大分、福岡とのバトル・オブ・九州の連戦を制して「アウェイの旅」に出た熊本は、この間に湘南、山形とJ2で昇格争いをする2チームを撃破して、クラブ史上初めてJリーグでの4連勝を成し遂げた。さらに今週水曜に行われた天皇杯3回戦では、6年ぶり2度目の対戦となった――しかも「上のカテゴリー」で優勝争いを演じている――仙台を延長の末に(08年、09年のJ2を含めても初勝利で)くだし、こちらも初めてベスト16に進出。現時点で4回戦が行われる12月15日まで、今シーズンを約1ヶ月、長く戦う権利を得た。
内容を伴った公式戦5連勝という結果は、間違いなくチームに、そして選手たちにもプラスに働いている。山形戦から中2日で天皇杯、さらに中3日で今節と続くハードなスケジュールを考慮し、仙台から帰熊したチームは11日を急遽オフにし、12日のトレーニングもコンディション調整を意図した軽めの内容に。怪我で別メニュー調整中の選手も少なくないが、全体的な雰囲気は非常にポジティブで、フィジカル的な疲労はあるにせよチーム状態は今季ベストと言っていい。
「遠征の影響が全くないわけじゃないけど、勝って帰って来たから気持ちも楽だし、個人的にも問題ない。ホームだしね、最後のひと頑張りができる力を出させてくれる」と藏川洋平は言う。この5試合で54本のシュートを受けて4失点に抑えている南雄太も「山形でも仙台でも、自信を持ってやれたのが大きい。押し込まれる時間があっても、バタバタせずに耐えるというか、割り切って守れてる」と話し、「今はどこが相手でも、勝てると思う」と続けた。
ただ、「少しでも気を抜くと、どこが相手でも負ける」とも南は言う。高木琢也監督も「仙台に勝って少し気持ちを緩めるのはかまわない。ただ、次の試合までには切り替えろ」と、12日の練習前のミーティングで選手たちに話したという。
3週間ぶりにホーム・KKウイングに戻ってくる熊本が迎えるのは、現時点でリーグ最下位に沈んでいる町田だ。しかし町田も天皇杯では3回戦を勝ち抜き、相手が地域リーグのFC今治だったとは言え、5得点で勝利を収めた勢いを残留のかかるリーグ戦に生かしたいのは明白。まして前期の対戦で熊本は0−1と敗れている。システムも含めて当時と状況は違うことに加え、天皇杯でもメンバーを変えて臨んだオズワルド・アルディレス監督がこの一戦に向けてさらにアレンジを加えてくることも十分考えられるが、熊本のポイントとなるのは天皇杯の仙台戦同様、これまでに取り組んできたこと、最近の試合で表現できている前線からの守備や攻守の切り替え、球際の激しさなどを、いつも通りにやれるかという点だ。
町田の特徴はやはり自陣から丁寧にボールをつないで組み立てていくことだが、ポゼッションからの崩しに対しては前からのプレスが鍵。むしろ追いついて引き分けた前節の東京V戦でも天皇杯のFC今治戦でも、得点に結びついているのは奪ってからの前への仕掛けで、「カウンターに注意しないといけない」と高木監督も警戒する。特に前期の対戦でも得点を許している北井佑季、ドラガン・ディミッチら前線の選手は個の力もあるため、前からのプレスをはがされて自陣まで運ばれた際に「ボランチが1枚寄せて、取りきれなくても前を向かせない」(原田拓)よう、グループでの対応で相手の良さを抑えることが求められる。どこでボールを奪うかにもよるが、この数試合で形を作れているように、スペースがあればシンプルに背後を衝き、山形戦での2点めのように「複数の選択肢を作って」(原田)攻撃を繰り返すなど、「ボールを保持する時間を長くして」(南)ゲーム自体の主導権を握りたい。
連勝にも「チームとして成熟しているわけではない」と高木監督は口にするが、それでも「個人個人が成長しているから、チームとして前進できている」との手応えもある。南は「勝つことで良くなるってことを、この5試合で改めて感じる。でも、まだ積み上げている途中ですからね、連勝より、この一戦に勝つ事だけに集中したい」と足元を見据える。
ともに天皇杯4回戦進出を決めたチーム同士。リーグ戦では苦戦しているものの、町田はJ2残留、熊本は僅かに残る昇格圏への浮上と、お互いに目指す結果をかけ、今シーズン培ってきたサッカーで真っ向勝負に挑む。
以上
2012.10.13 Reported by 井芹貴志
J’s GOALニュース
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