やるべきことが明確であったかどうか。それがこの一戦の明暗を分けたポイントだったように思われる。
そして、それを強く意識し、実際体現もしたのが徳島であった。チームは今季初勝利に到達するため、またそこへ近付く重要なカギとなる先制点を奪うため、立ち上がりから一貫してシンプルに福岡ゴールへ─。結果、その戦いが勝機を切り開き、徳島は目指した先へ辿り着いたのである。
徳島の選手たちは開始のホイッスルすぐから手数をかけない形で福岡の最終ライン裏を狙い続けた。斉藤大介らDF陣が早いタイミングで中盤を飛ばすロングフィードを送り込めば、そのボールをいい位置で受けようと最前線の高崎寛之や津田知宏は左右への移動も入れながら、ギリギリの位置にポジション取り。何度かオフサイドを取られながらも、裏のスペースを陥れようとする姿勢を継続していったと言えよう。
すると30分、ついに徳島は徹底したその攻撃を結実させる。藤原広太朗の送ったペナルティボックス内へポトリと落ちるボールを高崎が諦めることなく猛然と追いかけてPKを獲得し、喉から手が出るほど欲しかった先制点を奪取したのだ。
また、そうして続けたシンプルな形は、福岡に守備のリズムを作らせない攻めの変化というところにも効果を出したと言っていいだろう。事実、そのことを物語っていたのが39分のシーン。それは大崎淳矢が2点目を挙げた場面だが、左サイド奥で津田と藤原の行った狭いエリアでの繋ぎも、そこからゴール前の高崎へ入った短いくさびも、福岡の対応を後手に追いやっていた。それまでのロングフィードの徹底とその時の細かい崩しのギャップが効いたと見て間違いない。
さらに折り返した後半も、徳島は自分たちのやるべきことを常に見失わず実践。背負ったビハインドを跳ね返そうと前に出てくる福岡の背後を前半にも増して狙い、チャンスへ結び付けていった。チームは引き続き効果的なアタックが出来ていたと評価できる。
ただ、後半に関しては反省点も多い。事実、前記のような裏を付くカウンターで何度も決定機を作りながら試合を決定付ける3点目を奪えなかったし、終盤には課題であった守備の緩さもまた顔を出していた。それによって福岡を突き放せず、逆に差を詰められてヘタをすればJ通算100勝目ともなるこのメモリアルな勝利を逃す危険性もあったのだから、徳島としてはマズかったそれらの部分を真摯に受け止めなくてはならない。
とは言え、とにかく徳島は今節で今季初勝利を手にした。「自分のゴールも嬉しいですけど、チームが勝ったことが何より嬉しいです」と語った大崎をはじめ、引き上げてきた選手たちの誰もに安堵の表情が見て取れたが、これをいいキッカケにしてチームはきっと再スタートを切れることだろう。それだけに今からもう次節(3/24・岐阜戦)が楽しみに思われる。
さて逆に敗れた福岡についてだが、こちらは徳島とは対照的に、チームとしてどう戦うのかがほとんど伝わってこなかった。石津大介も「ばらばらだったと思います」と悔やむ言葉を口にしていたが、前節までの3戦と大きく違い、組織内の意識統一を欠いていたと言う他ないだろう。
しかしながら、終盤には後半投入された船山祐二と坂田大輔を上手く活かし、本来の輝きを見せるところもあった。そうした修正がピッチ上で出来るのだからこの敗戦が尾を引くようなことはおそらくないはず。ホームに戻っての次の戦い(3/24・札幌戦)では再び連動感ある今季の福岡の姿を取り戻すに違いない。
以上
2013.03.21 Reported by 松下英樹















