昨季、ここぞという勝負所での『1点』が取れなかったことが響いてJ1昇格を逃した千葉と、守備を立て直しきれずにリーグワーストの総失点数88でJ2降格となってしまった札幌。課題はそう簡単には解決できないにしても、新たなチームとなって迎えた今季の開幕戦を見る限り、昨季の問題点を改善しつつあったのは勝利を無失点で飾った札幌だった。
立ち上がりから札幌は千葉のボールホルダーに激しくプレッシャーをかけながら、しっかりと守備のブロックを作って千葉の選手の自由と千葉が使いたいスペースを奪った。それに加えて、千葉の選手は相手のマークを外すような連動性のある動きが少ないため、足元でつなぐパスが多くなる。「攻め急いでのミスを減らす」意識が逆に作用してしまったか、千葉の攻撃は全体的に積極性を欠いた。札幌は早くも3分にMF神田夢実が遠目から思い切りよく狙ったファーストシュートを打ったのに対し、千葉のファーストシュートは19分のMFジャイール。チームの最初の決定機も札幌の方が早かった。15分、ジャイールのパスをカットした神田からのパスを受けたMF内村圭宏がドリブルを仕掛け、打ったシュートは千葉のGK岡本昌弘が右手1本でセーブという場面。千葉は31分、MF兵働昭弘のパスを受けたDF高橋峻希のミドルシュートがクロスバーのわずか上という場面だった。
千葉は1トップのFWケンペスにうまくボールが収まらず、連係も今一つだった。また、負傷から回復中のDF渡邊圭二に代わって左サイドバックを務めたDFキム ヒョヌンは本来センターバックの選手で、守備では光る場面があったものの的確なオーバーラップがなかなかできない。そのため左サイドハーフのジャイールをうまくサポートできず、サイドに張りがちだったジャイールが孤立して札幌の選手2人にマークされる場面が多かった。
だが、ジャイールやMF谷澤達也が厳しくマークされたのは、札幌が「みんなで話し合って1人がかわされてもカバーしようという意識でやっていた」(GK杉山哲)ことを粘り強く続け、「選手一人ひとりが球際で本当に厳しく行っていた」(杉山)ことが大きい。
90+1分、札幌は交代出場のMF砂川誠がアイコンタクトで内村が欲しいタイミングでディフェンスラインの裏のスペースへパス。『裏』を狙う意識を持ち続けて狙っていた内村は右足を振り抜いて豪快なシュートを決め、先制点であり、決勝点となるゴールを奪った。内村自身も高い守備の意識で前線からプレッシャーをかけて走り回り、「なかなか点が取れずに苦しい時間もあったけど、キャンプから我慢ができていたので、そこが良かったかな」と、ここぞというチャンスをモノにした。『マイボールを大事にする』攻撃には課題が残ったものの、大きな課題だった守備で見事に結果を出しての札幌の開幕戦勝利だった。
千葉はボールを保持して攻めてはいてもプレーの判断ミスや精度不足が目立ち、サイド攻撃を仕掛けてもクロスは相手に阻まれ、味方にうまく合わなかった。ディフェンスラインから攻撃を組み立て、攻撃陣の動きを見ていたDF山口智は「流動的にやらないことにはボールは動かない。今日みたいな相手の守り方をされた時には、間、間でボールを受けることによって外も空いてくるし、縦の深みも出せる。でも、余裕がない分、行き当たりばったりになっているかなと思う」と話した。
試合後、鈴木淳監督や選手が口にした『選手の距離間』を改善するには「自分たちでもっと考えてポジショニングをとらないといけない」(谷澤)。連動性のある攻撃ができなければ千葉のJ1昇格達成は難しい。
以上
2013.03.04 Reported by 赤沼圭子
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