先制点、追加点、積極かつ粘り強い守備による無失点、なにより勝点3――前節のアウェイ富山戦で掴んだ7試合ぶりの勝利にはいろんな湘南が詰まっていた。立ち上がりから押していた前半は、しかし両サイドに蓋をし、守備意識を弛まず0に抑えた富山の狙い通りにも映った。それでも後半、「攻め急ぐことなく前半と同じようにできた」と永木亮太が振り返ったように、冷静にゲームを進めて先制した。
セットプレーを機に大槻周平が詰めた先制点がトレーニングの成果なら、追加点もまた積み重ねた日々の賜物だろう。試合を通して富山の警戒が緩まぬ左サイドを、高山薫とハン グギョンがワンツーで崩した。「1点取ってから、相手が攻めに出て後ろのスペースが空いていた」自身のオーバーラップの意図をハンは明かす。2点目を求めたうえでの自己判断、そしてボールホルダーを追い越す互いの連動が攻略に繋がり、最後は岩上祐三が仕留めたのだった。付け加えるなら前半にも、岩上を経由して永木と古林将太の連携により右サイドの攻略を図っている。これもまたそれぞれの動き直しによるものだった。
富山戦をまえに、曹貴裁監督は「GET3に『立ち返る』」と話したという。「立ち返る」ことの強調はすなわち、単に「GET3」ではなく、開幕前のまっさらな気持ちをあらためて思い出そうという意味だ。「選手たちのなかで慎重になりすぎていた面があったかもしれない。解放してあげなければいけないと思っていた」と語る。
また指揮官は、「点を取りに行くための守備」の大切さにも触れた。前節は湘南の生命線とも言うべきコンパクトフィールドの実現も見逃せない。守備力を高めると同時に攻撃の端緒となる。「疲れているときにもそれぞれが頑張ってラインを上げようと声を掛け合っている」そう語るのは3バックの一角を担う鎌田翔雅だ。前々節の千葉戦ではメンバーから外れていた。ゆえにこそ、富山戦に傾ける思いはひときわ強かったろう。「千葉戦ではいまチームとしてやらなければいけないことを意識してゲームを見ていました。自分が求められているプレーも解っているつもり。富山戦では出し切ることを考えてプレーした。内容すべてがよかったわけではないけれど、全員の気持ちが結果に表れたと思う」。だが、なにかを手にしたわけではない。「気が抜けないと、ゲームが終わって思いました」。富山の地で、すでにホーム最終戦を見据えていた。
湘南がホーム最終戦に迎えるのは現在20位の鳥取だ。2試合を残し、最下位の町田との勝点差は4と優位には立っているものの、J2残留を決めるまでは気を抜けない。湘南戦に先立って行なわれる水戸vs町田の結果によっては試合前に結論が出る可能性はある。心の持っていきように難しさはあろうが、しかし敗れた前節のホーム熊本戦後、「モチベーションをより高めてつぎのゲームに準備していきたい」と吉澤英生監督も引き締めているように、湘南同様、目の前の勝点3を奪いに行きたい。
湘南との前回対戦は7か月前にさかのぼる。4月1日、鳥取のホームで迎えた第6節は、後半開始早々と試合終盤にゴールを挙げた湘南が取った。ただ、鳥取も前半に流れを手繰り、あるいは2失点後に反撃弾を沈めたとおりチャンスも見出していた。前節の熊本戦でも無得点ながらカウンターで好機を演出している。湘南戦において付け加えれば、昨季は2勝と相性は悪くない。勝利のためのゴールが粘り強い守備とあわせて求められる。
一方、湘南は2位京都を勝点1差で追う。曹監督は語ったという。「今季も残り少ない。後悔しないようにやろう」。プレーは熱く、頭は冷静に。ホーム最終戦、ライトグリーン一色に染まるスタジアムには湘南スタイルがもっとも映える。
以上
2012.11.03 Reported by 隈元大吾
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