って1−1のスコア。最終的にはPK戦を5−3で制している。延長前半でFW松尾昇悟がこの日2枚目の警告を受けて退場となる苦しい状況に追い込まれたが、札幌の選手たちに「完敗だった」と言わしめたように、結果こそアップセットの典型的な一例となったが、内容としても完全に札幌を上回ってみせたのである。
注目すべきは運動量だった。立ち上がりから札幌の最終ラインにまでハードなプレスを仕掛け続け、オーバーペース気味にも見て取れたが、そのまま120分間を戦い切ってしまったのである。攻撃に転じた際にはMF向慎一を中心に、落ち着いてパスを展開。攻守両面がガッチリと噛み合い、アウェイの地でありながらも完勝してみせた。北海道代表の札幌大学と対戦した1回戦、2回戦に引き続き、同じ会場で戦えるということもアドバンテージになるかもしれない。
対する横河武蔵野FCの2回戦は、こちらも敵地と言える味の素スタジアムで前回王者であるJ1のFC東京と対戦して1−0のスコアで勝利している。
勝ち方は、まさに典型的なアップセットの形だった。相手との力関係を考え、この試合では普段の4−4−2の布陣ではなく、守備をより意識した5−4−1を採用。守備時にはとにかくスペースを埋め、パスワークでの打開を得意とするF東京の攻撃を封じていた。マイボールになった際には失点のリスクを可能な限り軽減すべく、パスはあまりつながずロングボールを多用。とにかくボールを自陣から遠ざけることで、虎視眈々と僅かな勝機を狙っていったわけである。
その我慢の戦略が結実したのが、後半アディショナルタイムだった。相手ゴールから距離がある位置で得た直接FK。この時ばかりはと選手が相手ゴール前へと集結し、そこにMF岩田佳祐がボールを送り込むと、放物線は密集を超えてそのままゴールマウスへと吸い込まれたのである。相手のランコ・ポポビッチ監督が「北海道から放たれたようなシュートだった」と評したほどのロングFKが、その北海道で行われる3回戦への切符へとつながった。
そんな両チームだが、先月の29日にJFLリーグ戦の第26節で対戦したばかり(JFL公式サイト/PDFファイル)。長野のホームで戦ったこの試合は1−1で引き分けているだけに、その再戦とも言えるこの試合は間違いなく白熱したものになるはずだ。
そしてどちらもアマチュア選手が大半を占めるチームであり、Jクラブと対戦できるこの大会にかけるモチベーションは高いはず。仕事を抱えながらの選手生活はハードなものであることは容易に想像ができるが、それ故にサッカーへの愛情がとてつもないものであることも容易に想像がつく。そうした選手たちの熱を感じに、ぜひともスタジアムへ足を運んで欲しいと思う。
以上
2012.10.09 Reported by 斉藤宏則
J’s GOALニュース
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