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【J1:第33節 広島 vs C大阪】プレビュー:今季のすべてをこの一戦に懸けろ!優勝への道を走る広島、残留を目指すC大阪、意地と意地がぶつかるビッグアーチ決戦(12.11.24)

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スタンドには、サポーターが思いを込めた横断幕が張り出された。監督、そして選手。しかもレギュラーだけでなく控えの選手まで、個別のメッセージが書かれていた。
「俺たちのエース、寿人のゴールに恋してる」
「カズ、君は俺達広島のプライド」
「増田がいるから広島は闘える」
「(平繁)龍!いつだってお前に期待してるぜ」
さらに練習を終えて引き上げる選手たちに向けて「サンフレッチェ!」の大コール。サポーターの想いに、選手たちはまなじりを決した。
最近5試合で1勝。失速している感のある広島だが、練習の雰囲気は悪くない。広島らしい明るさと研ぎすまされた集中。コンビネーションも冴え、声もよく出ている。
ところが試合になると、その成果が発揮できない。プレッシャーという正体の見えない怪物との戦いに加え、相手が採用する徹底した広島対策。広島時代は、就任当初を除いて相手に合わせた戦いを見せなかったペトロヴィッチ監督(浦和)ですら対策を施してくる現実に、チームは戸惑いを見せる。時間が経てば固さもとれ、対策を逆手にとる余裕もでるのだが、柏戦や浦和戦はその前に失点してしまった。
C大阪のレビィー・クルピ監督は、「自分たちのサッカーを貫く」指揮官である。「彼は奇策を用いない。相手に合わせることもしない」という評判を耳にするが、佐藤寿人は「そればかりは、わからない」と警戒する。彼らもまだ残留を決めていない。勝てば無条件で残留が決まるだけに、なりふり構わない戦術に出る可能性もある。
佐藤は言葉を続けた。
「相手どうこうは関係ない。前から来てもマンマークで来ても、自分たちのプレーで冷静に答えを出せばいい。勇気を持ってボールを前に運べばいい」
指摘は、やはり内面へのアプローチ。
「プレッシャーはあるし、ミスもしたくない。ただ、僕らのサッカーにリスクはつきもの。大切なのは、いい判断と勇気だ」

C大阪とは今季、カップ戦も含めて1勝1敗。だが当時とは監督が代わり、ボランチにはローマでの活躍経験を持つシンプリシオが加入してきた。清武弘嗣やキム・ボギョンは移籍したが、柿谷曜一朗が本来の才能を発揮し、杉本健勇というロンドン五輪代表FWもいる。まさに才能の宝庫・C大阪だ。
一方、今節の広島はミキッチと千葉和彦の出場停止というリスクを抱えている。特に千葉はここまで全ての公式戦でフルタイム出場。つまり今季初めて、千葉以外の選手がリベロを務めることになるわけで、サポーターとしては不安を感じざるをえない。ましてC大阪の攻撃力を考えれば。
だが森保監督に迷いはない。今週の練習、このポジションを一人の男に託してきた。塩谷司。プロ1年目の昨年から水戸でレギュラーを確保した才能は、今年移籍した広島でも高い評価を受けている。「シオのポテンシャルを考えれば、試合に出ても全く不安はない」と森脇良太。また水本裕貴も「強さを持っているし、自分が持っているものを出してくれればいい。ビルドアップ?(森崎)カズさんが気を利かしてくれるから」と塩谷の可能性を雄弁に語る。
広島初先発となった横浜FM戦でも、塩谷は落ち着いたプレーを披露して相手を完封。この時はストッパーだったが、本人は「真ん中の方がやりやすい」とリベロでのプレーに意欲を見せた。
「千葉くんが出場停止だとわかった時からずっと、C大阪戦に向けて準備してきた。勝てば優勝できると信じているし、まずは失点しないことを心がけたい。こういう緊迫した戦いを味わいたいとずっと待ち望んでいた。その中でもしチャンスをもらえたら、本当に光栄なこと。楽しみで仕方がない」
飄々とした風貌。淡々とした受け答え。だけどその裏に秘めている熱い情熱。ホーム初先発はこれ以上ない大舞台。静かに燃える塩谷の心身を、サポーターは「見せてやれ、お前の力」という横断幕で支える。

広島が勝利して仙台が敗れれば、クラブ創設20年目の初優勝が決まる。だが、そんなことを考える必要はない。今の広島が考えるべきことは、ホーム最終戦を勝利で飾り、満員になるであろう広島ビッグアーチを埋め尽くしたサポーターと歓喜を叫ぶこと。1年間、共に闘ってくれたサポーターに感謝の勝利を捧げることだけだ。
練習が終わり、クルマで帰路につく森保監督の視界に、「仲間を信じて自分を信じて。俺達はサンフレッチェを信じてる」というメッセージが書かれた横断幕が映った。すると指揮官はクルマを止め、ドアをあけてサポーターの前に立ち、彼らの熱意に応えた。決意と感謝。強い想いを強く感じたサポーターは「もりやす・はじめ、オオオーオー」、懐かしい現役時代の森保コールを愛すべき監督に捧げた。

サポーターも闘う。監督も、そして選手も闘いぬく。2012年11月24日、広島ビッグアーチ。永遠に歴史に刻み込まれる一戦の幕開けまで、あとわずかだ。

以上

2012.11.23 Reported by 中野和也
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