J1とJ2という違いこそあれ、どちらもそれぞれのリーグで上を目指して終盤戦を必死に戦っているチーム同士。その狭間で迎える天皇杯3回戦は、難しい一面もあるが、お互いに底力の見せどころでもある。
J1の清水は、ホームで戦えることは大きなアドバンテージだが、この試合の3日後にはヤマザキナビスコカップの準決勝第2戦が控えており、ゴトビ監督も「F東京には天皇杯がないので(2回戦敗退)、土曜日はしっかりと休んだ状態で戦える。だから、われわれも何人かの選手をフレッシュな状態にしておくことを考えなければいけません」と語る。ただ、天皇杯でもタイトルを狙っている清水としては、この3回戦は絶対に勝たなければならない戦いであり、相手はJ2の上位チームということもあって、一切手を抜くことはできない。そんな難しい状況の中で、ゴトビ監督がどんなスタメンを組むかという部分が、まず第一の見どころになる。
また、そうした状況は、出番に飢えている選手たちにとっては歓迎すべきことでもある。前回の2回戦には登録上の関係で出場できなかった三吉聖王は、次のように語る。
「こういうところで自分の力をしっかり出すのが自分たちの仕事だと思っています。天皇杯をサブ組中心で戦って良い試合をしたら、チーム全体も締まるし、押し上げになりますからね。今スタメンで出ている選手も『やばいぞ』ってなるし、そういう刺激を作っていきたいです」
そんな高いモチベーションを持った選手たちを起用して勝つことができれば、結果という意味でも、チームの底上げという意味でも、非常に収穫の多いゲームになる。ただ、リスクも当然あるので、そのあたりのさじ加減はゴトビ監督の腕の見せどころでもある。
また、高木俊幸のように「自分が育ててもらったクラブで恩もあるし、やりづらい気持ちも少しあるけど、ヴェルディに勝つことで成長している自分を見せたい」という特別なモチベーションを持っている選手もいる。高木は前節の静岡ダービーで4試合ぶりにケガから復帰し、20分間出場。自身のコンディションを上げていくためにも、この天皇杯で結果を出したい状況にある。
不運にもヤマザキナビスコカップとリーグ戦で2試合続けて出場停止となった河井陽介も、「この後2試合出られないので、天皇杯で100%の力を出せるように準備したい」と語る。李記帝が負傷して出場が難しそうなだけに、サイドバックとして欠かせない存在になるはずだ。
一方、東京Vのほうは、J1に復帰するために勝ち続けなければならない正念場を迎えている。前節の町田戦(J2第37節)は1-1で引き分け、プレーオフ圏外の7位に転落。この天皇杯から中3日でリーグ戦の次節が控えており、相手は勝点5差で10位の岡山なので、これも絶対に勝ちたい一戦だ。そんな中、リーグ戦とまったく同じメンバーでこの試合に臨むかどうかという判断は、高橋真一郎監督にとっても難しいところだろう。
また、今季17得点のエース・阿部拓馬が腰痛により前節を欠場し、8月に清水から期限付き移籍したジミー フランサは契約の関係で出場できないようで、攻撃陣のオプションは十分とは言えない。J2では37試合で59得点を決めており(1試合平均1.59得点)、得点力はリーグNo.1だが、その力をこの試合で発揮できるかどうかが大きなポイントになる。
個々の技術の高さや、パス回しのうまさという部分は、東京Vだけでなく清水にも共通する特徴であり、お互いのプライドがぶつかり合う部分でもある。したがって、まずはそこでどちらが優位に立ち、試合の主導権を握れるかという点にも注目したい。
ボールが良く走るアウスタのピッチで、パスサッカー同士の対決が実現すると考えれば、純粋におもしろいサッカーが見られる可能性は高い。そのうえで、見せるだけでなく結果につながるプレーを多く出せるのはどちらか。個人としてもさまざまな想いが行き交う中で、誰がヒーローになるのか。それも、このJ1 vs J2対決の大きな楽しみのひとつだ。
以上
2012.10.09 Reported by 前島芳雄
J’s GOALニュース
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