天皇杯3回戦、J1大宮アルディージャは熊谷スポーツ文化公園陸上競技場でJ2アビスパ福岡と戦う。福岡という名前は、大宮にとってここ2年は鬼門となっている。一昨年の天皇杯では4回戦で当時J2の福岡にPKの末敗れたし、同じJ1で戦った昨年の対戦成績は2戦2敗。さらに、こじつけのようだが、昨年の天皇杯は福岡大学と2回戦で対戦し、90分で決着を付けられずPK負けの失態を演じている。ここ2年で、“福岡”と4度戦って4度敗れた。そして今年も、一発勝負の天皇杯で“福岡”が立ちはだかる。
その福岡だが、現在J2で17位に低迷している。シーズン序盤こそ上位をキープしていたが、FW坂田大輔の負傷に呼応するように調子を落とし、勝星を積み上げられず苦しいシーズンとなった。現在も、8月22日第30節のカターレ富山戦以来4分3敗と勝星から遠ざかっており、チーム状態はお世辞にも良いとは言えない。ただ、ベルデニック監督は福岡に対し、「J2での順位表の位置よりも良いチーム」との印象を抱いている。特に坂田、オズマール、高橋 泰、城後 寿、成岡 翔らをそろえる攻撃陣については、「個人能力、J1経験のある選手を5〜6人そろえており、コンビネーションや個人のアクションから得点を生み出す能力がある」と警戒を強める。一方で守備については「失点が多く、それも個人のミスから失点するケースが目立つ」と指摘。得点力はあるが、守備力が弱い。それが大宮から見た福岡のイメージだ。
奇しくも現状の大宮は、9月に入って負けなし。リーグ戦ここ4試合は連続完封と、守備の安定感が増している。しかし攻撃では、相手が一人退場した札幌戦を除けば複数得点を記録できず、直近の2試合は連続でスコアレスドロー。福岡とは逆に、守備力はあるが、得点力が弱い。ベルデニック監督も、「福岡は引いて守ってはこないだろう」と見ている。相手の得点力が高くないのであれば、守備に不安を抱えるチームの戦い方として、それは得策ではない。おそらく福岡は攻撃的に、前線からプレッシャーをかけてくるが、大宮としてはそれを受けてしまうといくらJ2下位が相手とはいえ主導権を握るのが難しくなる。特にここ数試合、前からプレッシャーを受けてロングボールが多く、多くなるのはリスク回避策として仕方のないところもあるが、そのセカンドボールを拾えずに守勢に回っている。「しっかりつないで局面を打開するのか、ロングボールで背後をねらうのか、判断をしっかりしたい」と渡邉大剛がいうように、福岡が前から来るところをしっかりいなす、あるいは裏を取ることでまずはしっかり主導権を握りたい。
大宮も福岡も中3日での連戦となるが、大宮は週末に試合がなく、選手のコンディションをそれほどナーバスに考えなくても良い。ベルデニック監督も「チームを大きくは変えない。今の良い雰囲気を壊さないようにしっかり戦いたい」と語るが、ある程度はメンバーを変えてきそうだ。2トップにズラタンと長谷川 悠、左サイドに東 慶悟が入る見込み。また右サイドバックには、村上和弘が軽い筋肉系のケガとのことで、代わって渡部大輔が入る。ズラタンはリーグ前々節横浜FM戦で警告2枚を受けて退場した責任を感じてか、スロベニア代表招集を辞退してチームに残ることを選んだ。これまでの左サイドではなく、「よりやりやすい」と語るトップの位置での出場にモチベーションを高めている。
福岡は週末にリーグ戦を控えるが、メンバーは変えてこないと見る。数字上は残留争いの渦中にはいるが、降格の可能性はほとんどない。もちろん今年の昇格もないが、現在の順位表の位置に対してチームもサポーターも納得してはいないだろう。主力の多くは大宮に対して良い印象を持っているだろうし、ここで大宮に勝つことで天皇杯獲得の可能性を残し、リーグの残り試合で少しでも順位を上げていきたいところだ。
大宮にとって福岡は“鬼門”に違いないが、引いて守る相手を崩せずカウンターに屈した昨年とは違い、今年は相手が前に出てくる、大宮の得意な形で戦うことができそうなのは好材料。ここで攻撃陣がしっかり結果を出せば、この先“引き分けも負けに等しい”残留争いへの光明となる。また2006年以来、大宮はリーグ戦を終えて12月の天皇杯を戦っていない。リーグ戦では今年もつまづいたが、カップ戦ではそろそろここを突破して、応援するチームの試合を少しでも長く見たいというのがサポーターの願いだろう。あと1試合。今年はチャンスだ。鬼門をぶち破れ。
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2012.10.09 Reported by 芥川和久
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