盛り上がる、しかし残酷なカードだ。約二週間前のJ2最終節・町田vs湘南も、片方が2位に、片方が最下位に決定と明暗分かれる結果となった。そして、24日のユアテックスタジアム仙台は、J1の場で上位と下位それぞれの立場で譲れないものをめぐり戦う場となる。
ホームの仙台は悲願のJ1初優勝に向けて負けられない状況にある。今節に広島が勝利し仙台が黒星という場合以外は最終節までタイトルへの望みをつなぐことができるが、やはり勝利することこそが求められる。結果によっては広島を今節のうちに抜くことが可能だ。
一方、アウェイの新潟にとって、この試合は残留争いで生き残るための正念場だ。引き分け以下に終わればJ2降格が決まり、勝利でも他会場の結果によってはそうなる可能性がある。
どちらのチームも残り2試合で連勝したいところだ。それぞれの果たすべき目的のために。
両チームに共通しているのは、中央線の固さだ。
新潟は現在17位ではあるが、失点数はリーグ最少タイの33点。シーズン途中で柳下正明監督への交代を経験したものの、ハードワークに支えられた堅い守備は健在だ。鈴木大輔と石川直樹が組むセンターバックの前に、堅実に仕事をこなす三門雄大と本間勲のボランチが並ぶ。この堅陣を崩すには、かなりハイスピードなパス回しが必要だ。
仙台は上本大海が負傷により今季絶望となったが、代わって入った渡辺広大が鎌田次郎とコンビを組み、人にもボールにも強い守備能力を持つ角田誠と富田晋伍が中盤の底に構える。失点の少なさはリーグ4位の36点。前節は鹿島の猛攻の前に3失点を喫したが、渡辺が「試合をしっかり見返して間が空きやすい場合を確認しました。あらためて前後をコンパクトにするかたちを保って新潟戦にのぞみたい」と意気込むように、守備を引き締め直す。紅白戦など今週の戦術練習では、角田らが声を上げ、本番に向けた修正や気合いの入れ直しをはかっている。
そしてこの芯の通った中央の固さを支えにして、両チームは異なるアプローチで攻撃をしかけてくる。新潟は技のミシェウとパワーのブルーノ・ロペスという個人能力に優れた2トップを中心に速攻をしかける。一方の仙台は太田吉彰のドリブル突破と梁勇基の精確なパスを中心に、菅井直樹と朴柱成の攻撃的なSBが厚みを加えてサイド攻撃を磨いている。前節に揃って得点した赤嶺真吾とウイルソンの2トップも好調だ。
「相手がどういう入り方をしてくるかで展開は変わってくる」と梁はこの試合を展望する。守備を武器とする新潟が、勝つしかないこの一戦で総攻撃をかけてくる場合もじゅうぶん考えられるからだ。「前半から相手がアグレッシブにきたとしても、受け身にならず、しかけの意識を持ちたい」と梁は続ける。この激しい試合で両チームが攻守どちらに重きを置くのかはこの特殊な状況下では断言しがたい。だがこれまで芯の通ったチーム作りをしてきた者同士、プレッシャーのかかる中でも持ち味を最大限に発揮することで勝利をつかみたいところだ。
勝負の世界である以上、どちらかにとっての歓喜は、もう片方の悲嘆と隣り合わせとなる。冷徹な話をすれば、そういう試合だ。だからこそ、この試合をスタジアムででも中継でも体感する方は、心に芯を持って、ときに楽しみ、ときにシビアに試合に向き合ってほしい。両チームとも、悔いなき戦いを。
以上
2012.11.23 Reported by 板垣晴朗
J’s GOALニュース
一覧へ【J1:第33節 仙台 vs 新潟】プレビュー:中央に芯の通った2チームが、優勝と残留、それぞれの目的のために激突する。(12.11.24)















