サイドの攻防がポイントになった一戦だったが、勝敗を分けたのは両チームが持つ『修正力』の差だった。そして、『修正力』の差を生んだのは精神面のタフさの違いだったように思う。
互いにディフェンスラインの裏のスペース、そしてサイドを意識して攻める中で、主導権を握ったのは千葉だった。5分、右サイドで仕掛けたMF田中佑昌のクロスからMF佐藤勇人が決定的なシュートを打つも、わずかにクロスバーの上。だが、9分、右サイドから田中が再びクロスを入れると、うまくマークを外してフリーになったMF谷澤達也のシュートが決まった。その後、千葉は谷澤、左サイドバックのDF渡邊圭二の連係プレーで左サイドから得点機を作ったが、決定力を欠くなどして追加点を奪えなかった。
ここで一気にたたみかけられないところに、千葉が強くなれない要因がある。先制点を取った勢いそのままに縦に速い攻撃を仕掛け続けたが、例えばゴール前にFW荒田智之しかいないのに早めにクロスを入れてしまう場面があった。その攻撃についてMF佐藤健太郎は「前半はうまくいっていたと思うし、そういう意味ではイケイケになってしまった部分もあるかなと思うんですけど、前に1人しかいなくてもそこで『点』でクロスが合えば点は入るので結果論だと思う」と言いながらも「じっくりボールを回してもよかったかなとも思うので、それは個々の判断の部分でもあるんですけど、周りが声を出してボールを引き出してあげればよかったかなというところはあります」と振り返った。
右サイドを攻められて苦しんだ大分は、修正を図る田坂和昭監督の動きが早かった。27分、右ウイングバックのDF松原健に代えて入れたFW木島悠を2トップの一角に入れ、2トップの一角でスタートしたMF三平和司を右ウイングバックに変更。これが見事にハマった。「三平のところでボールが収まらないのは分かっていた」とは試合後の大分担当の記者の言葉だが、ボールを引き出して受け、ドリブル突破してキープできる木島の効果は大きかった。そして、三平は右サイドで仕掛けて千葉の左サイドの勢いを押し返した。守備的な選手を入れて守備を強化するのではなく、敢えて攻撃的な選手を入れて攻めることで守備の負担を減らす。選手交代の内容と時間を決断する力が試合の流れを大きく変えた。
大分は56分、三平の右サイドでのドリブルの仕掛けからパスを受けたFW森島康仁が反転してのシュートを決めて同点。森島をマークしていた千葉のDF高橋峻希は「ボクの対応ミス。もっと冷静になればよかった」と森島との間合いを空けすぎて反転させたことを悔やんだ。そして、66分には今度は左サイドをドリブル突破した木島のクロスから、ゴール前でフリーになっていた森島がヘディングシュート。千葉とは違って一気に連続得点して逆転した。チーム存続の危機、そして結果を出してもJ1に昇格できないかもしれない危機をJリーグ借入金完全返済で乗り越えた大分が、ゴールから遠ざかって悩んだストライカーのここぞという大一番での爆発で見せた底力は、精神的な強さに支えられていた。
1失点を喫して8分後に千葉の木山隆之監督は動いたが、相手の嫌なところに仕掛けていた田中を下げて入れたFWリカルド ロボはシュートを1本も打てず、いいところなし。3人目に入ったFWオーロイは前線で起点になってはいたが、彼が落としたボールを拾う連係プレーが練習不足なのかうまくできない。終盤の猛攻も精度を欠いて大分守備陣に跳ね返され、悪い流れを最後まで修正できなかった。2失点は相手の仕掛けを止められず、ゴール前でマークしきれずと連続のミスから。チームスローガンに反して攻守に、そして采配に、精神面も含めて甘さを残してミスをしていては、逞しさを持つ相手には勝てない。
以上
2012.10.15 Reported by 赤沼圭子
J’s GOALニュース
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