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【J2:第38節 熊本 vs 町田】レポート:押し込まれる展開の中、セットプレーからの2得点で町田をくだした熊本。クラブ史上初の5連勝で、プレーオフ進出への望みをつなぐ。(12.10.15)

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「彼が入ると、我々はより攻撃的なチームになる。実際に彼が入ったことで試合は大きく変わり、我々のゲームになった」

試合後の会見でオズワルド アルディレス監督がそう述べているように、前半のうちに切った1枚目の交代カードが、町田に大きく流れを引き寄せた。
「ボールを持ったら前に運んでくれという指示を後半も意識していた。話をしていたタイミングで、きれいに行けた」と、55分の得点場面を平本一樹は振り返る。
とは言え、前半のうちから町田がペースを握っていたのは事実である。メンバー表ではDF3人、MF5人となっていたが、ピッチ上では三鬼海が右、藤田泰成が左に位置する4-4-2の布陣でありながら、ワイドの加藤恒平と鈴木崇文が内側へ絞ることによってタッチライン際にスペースを生じさせ、ここに三鬼と藤田が走り込む。熊本はこうした町田の、ある意味で曖昧なポジショニングから特に中央のエリアでマークをうまくつかめず、12分に藤本主税のフリーキックに武富孝介が詰めて先制して以降、「最終的にはボックス近くまでラインが下がってしまう」(高木琢也監督)状態に陥る。

中盤で激しい潰し合いが繰り返される締まった展開の中、素早く囲んでのボール奪取やポジションを調整しながらのパスカットから攻撃に転じては、丁寧に縦パスをつけながら3人目、4人目が絡んでバイタルエリアに侵入して来る町田に、熊本は押し込まれた。それでも29分の片山奨典の追い越しなど、前半はサイドからのコンビネーションで崩す場面はあり、高木監督もハーフタイムに「斜めの動きや斜めのボールはチャンスになる」と話して選手たちを後半のピッチに送り出している。

しかし平本の投入でドラガン ディミッチが1列下がり、北井佑季も含めた前の3人の出入りに加えて左右の鈴木、加藤がサポートに入る町田の流動的な攻撃は、後半に入ってさらに勢いを増した。対して熊本は、連戦による疲労の蓄積もあって徐々に運動量や判断の精度が落ち、守備での寄せも少しずつ遅れ始める。62分、北井が抜け出してペナルティエリア内で倒れ、あわやPKかと思われた場面はシミュレーションと判定されたが、その後も危ない場面は続く。

そうした中で均衡を破ったのは70分。養父雄仁から藏川洋平へとつないで町田陣内深くまで入り込んで得た右コーナーキック、養父からのボールを矢野大輔が頭で突き刺した。「(前に得点した)栃木戦も相手がゾーンで、今日もゾーンだったので、ファーよりニアで狙っていた」という矢野のゴールは今季2点目。流れが悪い状態にあってリスタートから得点が奪えるのは、確かに力がついてきたことを意味する。もちろんこれで熊本は息を吹き返すのだが、しかし残留のかかった町田も決して消沈せず、むしろ再びリードされたことによって攻撃の迫力は増幅した。

だが平本が町田の流れを変えたように、熊本にも流れを変えられる男がいた。「後ろから見ていて、疲れもあって運動量が落ちているなというのは感じていた。でも、そういう苦しい時間帯を助けるのが自分の仕事」。
試合後、安堵の表情を浮かべてそう話した南雄太が、75分の鈴木崇、79分の北井と、町田が迎えた決定的な場面を抑え込んだのだ。至近距離からの北井のシュートを左手1本でストップした79分の場面について、「チームが勝っているからそういう風になるというか、チームにうまく乗せてもらってるなと思う」と南は言うが、このビッグセーブが再び熊本の選手たちを奮い立たせ、終盤には交代出場の仲間隼斗と大迫希で町田ゴールに迫る場面も作った。追加点こそ奪えなかったが4分のアディショナルタイムをしのいだ彼らは、初の5連勝という新たな記録をクラブ史に刻んだのである。

敗れた町田にとっては、アルディレス監督も話したようにアンラッキーな部分もあった。内容に結果が伴わない苦しさはあるが、東京から熊本へ後押しにやって来たサポーターからも激が飛んだように、残り4試合に残留をかける戦いが続く。
高木監督も「たくましくなったと思う」と評している通り、ここへきて勝ち続けている効果が上向きのスパイラルを生んでいる熊本。前からの連動したプレスやコンビネーションによる崩しからの得点など、今までやってきたことが実践できなかった内容に関する反省が多く聞かれたミックスゾーンの雰囲気は、全く浮ついたものではなかった。セットプレーでの2得点もさることながら、こうした点も勝ち続けることでしか得られないチームとしての成長なのだろう。つまり目指すのは連勝ではなく、目の前の試合での1勝。フィジカル、メンタルの両面をリセットして臨む次節は、横浜FCとの——プレーオフ進出をかけた今季最大の——大一番だ。

以上

2012.10.15 Reported by 井芹貴志
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