結果は引き分けだったが、試合後の両チームのサポーターの反応は実に対照的だった。追いついての引き分けで4戦無敗としたこともあってか、鳥取サポーターはゴール裏スタンドに挨拶に来た選手を拍手と声援で迎えた。
だが、千葉サポーターは試合終了直後からブーイング。さらに、昨季は千葉に期限付き移籍していた鳥取のDF武田英二郎が2008年から2009年7月まで千葉に在籍したMF奥山泰裕に声をかけてゴール裏スタンドに挨拶に行くと一斉に大音量の拍手で称えたが、千葉の選手が挨拶に行くとまたブーイングが起こった。追いつかれての引き分けという結果もあるだろうが、選手のプレーもベンチワークもやるべきことをやりきったという試合内容だったら、反応はまた違ったかもしれない。
キックオフ直後から勢いよく攻めに出たのは鳥取だった。パスの出し手と受け手の呼吸が合わなかったり、パスの精度の不足や千葉のDFのカバーリングもあったりして前半のシュートはゼロ。だが、縦方向の仕掛けでペナルティエリアの中へ果敢に攻め、得点チャンスを作ろうとしていた。
それに対して、千葉は流れの中からはなかなかペナルティエリアに入れず、得点チャンスを作れない。それでも2度目のCKのあと、CKのキッカーを務めた左サイドハーフのMFジャイールが右サイドに残った形になり、23分、ジャイールがサイドの突破からクロス。FWケンペスが鳥取のDF柳楽智和と競ったあとのこぼれ球を拾ったMF谷澤達也がシュートを決め、千葉が先制した。
前半の千葉はボランチのMF佐藤勇人がディフェンスライン近くへ下がってサイドバックを上げる形でのビルドアップをしていたが、鳥取はうまく対応できなかった。それもあって先制後は千葉が優勢に試合を進めたが、縦パスが入ったり、カウンター攻撃のチャンスになったりする場面でも、選手のポジショニングや意識の問題もあってか、なかなかゴール前までボールを運んで攻めきる形が作れない。思い切って前へと勝負を仕掛ける場面が少なく、ボールは横や後ろに動いてスピードダウン。前線も相手の裏を取るように駆け引きして走る動きが少なく、パスを受けた時は鳥取のプレッシャーも受ける悪循環だった。
後半、鳥取は開始直後から選手が流動的にポジションをとって攻め、主導権を握った。スタメンの新戦力の人数は千葉よりも多いが、選手個々がやるべきことを理解して実践していた。その象徴が、本人曰く「不慣れなポジション」のボランチの位置に守備時は入ったDF田中雄大と、とにかく前へという積極果敢な姿勢でプレーし続けて同点ゴールを奪った奥山だ。特に、田中は守備時には千葉の攻撃を遅らせるようなプレッシャーをかけ、攻撃時は持ち前のキック力を生かしたサイドチェンジのパスで大きな展開を作って効いていた。同じように、本人にしてみれば『不慣れなポジション』でプレーする千葉の左サイドバックのDFキム ヒョヌンが攻守で効果を発揮しきれていないのと比較してしまうと、鳥取はスタメン選考や組み合わせを含めた選手の配置などが適材適所になっていると感じられる。それが2勝2分という今季の戦績に表われているのかもしれない。
失点前から用意されていたジャイールからMFナム スンウの交代後、千葉は交代でFW大塚翔平、MF伊藤大介が入った。だが、ナム スンウは思い切ったミドルシュートで得点を狙うプレーもあるにせよ、3人ともボールを多く触ってリズムを作るような似たタイプの選手。だが、この日の千葉には相手の背後を狙って前にどんどん仕掛けて出て行く推進力のある選手が必要だったように思う。今節の結果のように追加点を取れずに勝てなかったとしても、ゴールに向かって勝負する姿勢の攻撃が多く見られたならば、千葉サポーターのブーイングの音量も違ったのではないだろうか。千葉の攻撃が相手の脅威となるような迫力を欠いた今節のままならば、勝利は遠く、J1昇格はもっと遠い。
以上
2013.03.21 Reported by 赤沼圭子















