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【J2:第5節 横浜FC vs 岡山】レポート:昨年の相似形。1点の重みをチームで表現した岡山が、今年も三ツ沢で勝点3を持ち帰る。(13.03.25)

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まるで、昨年の第12節に行われた横浜FCホームの岡山戦の相似形のようなゲームだった。今節の試合の前の状況が横浜FCにとって昨年と似ていることは、試合プレビューでも触れたが、その試合の中身と結果も昨年と同様に展開した。

昨年の第12節を簡単に振り返る。横浜FCはその前の試合(町田戦)でゲームの入りに失敗して2-4の敗戦。その反省から、素晴らしい立ち上がりを見せ、岡山相手に素晴らしいポゼッションを展開、岡山を自陣に押し込めることに成功するが、岡山も9人がブロックを作り冷静に対応する。そして、67分に田所諒からのピンポイントのクロスを川又堅碁がヘッドで合わせてゴールゲット。その1点を、再び9人のブロックで守りきり、岡山は8戦連続負け無しを達成し、横浜FCは連敗を喫した。

そして、2013年に行われた今回の試合を簡単まとめようとすると、似たような展開で書けてしまうことに気づく。

横浜FC・山口素弘監督は「ゲームの入り方という部分で、選手が受けずに、しっかりとこちらからアクションを起こすというところは良かった」と述べたが、前節の群馬戦で課題となったゲームへの入り方を修正することに成功。岡山よりも一歩速い出足で、試合の主導権を握っていく。それは、前半のシュート数(横浜FC4本、岡山はシュート無し)に表れていた。さらに、横浜FC側には決定機もあった。しかし、「あのボールの回転ならポストに当たれば入るはずなのに、出てきてしまった」と本人も悔やんだ9分の田原豊のヘディングシュート、「前半のチャンスを自分が決めていれば勝っていたので、申し訳ない」という18分、25分、33分の内田智也のシュートチャンスも決められなかった。岡山は3バックとGK中林洋次を中心に我慢の展開となるが、この我慢は後半に実ることになる。

ハーフタイムに、横浜FCは負傷の内田を小野瀬康介に交代させ、岡山も島田譲を仙石廉に代える。コンパクトだった陣形は後半になると徐々に間延びしはじめ、岡山が3-4-3の布陣で狙いとするワイドな攻撃が次第に表現されはじめる。そして、ホーム初勝利を狙う横浜FCは黒津勝を投入し、ワンチャンスを狙う岡山も荒田智之、石原崇兆を投入する。しかし、アウェイということもあるが、より1点の重みを理解していたのは岡山だった。影山雅永監督は「セットプレーで全員が戻るのはいつものこと」と述べたが、セットプレーでは10人がほぼゴールエリア内に戻りゴールに鍵を掛け、クリアのプレーもはっきり行っていた。そして、最後の5分、岡山は乾坤一擲の攻撃を仕掛ける。DF陣も前に上がっての波状攻撃を仕掛け、90+3分、田中奏一のクロスに飛び込んだ植田龍仁朗がヘッドでつぶれると、J2・100試合出場、そして前日に第二子が誕生して気合いが入っていた後藤圭太がダイレクトにゴールにたたき込んだ。それまで、我慢に我慢を重ねた守備陣が最後に見せた1点への執念が、岡山に5試合負け無しの勝点3をもたらし、横浜FCは連敗を喫することとなった。

試合が終わってみると、シュート数は横浜FC12本に対して岡山は4本。試合後の監督と選手のコメントを見ても、試合内容自体はシュート数通りの差があったことは間違いがない。しかし、後半でも横浜FCにはチャンスのシーンはあったが、試合が進むにつれて強固になっていく岡山の守備に対して、こじ開ける力を横浜FCは持ち得ていなかった。寺田紳一は「相手も組織で守ってくる。グループではとても意思も合ってきているので、個で打ち破れる最後の力を個人個人で付けていかないと。『やっていることは悪くないから仕方がない』ではなくて、危機感をもって次は挑みたい」と振り返った。この試合は横浜FCホームだけに勝点3を狙う戦い方を貫くことは当然で、アウェイの岡山と違いセットプレーで全員が戻り続けるという選択はない。それだからこそ、作り続けたチャンスは必ずどこかでゴールに結びつけないといけない。この連敗では、放ったシュートは27本、被シュートは9本。このアンバランスさの解消が大きな課題だ。

岡山は、確かにサッカーの内容としては本来のプレーができなかった部分は多いが、岡山らしい、組織されたプレーは随所に見せた。それは、守備はもちろん、最後の場面で数的同数を作りだす波状攻撃にも見られた。最後のゴールは偶然ではなく、ペナルティエリア内という意味では1人分だけ数的不利だったが、植田がつぶれた場所では、見事に数的優位を作り出している。筆者が岡山に持っている、良く組織され訓練されたチームという印象を、さらに強く認識させられる試合だった。

今年のJ2はまだまだ混戦。試合で得た課題を次に確実に繋げられるチームが勝ち残っていく。この試合後に両チームの選手は、締まった表情で課題へ立ち向かう姿勢を見せた。横浜FCは昨年のホーム岡山戦の敗戦を糧にその次の試合から6連勝を達成した。この試合も、両チームの今シーズンにとって重要な意味を持つ試合となるかもしれない。

以上

2013.03.25 Reported by 松尾真一郎
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