スタジアムにはジョルジーニョ監督へのメッセージが数多く掲げられていた。試合を終えた監督がピッチの中央でマイクを握りしめ、その背後には選手・スタッフが整列している。監督はまず、期待された成績を残せなかったことを謝罪した。
「サポーターの期待に応えられず本当にすいません。その責任は僕にあります」
その後、帰国を決断しなければいけなかった経緯に差し掛かると声は震え、あふれる涙を堪えるためにしばしの沈黙がスタジアムを包む。すると、すかさずスタンドから「ジョルジーニョ!」という声が上がり、万雷の拍手が巻き起こった。
試合は、ジョルジーニョ監督のリーグ戦ラストマッチを勝利で終えたい鹿島の意地と、ACL出場権を手に入れたい柏の勝利への欲がぶつかり合う。先に主導権を握ったのは鹿島だった。セカンドボールを支配すると左サイドのジュニーニョへ展開。すかさず新井場徹が攻撃参加すると、柏は同サイドをレアンドロ ドミンゲスが守っているため守備で後手に回る。慌てて栗澤僚一がカバーに走ると、中央が大谷秀和のみとなり、なかなか先手を取ってボールを奪えずにいた。
先制点もその左サイドから生まれる。41分、新井場が一度は奪われたボールを再び奪い返し、中央のドゥトラへ送ると、ドゥトラはさらに前でボールを呼び込む大迫勇也へスルーパス。しかし、これを近藤直也がスライディングで阻止したのだが、不運にもボールはドゥトラの足下へ。それをダイレクトで再び大迫へはたくと、ゴール前にぽっかりシュートコースが空いてしまう。少し距離はあったが大迫が左足を振り抜くと、菅野孝憲の手が届かない弾道を描き、ゴール右に突き刺さるのだった。
「前半は非常にミスが多く厳しい展開になりました」
ネルシーニョ監督がふり返ったとおり、柏のイレブンとしては不本意な45分だっただろう。鹿島がロングボールをうまく利用してきたことに付き合ってしまったのか、「急いで逃げのようなロングボールを蹴る。そういうところが目に付きました」と監督が言うように、ボールをキープして相手を押し込むよりも、長いボールが増えてしまったのは誤算だっただろう。
後半の途中から栗澤に代えて、リーグ戦初出場となる山中亮輔をピッチに送ったが、試合展開を大きく変えるまでには至らない。逆に、「なかなか攻撃の形がつくれなかったし相手のブロックを崩すところで苦労していた」(菅野)という印象が強く、鹿島を押し込む時間をつくってもバイタルエリアを攻略することはできず、ミドルシュートでのフィニッシュが多かった。
すると68分に鹿島が追加点をあげる。一瞬、試合が止まった瞬間を見逃さなかったジュニーニョが左サイドでの1対1からゴール前にクロスをあげると、それに鋭く反応した大迫がニアサイドでヘッドを合わせる。フワリと浮いたシュートは菅野の頭上を越えてゴールに吸い込まれる技ありのゴールが決まるのだった。ゴールを決めた大迫はベンチにいるジョルジーニョ監督のもとへ走り寄り、二人は熱い抱擁を交わす。
「ジョルジーニョ監督の『シュートを打て』で吹っ切れた部分があったので、ゴールを決めたあとは素直に監督のところへ走りました」
大迫にとっては起用し続けてくれた監督への恩返し弾となった。
その後、柏は終盤にネット バイアーノらを投入して攻勢に出たが、高いキープ力から反転したシュートは惜しくもゴールの枠を越えていく。茨田陽生の不在も響いたのか、最後まで鹿島の守備陣を崩せず、鳥栖が敗れたことで勝てば手に出来たACLへの出場権も逃してしまうのだった。
ピッチの上では、熱く語りかけるジョルジーニョ監督がいた。
「また会えることを楽しみにして帰ります。皆さんの心の一部を僕の心に埋め込んで、僕の心の一部をこの鹿島に置いて帰国させてもらいます。Jリーグは今日で終了しましたが、まだ天皇杯が残っています。全力で獲りに行きます」
そして最後に「カッシーマ、アントラーズ!」とゴール裏に向けて叫ぶと、それに呼応してサポーター席からもアントラーズの名前が連呼された。この一体感を持って、鹿島は天皇杯へ向かう。
以上
2012.12.02 Reported by 田中滋
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