後半終了間際、大阪長居スタジアムにドラマは起こった。1-2とC大阪がリードを許し、敗色濃厚の雰囲気が漂うなか、迎えたアディショナルタイム。これが最後のチャンスになるかというところで、丸橋祐介の蹴った左CKは、ニアサイドでシンプリシオがヘッドで合わせるも、枠をそれる。万事休すかと思われたが、ボールはゴールラインを割らず、そのままプレーオン。生き残ったボールをC大阪が必死につなぎ、攻勢を続けると、90+5分、歓喜の瞬間はやってきた。酒本憲幸の右クロスから、川崎FのGK西部洋平が弾いたところに、詰めていたのは、C大阪MF横山知伸。「『こぼれてこい!』としか思っていなかった」という18番は、昨年まで在籍していた古巣のゴールに、左足で強烈なシュートを突き刺した。この値千金の一撃により、土壇場で2-2の同点に追い付いたC大阪は、J1残留を自力で確定させることに成功。ホームスタジアムは桜色の選手、スタッフ、サポーターの笑顔と大歓声にあふれかえった。
ただし、C大阪にとっては、波瀾万丈の今季を象徴するような、苦しい試合でもあった。出場停止で山口螢を欠き、ケガで万全の状態ではない柿谷曜一朗がベンチスタートを余儀なくされたなか臨んだ一戦。引き分け以上でJ1残留が決まることもあり、「チーム全体のプランが、相手に点をやらないで、カウンターで1点を取る」(横山)という形で、守備を固めて試合に入るも、その思惑は、わずか17分であっけなく崩れた。川崎Fの中村憲剛に鮮やかにゴールを決められ、3戦連続、先にリードを奪われる展開になった。
前半には何度か決定機もあったが、決めきれず、0-1で折り返したC大阪。サポーターからのブーイングも発生したなか、ハーフタイムでレヴィークルピ監督が「人生をかけて戦え!強い気持ちを見せろ!!」とイレブンを鼓舞すると、後半は、前半の守備的な姿勢から一変、本来の攻撃スタイルで反撃に出る。すると、63分、途中からピッチに入っていた酒本を起点に、この日、前半から積極性を見せ続けた今季初先発の17歳、南野拓実が右クロスを送る。そこにゴール前で合わせたのは、横山。2試合連続先発出場となった大型ボランチが豪快なヘッドを叩き込み、試合を振り出しに戻した。
ただ、この後は、前半から躍動する川崎Fに、何度も押し込まれ、なかなかチャンスが作れなかったC大阪。扇原貴宏を送り込んで守備の立て直しを図ったが、逆に84分、川崎F、中村のCKから、最後は小林悠に押し込まれて、再びリードを許した。その間、他会場でも、残留争いのライバルが試合を動かしているなかで、C大阪としては負ければ、何が起こるか分からない、最悪のシナリオも巡ってくる可能性もあった。そこで終盤には、ベテランの播戸竜二を投入。なんとか劣勢を跳ね返そうと反撃に出たなか、最後の最後に、チームの、そして、長居に集まったC大阪サポーターの熱い、必死な思いは、横山のゴールという形で結実した。今季なかなか出番のないなかでも、努力を惜しまずチャンスを待ち続けた苦労人の2得点もあり、C大阪は自分たちの力で、今季最低限のノルマである、J1残留を達成したのだ。
「今は、とりあえず、残留できてよかった」と茂庭照幸も言うように、試合後、C大阪の選手たちは、安堵の表情を浮かべていた。播戸も「全員がしっかりと意識を高く、こういうプレッシャーのなかで、しっかりと結果を残せたことは、次につながると思う」と、この価値ある引き分けの意義を強調した。ただ、今季に関しては14位という順位が示すとおり、不本意な成績であったのも事実。「天皇杯では本当にタイトルを取りたいので、優勝できるよう、またいい準備をして、やっていきたい」と杉本健勇らも言うように、今季残された最後のタイトル獲得に向けて、すでにチーム全体の気持ちは切り替わっていた。
一方の川崎Fは、「ものすごくいい部分が出たゲームと、そして、すごく残念だったなという、両方が最後に残った」と風間八宏監督も言うように、主導権を握り続けながら、目前で勝利を逃し、悔しい引き分けに終わった。それでも、攻撃の核であるレナトが負傷退場するアクシデントに見舞われながら、中村を軸にアグレッシブな姿勢を見せ続け、「後半に限ってはかなり、イメージ的なものは膨らんだんじゃないかと思う」と指揮官が描く理想のサッカーも、垣間見せることはできた。これで最後の5試合は3勝2分と負けなしで乗り切り、順位も8位で終了。来季への手応えをつかみつつ、こちらも悲願の天皇杯制覇に向けて、前を向いていた。
以上
2012.12.02 Reported by 前田敏勝
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