仙台にとって、ゴールは近そうで遠かった。本当に遠かった。
前節から1週間半の準備期間を経て、その間に練習試合とアーリークロスを中心としたC大阪対策を練ってきた成果もあって、仙台は「今までの試合でいちばんチャンスを作れた試合」(ウイルソン)を実現する。J2時代からしのぎを削ってきたこのカードでは、これまでC大阪が攻めて仙台が守る展開の方がずっと多かったのだが、この日の仙台は今までにないほどC大阪を押しこんでいた。
しかし半年ぶりに日本に戻ってきたレヴィー・クルピ監督の指揮の下、C大阪はこの状況にも慌てずに守備の引き締めをはかる。12分に守備の要である茂庭照幸が負傷で退いてからはさらに苦しい展開が続いていたが、山口螢とシンプリシオの両ボランチが少しポジションを下げて中を固めて、反撃の糸口を探っていた。
それでも仙台はウイルソンと赤嶺真吾がサイドに流れてスペースを突いたり、ボランチの松下年宏が開いた位置からクロスを送ったりと工夫を見せてチャンスを作った。しかし朴柱成が意表を突く弾丸シュートを放っても、カウンターからウイルソンと梁勇基が連続でシュートを打っても、梁のラストパスに赤嶺がタイミングよく合わせても、全てキム・ジンヒョンのスーパーセーブに止められてしまった。
こうなると、攻勢ながら決定力を欠くチームが前がかりになった隙を、耐えていたチームがカウンターで突く展開が起こる可能性は高くなる。「(後半の)立ち上がりに若干オープンになってしまったところを突かれてしまった」と手倉森誠監督が悔やんだ55分の失点がまさにその場面だった。仙台の守備が薄くなったところでC大阪がボールを奪うと、レヴィー・クルピ監督が後半から投入した播戸竜二がDFを引きつけながらつなぎ、左サイドでラストパスを受けた柿谷曜一朗が林卓人との1対1を制した。
仙台は関口訓充の投入で前への推進力を上げた。柿谷の負傷交代後もC大阪による枝村匠馬や吉野峻光のシュートチャンスでカウンターの脅威にさらされていたが、負傷で上本大海が渡辺広大に代わっても高いポジションに布陣を敷いて攻勢を継続。中原貴之の投入で3トップにして、ようやく90分、CKから菅井直樹のゴールで追いついた。
試合は仙台のパワープレーとC大阪の鋭利なカウンターがアディショナルタイムも継続したものの、スコアは結局動かず。ライバル対決は痛み分けに終わった。
残念ながらレヴィー・クルピ監督が終盤に退席処分を受けたために、この試合の収穫と課題についての彼の言葉を聞くことはできなかったが、代わって会見に臨んだマテルヘッドコーチの言葉とともに、両チームが残り3試合で目指すものを紹介したい。
「点を取れていれば勝点3の欲しい内容のゲームではあったけれども、取れないで終わるゲームもある中で、ビハインドでも追いつけたこと、これもまた大きな勝点1にしなければいけないというふうに感じています」とは手倉森監督。「まだ数字の上でC大阪のJ1残留を決定できたわけではないので、まずはそこを確定させるために、次の試合に向けて全力を見せていきたいと思います」とはマテルヘッドコーチ。
仙台は今の順位より上の優勝という結果、C大阪はJ1残留決定より上の結果、それぞれに向けて今日分け合った「1」を生かしていかなければならない。そこまでしてこその、ライバルだ。
以上
2012.11.08 Reported by 板垣晴朗















