浦和は12日、タイプレミアリーグの王者SCGムアントン・ユナイテッドをホームで迎え撃ち、ACL初勝利を目指す。
先月26日に敵地で戦ったACL初戦の広州恒大戦ではマルチェロ・リッピ監督の策略にはまって0−3の完敗を喫した浦和だが、選手たちは反省すべきポイントがあったことを認めつつも自分たちのスタイルで戦えていたことには手応えを感じていた。
そして4日後に迎えたJリーグ開幕の広島戦で内容の伴った白星を飾ると、9日の名古屋戦でも1−0というスコア以上に充実したパフォーマンスを披露。「公式戦最初の試合に0−3で負けたことはショックだったけど、内容を見たら悲観するものではなかった」(森脇良太)という感触が間違っていなかったことを示した。
広州恒大のように引いて守ってカウンターという形を狙ってこなかったということは頭の片隅に置いておかなければいけないだろう。永田充も「引かれたりすると何ができるかというのがあるのでそこはまだこれから」と試合展開の性質の違いは理解している。ただ、そのなかでも改善できるところは改善したという手応えはある。永田は「ACLで出た問題は広島戦と名古屋戦で修正できていたと思う。(浦和の攻撃が)弾かれた時に起点になる選手を潰せていたし、2次攻撃、3次攻撃ができていた」と力を込める。
浦和は6試合しかないグループリーグで黒星スタートとなってしまっただけに、ホーム初戦となるこの一戦は絶対に落とせない。選手たちも今回のムアントン戦の重要性を理解している。「内容が良くて結果も出るのが一番だけど、公式戦ではたとえ内容が苦しくても勝ち切る強さが求められる。そういう時に勝ちを拾える強さが大事。ACLでは初戦を落としているので突破のためにはホームで勝点3を取らないといけない」。槙野智章はどういう形であっても絶対に勝つと闘志を燃やしていた。
対戦相手となるムアントンは前身のチームが1989年創設と非常に若いチームだが、2007年にタイの巨大なスポーツメディアグループに買収されてから状況が激変した。その年にディビジョン2で優勝を果たすと、翌年にはディビジョン1を制覇、そして3年目の2009年にはプレミアリーグを制し、たった3年間でタイリーグの頂点に立った。プレミアリーグ昇格以降の4シーズンで優勝は3回を数え、昨年はなんと無敗優勝を成し遂げている。ムアントンは瞬く前にタイ最強チームへと上りつめたのだ。
豊富な資金力を誇るムアントンは数多くのタイ代表を抱えているが、オーストリア代表のRoland Linz、マケドニア代表のMario Gjurovskiなど要所には外国人選手を置いて総力を高めている。ただ、そのなかでもエースとして君臨しているのはタイ代表でも活躍しているTeerasil Dandaだ。昨シーズンはリーグ記録の24得点をマークして、ムアントンの無敗優勝に大きく貢献した。浦和としては彼に自由にプレーさせないよう気をつけたい。
ムアントンは日本とちょっとした縁のあるチームでもある。主に仙台や山形で活躍した財前宣之がタイ・プレミアリーグに挑戦するということが話題になったことを覚えている方もいると思うが、その時のチームがムアントンだ。全北現代との開幕戦でゴールを決めた背番号40番、キム・ユジンは2006年に鳥栖、2010年には横浜FCでプレーしていた。また、チームは今年から磐田と業務提携を結ぶなど日本と様々な結びつきがある。
ムアントン戦は名古屋戦から中2日と過密日程のなか行われるが、シーズン前にターン―オーバー制を示唆していたペトロヴィッチ監督がどこまで選手を入れ替えてくるかにも注目。先発起用が濃厚なマルシオ・リシャルデスは「1年通していろんな試合があるし、誰にもふさわしいタイミングは来ると思う。常に100%の準備をすることは少なくてもできることだし、今まで良い準備をしてこれたと思っている」と気合十分だ。浦和はJリーグ開幕2連勝の勢いを持ち込み、ホームでタイのチャンピオンを打ち破る。
以上
2013.03.11 Reported by 神谷正明
J’s GOALニュース
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