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【J1:第2節 F東京 vs 柏】レポート:F東京が柏に3発快勝。昨シーズンと逆転した立場(13.03.10)

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ポポヴィッチ監督は、開幕戦が終わった後、次の対戦相手の名前を聞くと表情を変えた。日本語で「カシワ?イツモギリギリ」と言い、首を捻った。
F東京は昨シーズン、富士ゼロックススーパーカップを皮切りに柏とは公式戦で3度対戦した。だが、1度も勝利を挙げることができなかった。戦績は2敗1分。敗れた2試合はいずれも1点差のゲームで試合内容もほぼ同じだった。F東京がボール支配率で上回りながらも、柏の鋭いカウンターやセットプレーに苦杯を喫した。F東京の選手たちには「柏は勝負強い」という潜在意識が植えつけられた。

今節も、昨シーズンのリプレーを見るような試合展開だった。しかし、演じた役回りはまったく違っていた。ボールを握ったのは柏だったが、勝ったのはF東京だった。
途中出場した柏FW田中順也は「相手がコンパクトになっていたので、ボールをもらえる位置が狭く感じた。もっと近くの関係で崩したかったが、サポートのない状態でボールをもらうと厳しい」と試合を振り返る。F東京が築いた守備ブロックの外でボールを回す時間が続いた。そうした状態でも、柏は前半14分に工藤壮人が個人技で打開し、後半31分にはクレオが決定機を迎えた。しかし、いずれもGK権田修一が阻み、得点には至らなかった。

F東京は最終ラインと中盤の距離を縮め、スペースを消し続けた。高橋秀人は「昨シーズンのラインを高くしてハイプレッシャーをかける守備にプラスして今シーズンはリトリートした守備ができている」と胸を張った。この守りが機能したのは、早い時間に先制点が奪えたからだろう。
開始6分に、「先制点を取れば、そのままいい流れになる。だから狙っていきたい」と話していたFW渡邉千真が柏の最終ラインの背後に抜け出すと、米本拓司からのパスに反応して左足でネットを揺らした。この一刺しがそれぞれの精神的な立場を変えた。柏MF茨田陽生が「早い段階で取られてしまい、焦りが生まれた」と言ったのに対し、F東京MF米本は「相手に持たれているというよりも、持たせているという意識の中でプレーできた」と話す。リードを奪ったF東京は優位に立ち、勝ちきるためのサッカーにシフトすることができたのだろう。

その後、F東京はショートカウンターからゴールを重ねた。渡邉千真は後半28分にも左サイドからパスをつないで追加点を挙げた。攻めに人数を割く柏をあざ笑うかのように、後半33分には長谷川アーリアジャスールがダメ押しの3点目を決めて突き放した。それらの攻撃を支えたのは、完璧な守備。最終ライン、中盤ともに選手の位置取りが的確でチャレンジ&カバーの関係もしっかりしていた。特に米本と、高橋のドイスボランチは秀逸だった。1試合を通じてボールがある場所に顔を出し、勝負どころと踏んだ場面では勢いよく攻め上がって攻撃の速度を一気に上げる。柏にジョルジ・ワグネルの戦線離脱というアクシデントがあったが、それを差し引いても思わぬ点差がついた。
F東京は最後まで柏の攻撃を跳ね返し続け、試合は3−0で終了した。
試合後の指揮官の言葉も、表情も昨年とは真逆だった。ポポヴィッチ監督が「3−0という結果はうれしい。特に今日の相手は柏だったのでなおさらだ」と上機嫌に語ったのに対し、ネルシーニョ監督は「相手の出来が非常によかった。我々はすべての面で下回った」と表情を曇らせた。

昨シーズン、F東京は多くの試合で勝点を取りこぼしてきた。勝負弱い印象はここ数年、ずっと拭いきれない懸念事項。だが、米本の言葉は、端的に成長の証を表している。「僕たちはこういうサッカーもできることを今日は見せられたと思う」。
今シーズンのF東京は一味違う。それを印象付けるには、格別の試合内容だったのかもしれない。

以上

2013.03.10 Reported by 馬場康平
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