J1昇格の可能性を残す東京Vと横浜FCの直接対決だけに、激戦は必至だろう。緊迫感に満ちた、白熱のゲームが味わえそうだ。
「もう勝つしかない」(森勇介)のは、東京Vである。現在7位。プレーオフ出場の権利が与えられる6位につける千葉との勝点差は「3」。もっと言えば、今節の対戦相手、5位の横浜FCとの差も「4」と、残り2試合で逆転も十分可能だが、一方で、もし1つでも落とすことがあれば、上位浮上は現実的にみて非常に厳しい。とにもかくにも、白星以外もう絶対に許されないのである。
この苦境に直面することとなった前節vs徳島戦敗戦後、「責任感をもってプレーしろ!ここからはトーナメントのつもりで戦おう」と、高橋真一郎監督も選手たちに話し、一人一人がプロとしての責任感を背負い、残り試合はすべて“一戦必勝”だという意識をより強く植え付けたという。当然、プレッシャーがかからないはずはないだろう。だが、それを跳ね除け、自分たちの手で結果をつかみとっていくことは、“プレーオフ対策”という意味でも大きな価値となるに違いない。残り2戦2勝、そしてその後続くプレーオフ2戦2勝の4連勝だけが、東京Vに残された悲願達成・J1への道ということになるだろう。
とはいえ「4連勝」とは、言うのは簡単だが、実際に成し遂げるには非常に難しい。それでも、目標達成のためにはやり遂げなければならない。まずは1試合1試合に全力を尽くし、着実に勝星を積み重ねていきたいところだ。勝利への最大のポイントは「開き直ることしかない」。キャプテン森をはじめ土屋征夫、佐伯直哉など経験豊富な選手たちは断言する。最も避けたいのは、“らしくない”戦いだ。それは恐らく、ファン・サポーターにとっても最も見たくない試合と重なるだろう。前節の徳島戦、特に前半がその象徴とも言えた。
「相手をリスペクトし過ぎていたのかもしれない」と、高橋監督も敗戦の弁を述べたが、当然相手への敬意や警戒心は不可欠だが、必要以上に相手の存在を強大化してしまうとどうしても受け身になってしまう傾向がある。土屋は指摘する。「当たり前のことだけど、入り方が本当に大事。一人一人が意識してやらないと、また前節みたいな試合になっちゃう。立ち上がりが悪くて『まただった』ということが、今季はあまりにも多すぎた」。言葉どおり、残念ながら今季の東京Vは、前半相手に合わせすぎたためリズムをつかめず、先制点を奪われ、立て直しがきかないまま試合を落としてしまうという同じ失敗を、何度も繰り返してしまった。振り返ってみて明確なのは、快勝した試合はいずれも前からプレスに行き、セカンドボールもしっかり拾う。そしてボールを奪った瞬間に攻守が切り替わる。という展開のゲームである。「警戒しすぎると良くない。自分らしく前に前にを意識してやりたい」エース阿部拓馬と、積極的に勝負することを改めて誓っている。
「自分たちのやり方を思い出せば、負けない」(高橋監督)。せっかくここまで積み上げてきた魅力的なサッカースタイルが、東京Vにはある。ホーム最終戦だ、選手全員がそれぞれ自分たちらしさを遺憾なく発揮し、結果を残すことこそ、「どんな時も、ここまで応援してきてくれたサポーターへの恩返しになる」(土屋)はずだ。
対する横浜FCは、この試合引き分け以上の結果で、まずプレーオフ進出が決定する。東京Vとの勝点差「4」のリードも含め、非常に程よい緊張感とモチベーションの中で今節を迎えられることだろう。10月の3勝1敗、現在2連勝中という結果にも、チームの好調さが表れているように映る。さらに前節、ケガで長期離脱していたFW永井雄一郎、MF内田智也がともに32試合ぶりに復帰を果たした。永井がなかなか入らなかった2点目を生む起点となれば、内田も直接得点には絡まなかったが、スペースに飛び出していくスピード溢れる走りや、正確なパスやクロスなど、特長を随所に見せる。彼ら2人がチームの勝利に大きく貢献したことで、より一層上昇ムードは増したことは間違いない。東京Vにとっては、非常に難しいゲームとなりそうだ。
鍵を握りそうなのは、武岡優斗ではないだろうか。彼にボールが入ったところからスイッチが入り、横浜FCの攻撃が一気に加速する。東京Vの守備は起点となる武岡へボールが渡る前に遮断するのか、入ったところで潰すのか。マッチアップの相手には1対1に自信をもつ高橋祥平(東京V)が予想されるため、サイドの攻防も面白そうである。
また、もうひとり、チーム唯一の全試合出場を誇るFW大久保哲哉も、第33節以来7試合ゴールから遠ざかっているため、そろそろ得点が欲しいところだろう。毎試合を「厳しい試合」と常に位置づけている山口素弘監督だけに、監督自身、また選手たちも決して意識がこの試合の先何試合にも及ぶことはないだろう。だが、プレーオフ進出につながる戦いという視点からみれば、エースのゴールほどチームに勢いをもたらすものはないと言えるのではないだろうか。『エースの一撃でプレーオフ進出決定』というのが、横浜FCにとって今節の最も理想的なシナリオと言えそうだ。
2012年J2リーグ戦は、全チームが戦うのはこの試合を含めて2試合を残すのみである。東京Vにも横浜FCにも、せっかくここまでやってきたことだけは無駄にして欲しくない。自分たちの100%をぶつけ合う真っ向勝負を心底期待したい。
以上
2012.11.03 Reported by 上岡真里江
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