柏と湘南の対戦は、2006年のJ2まで遡らなければならない。その時は3勝1分で柏が大きく勝ち越し、最終節で柏が劇的な昇格を決めたことでも印象深いが、その当時を知る選手は柏が大谷秀和、近藤直也、湘南が坂本紘司と数える程度しかいない。当時とは監督も異なり、サッカーのスタイルも違う。全く参考データにはならないが、予備知識として押さえておきたい。
昨年度の天皇杯決勝はJ2対決であり、柏も昇格初年度にJ1優勝を成し遂げ、今シーズンも鳥栖の躍進が目立つ。J2の上位チームがJ1級の実力を兼ね備えていることは、近年のデータが物語る通り。現在J2の2位に付ける湘南も、J1級の実力を持つチームの1つと見ていい。
3−4−3の変則的なシステムを取る湘南は、両翼を使ったスピーディーな攻撃を仕掛ける。特に左のウイングバックを務める高山薫は、オープンスペースが空いていると見るや躊躇なく飛び出し、チームに推進力を与える。また、2シャドーの一角には岩上祐三がおり、スピードで射抜く左サイドに対し、右は岩上がサイドに張り出した時には高精度のクロスボールを入れる。身体能力に長けたキリノを1トップに置き、その下では攻撃センス抜群の菊池大介がアクセントを加える。前節の愛媛戦、途中で退いたキリノの足の具合が気になるところだが、この顔ぶれを見ただけでも、J2の2位となる得点数を記録していることは十分納得がいく。
横浜FCに在籍していた昨シーズン、湘南との対戦経験がある藤田優人は「去年とは監督が代わっているから一概には言えないけど、湘南は規律を守るチームで、攻撃では個人のアイデアを出せる」と、その印象を述べた。そして最も警戒する選手に、同サイドでマッチアップする高山の名を挙げ、「僕が高い位置に上がることで高山を上がらせないようにする」と自らの攻撃力をもって湘南の左サイド封じを目論む。
このところ好調さをアピールする左サイドバック、橋本和もサイドでの攻防が鍵になると見ており、浦和戦と川崎F戦同様「オーバーラップで先手先手を取りたい。左をビビってもらえれば、こちらにマークを引き寄せられるので、右サイドの攻撃も有利になると思う」と話している。
総合力では柏に分があり、ボールの保持では柏が上回るはず。だが、レアンドロ ドミンゲス不在の状況では攻撃の迫力が損なわれ、ボールを回しているが、アタッキングサードでは今ひとつ攻め手に欠ける事態にもなりかねない。そうなれば、焦れた柏の背後を突き、湘南のスピーディーな攻撃が火を噴くだろう。
また、こうした一発勝負のトーナメントでは、その時のチームの勢いが勝敗を左右する場合が多々ある。その勢いという観点で両チームを見ると、柏は前節の川崎F戦では勝利を収めたとはいえ、8月と9月は1勝3分4敗と泥沼状態、おまけにレアンドロ ドミンゲスが戦線を離脱した。湘南もまた、前節の愛媛戦を0−0で引き分け、連敗こそ3で食い止めたが、4戦未勝利と一時の勢いは見られない。
そんな両者にとって、リーグ戦とは異なる雰囲気を持ち、違ったモチベーションで臨める天皇杯は、勢いを取り戻すためには最適の場所になるのかもしれない。なにしろ、その勢いを取り戻せば、柏はヤマザキナビスコカップ準決勝第2戦、湘南は甲府との直接対決と、週末の大一番を良い形で迎えられるのだから。
以上
2012.10.09 Reported by 鈴木潤
J’s GOALニュース
一覧へ【第92回天皇杯 3回戦 柏 vs 湘南】プレビュー:両者にとって勢いを取り戻すための、重要な天皇杯3回戦。黄色い太陽王と、緑と青の勇者が6年ぶりに邂逅する(12.10.09)















