今年のJ2のレギュラーシーズンは、残り5試合。ホームの横浜FCは前節(10月7日 対大分)で2-1と勝利をして、今季初めてプレーオフ圏内の6位に入った。試合未消化のチームはあるものの、2位との勝点差は3と11月11日のラストゲームまでの死闘の舞台に上がることができた。一方、横浜に乗り込む北九州は後半戦の好調から一転3連敗を喫している。クラブライセンス問題でJ1への昇格は叶わなくなったが、そういう状況だからこそ、将来に繋がる戦いが求められるし、1試合1試合を大事に戦うことが求められる。両チームの置かれた状況はある意味対照的だが、この1試合の重みに差があるわけではない。この試合で問われるのは、両クラブの総力を挙げた姿勢とその真価だ。
プレーオフ圏内に入った横浜FCだが、以前から選手の口からは「6位以内に入ってからの風景は変わる。本当の戦いはそこから」という言葉が聞かれていたが、現実にその領域に足を踏み入れた現在大事なのは、チャレンジャー精神を持ち続けることだろう。後半戦に入る時に山口素弘監督は優勝を目標に掲げた。前節の結果でその可能性は潰えたが、自動昇格の2位についてはようやく視野に入ってきている。ただし、2位を狙えるチームは沢山ある中で、勝ち続けないことにはその結果は得られない。だからこそ、チャレンジャーであることが大事だ。その意味で、10月10日に戦った天皇杯の横浜ダービーは、横浜FCというクラブ全体にチャレンジャー精神を改めて注入した。監督、選手からは、来季リーグ戦の横浜ダービーを戦いリベンジしたいという力強い言葉が聞かれた。もともと最下位から這い上がってきたチーム。最下位からの自動昇格というチャレンジへのラストスパートはこの試合から始まる。
その横浜FCの強みは、ぶれずにチームをステップアップさせてきたことだろう。山口監督就任直後から積み重ねた「前進する保持」、猛暑の夏に身につけた「タフさ」、高い理解力による「適応力と自己修復力」。その積み重ねはこの5試合負け無しの3勝2分という安定した成績に表れている。そして、横浜ダービーでも最初に押し込まれた15分をしのぐと、得意の前進する保持を見せつける時間が多くなったのもその成果だ。山口監督が「今シーズン、いつもいつも、ウチはこういう悔しさを味わっていますが、その都度、僕らは立ち上がってきました」と横浜ダービーの後に述べたように、横浜FCは敗戦を糧に成長してきた。華麗なセットプレーの前の敗戦も、良い位置でファールをするとやられるという教訓となっている。さらに一歩成長した横浜FCをこの試合で披露したい。
北九州は、直近は3連敗になっているものの、後半の躍進という意味では一番目立っているチームである。大分、東京V、千葉と、現在プレーオフ圏内にいるクラブから鮮やかに勝点3を奪っている。特にコンスタントに得点を挙げている端戸仁を中心に、三浦泰年監督が育て上げてきた自らアクションをする攻撃的なサッカーは十分な底力を持っている。現在の連敗については、J1クラブライセンスが得られなかったことの影響がないとは言い切れないと思われる。しかし、そういう状況だからこそ、今シーズン積み上げたサッカーを来年以降も残していくことが重要になる。三浦監督が就任して2年で、北九州はコンスタントに勝点を重ね、サッカーでは間違いなくJ2の中心的チームの一角に近づきつつある。名実共にJ1に近づいていくためには、現場のレベルではさらにサッカーの質を積み上げていくしかない。ライセンス問題でその歩みを緩めてはいけないし、より高いレベルのサッカーを見せることで北九州の熱を高めていくことが、今やらなければいけないことだろう。その意味で、北九州にとってもクラブの姿勢、真価をピッチに表す試合となる。
この試合、北九州のCBコンビである金鐘必、キローラン木鈴が出場停止であり、その意味でも北九州には厳しい試合となるが、一方でこういう試合に代わりに出る選手が良い働きをするのもサッカーの世界ではよくあること。横浜FCは、全力で立ち向かう必要がある。お互い攻撃的なサッカー、繋ぐサッカーを指向するだけに、特に中盤でどちらが優勢に立てるか、攻守の激しさと切り替えの場面での集中力が大きなポイントとなるだろう。
横浜FCの公式ページには「全戦必勝」の4文字が掲げられている。残り5試合は全てのクラブにとって非常に重い意味を持つ。その重さを感じながら戦う両チームの選手を是非ニッパツ三ツ沢球技場で応援してほしい。その先に、クラブの未来が待っている。
以上
2012.10.13 Reported by 松尾真一郎
J’s GOALニュース
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