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【J1:第30節 神戸 vs 川崎F】プレビュー:残留争い予備軍の神戸だが、「上に近づくことしか考えていない」(西野監督)。相性のいい川崎F戦で上昇気運をつかめるか(12.10.26)

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残り5試合。まだ“5つもある”と捉えるか、“もう5つしかない”と考えるかは、各チームによって分かれるところだろう。

勝点39で12位につける川崎Fにとっては“まだ5つもある”かもしれない。前節のG大阪戦は家長昭博の一発で最終的に敗れた。押し気味に試合を進めながら、何度も訪れた決定機を確実に決めきれなかったのが敗因の一つだろう。ただ、シュート数ではG大阪を上回り、FW楠神順平とMF中村憲剛という取るべき選手がしっかりとゴールを挙げている。神戸の西野朗監督が川崎Fについて「パスサッカー+個の突破力。個の打開力もあって、いろんなバリエーションもある。DFが仕掛けてくることも神戸としては意識しないといけない」と警戒するほど、決して悪い状態ではない。残り5試合の結果次第では、まだまだ上位を狙える位置。神戸との一戦は、前節の敗戦を払拭するだけではなく、上昇への足がかりをつかむ大事な一戦になるだろう。

逆に神戸は“もう5つしかない”状況と言えるだろう。勝点35で14位、J2降格圏内にいるG大阪との勝点は3差。第22節の札幌戦以来、リーグ7試合で勝ち星もない。「勝っても負けておかしくない紙一重の、勝点3に届きそうで届かないゲームが続いている」(西野監督)と内容は悪くないが、カウンターとポゼッションを融合させた神戸のスタイルを盤石にするには“もう5つしかない”と言わざるを得ない。

ただ、西野監督は「あまり下との戦いがどうとかは考えていない。上に近づくという中でしか(チーム作りを)考えていない」と言う。幸い、故障でチームを離れていた大久保嘉人や野沢拓也、伊野波雅彦、田代有三らがこの川崎F戦を前に練習に戻ってきている。とはいえ、責任感の強い野沢が「助っ人として神戸に来て、こういう形になっていることは反省している。残留に向けて川崎F戦は絶対に勝つことが最低条件だと思っている」と言うように、選手たちは否が応でも残留の2文字を意識している様子。2年前に残留争いを経験した大久保も「もう5試合しかない。早く勝点をとって残留を決めたいね」と言う。

ケガや警告の累積などでメンバーの入れ替えも激しく、なかなか波に乗り切れなかったのも現在の順位にいる要因だが、西野監督は「多かれ少なかれ、この時期にはどのチームにもあること」と言い訳にはしない。続けて「この時期はプレッシャーもあって、普通のパフォーマンスを出すことすら難しい。(記者たちに向かって)みなさんがいっぱいいるのも選手たちにはプレッシャーになるしね(笑)」と柔らかい表情を浮かべた。

“上に近づくことしか考えていない”という西野監督のコメントの裏には、選手たちにわざわざ残留争いの余計なプレッシャーを与えたくないという気持ちもあるようだ。ということで最後に、ポジティブなデータを付け加えておく。神戸と川崎Fとの対戦成績は現在、“神戸3連勝中”である。

以上

2012.10.26 Reported by 白井邦彦
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