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【J1:第34節 磐田 vs G大阪】レポート:紙一重のゴール、紙一重の試合。激闘の先の残酷な結末。関西の名門、クラブ史上初のJ2降格――。(12.12.02)

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「最後のボックスの中の質。うちはそこで取りきらないと勝てない。そういうシーズンだったと思うし、それが全てだった」。

試合後のインタビュールーム。無数のフラッシュを浴びたG大阪・松波正信監督が、口を開く。指揮官はこの試合とこの一年を重ね合わせていた。重圧を背負いながらの試合だったが、青黒のスタイルは不変。守ることではなく攻めることで残留を目指した。しかし、待っていたのは残酷な結末だった――。

やはり優勝争いとは雰囲気が異なる。08年の入れ替え戦に似た、どこか重苦しい空気がヤマハスタジアムを支配した。ゲームは序盤から動いた。先制したのは磐田。5分、右サイド・山田大記のクロスが中澤聡太と藤ヶ谷陽介の間に飛ぶ。ライナー性の速いクロスである。どちらが処理するかという微妙な判断を瞬時に求められる場面だった。ゴール前に走り込む前田遼一を背負うようにブロックし、左足でボールに触れたのは中澤。しかし、ボールはそのままゴールへと転がる。カバーに入った加地亮が右足で懸命にかき出したものの、ボールはゴール前へつめた前田の足下へ――。「一声かけていればとか、クロスのところでもう少し寄せていればとか、そういった細かい部分はあるかもしれない。ただ、問題という問題はなかった」。左ひざ内側側副じん帯損傷という大けがから復帰したばかりであり、左足にテーピングを施してピッチに立った加地は失点場面をそう振り返る。

「相手が残留争いをしているということは関係なしに、僕自身、ゴールが欲しかった」(前田)。磐田サポーターが最も欲していたエースのゴールである。ホームチームのサポーターのボルテージは最高潮に達した。しかし、G大阪サポーターも大きなチャントをやめようとしない。両チームサポーターの大歓声が入り乱れる異質な雰囲気。磐田が一気に攻勢に出ることも、G大阪が音を立てて崩れることなく、ゲームは独特な緊張感を保ったまま進むことになる。この後、前半終了まで両者に訪れたチャンスは1度ずつ。29分に倉田秋、その直後には松浦拓弥にそれぞれシュートチャンスがあったが、いずれも決めきることはできなかった。

他会場の結果次第では引き分けでも残留が決まるG大阪。だが、選手たちは他会場の動向よりも目の前の試合に集中していた。ハーフタイム時にも「(他会場の動向は)ぜんぜん聞かなかった」(遠藤保仁)。「自分たちが勝てばどうにかなると思っていたし、勝点3だけを目指していた」と逆転することだけを考えて後半のピッチに立った。
その勝利への執念が後半の立ち上がりに実を結ぶことになる。53分、右サイドの深い位置で家長昭博のショートパスを受けた倉田がドリブルで突進。ロドリゴ ソウト、さらにカバーに入った宮崎智彦を振り切り、角度のないところから右足で豪快にゴールネットに揺らした。
無論、狙うは逆転ゴール。セットプレーからピンチもあったが、それをしのぎきり、一気に加速する。ここで前節・F東京戦で思うようなプレーをさせてもらえなかった左サイドが起点となった。79分、左サイドからのクロスをレアンドロがバー直撃のヘディングシュート。さらにこのこぼれ球をフリーの藤春廣輝が左足で狙うが、シュートは枠の外。この直後にもレアンドロとのパス交換で左サイドを突破した藤春がクロス。これをゴール正面の家長が左足で合わせるが、体を投げ出した宮崎にブロックされる。このこぼれ球を拾った加地のクロスを遠藤が頭で押し込んだが、これはオフサイドの判定。冒頭の指揮官の言葉の通り、持ち前の攻撃で決定機を作り出したが、それを決めきることはできなかった。

となれば、流れは磐田に傾く。決勝ゴールは85分。前田とのワンツーで相手最終ラインの背後へ抜け出した小林裕紀が右足をフルスイング。「ゴール前に何人か味方がいたし、結果的に『打ってしまった』という感じ」(同選手)と振り返る意外性のあるシュートがG大阪ゴールに突き刺さる。試合終了間際には中澤を前線に上げてパワープレーに出たG大阪を振り切り、磐田が9試合ぶりの白星を掴んだ。

この敗戦が意味することはサポーターもわかっている。試合終了を告げるホイッスルと同時にアウェイゴール裏は沈黙。力強い声援は悲痛な叫びへと変わった。遠藤は「こういう状況にしたのも自分たち。これをしっかり受け止めていかなければいけない」と心境を語る。後半開始直後のゴールで反撃ののろしを上げた倉田も「責任を感じる…」と言葉を詰まらせた。4年ぶりにチケットが完売したヤマハスタジアム。試合後のピッチには勝者と敗者のコントラストがくっきりと浮かび上がった。

『まだガンバは終わっていない』。
試合後、松波監督は選手たちにそう伝えたという。一概に比較はできないが、昨季の柏、今季の広島とJ2降格を経験したクラブが2年連続でJ1リーグを制覇したことも事実。新たな歴史を作り出せるか否かは彼ら次第とも言える。だが、この現実を受け止めるにはしばらく時間が必要だろう。関西の名門が来季J1にいないことはそれほどまでにショッキングなことだ。

以上

2012.12.02 Reported by 南間健治
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