リーグ戦は山あり、谷あり。ごくわずかな例外を除けば、J2を舞台にしたどのクラブも谷を避けては通れない。ここは谷の入り口なのか、底なのか。もう登りきったのか。勝敗と内容は必ずしもリンクしないが、冬に逆戻りすることが予想される3月最後の日、3連勝の山形と2連敗の横浜FCが対戦する。
山形は連敗スタートとなったが、第3節のホーム開幕戦から3連戦を3連勝で乗り切った。一気に3位まで急浮上したが、ここで浮き足立つことは、昨シーズン首位で折り返し、後半失速した経験から何を得たのかということになる。今週のトレーニングの立ち上げで、奥野僚右監督は「3連勝と言っても、一つ一つの勝ち星の積み重ねで、慢心する必要も何もない。みんなで横浜FC戦に向かっていくというところを今日強調しました」と今週末の試合にすべてを集中することを確認している。
囲み取材で現在順位について聞かれ、「今何位ですか? まだ全然意識してないので」と真顔で聞き返してきたのは中島裕希。「連勝すれば上に行けるというところもわかっていたし、連敗すれば下がるということも当たり前のこと」。前節ではゴールライン際まで粘ってロメロ フランクの先制点をアシストしているほか、起点となったり、アシストを記録するなど、3連勝のすべてで得点に絡んでいる。「長崎戦は落ち着いていられたと思いますけども、それ以外は競ったゲームをしてますので、どっちに転んでもおかしくないなという感じはしてます」と3連勝を振り返ったのは、3試合でゲームキャプテンを務めた秋葉勝。そのギリギリの争いで勝利を引き寄せることができているのは、攻撃的なチームのなかで常にバランスを取る秋葉の存在を抜きには語れない。「カウンターを受ける回数も減ってきてますし、後ろの人も潰せてると思います」と今節も中盤で味方を輝かせる役回りに徹する。
横浜FCは岐阜を2-0と下した開幕戦が今季唯一の勝利。ここ2試合は0-1とロースコアの試合を競り負け、スコアレスドローに終わった第3節・G大阪戦から3試合ゴールが生まれていない。シュート数では群馬で15対5、岡山戦で12対4と圧倒しながら、こちらは決めきれず、逆に数少ないピンチで失点を喫している。前節・岡山戦でゴールネットを揺らされたのは後半アディショナルタイム。バックラインからつなぎ、クロスに飛び込み潰れたのは植田龍仁朗、こぼれ球をボレーで決めたのは後藤圭太。ともにリスクを冒してバックラインから上がってきた選手に試合を決められた。
「最後の失点の部分と得点できない部分。サッカーではそこが一番大事だと思うので、残念です」と寺田紳一。特にアタッキングサードでの課題は多いが、山口素弘監督はより広い視点で森を見る。「非常に攻守においてアグレッシブにやってくれたし、いいプレーも見せてくれたなと思います」と全体を評価したうえで、「僕自身もがらっと何かを変えるつもりもありませんし、根気よく続けていくというところが非常に重要かなと思います」と継続を宣言した。昨シーズンもブレずにやり続けたからこそ、最下位から4位まで引き上げることができた。最善を尽くしながら、歯車が好転するそのときを待つ。
ともに組織が整備され、チームとしてのまとまりも、90分間戦い抜く精神力もある。どちらにとっても簡単なゲームにはならないだろう。そうしたゲームにおいて勝敗の分かれ目は、間違いなく細部に宿っている。山形がもっとも警戒すべきは、横浜FCの1トップの高さ、強さと2列目からの飛び出し。最初の3試合は大久保哲哉が、最近の2試合では田原豊が1トップとして先発しているが、そこに当てて来るボールに競り、セカンドボールを拾い、切り換え早く攻撃につなげることができるか。1ボランチ・松下裕樹の両サイドにはスペースがあり、そこを突かれ始めると寺田など2列目からスペースを埋めて対応するが、それはすなわち、1トップに絡む人数が1枚削られるということ。山形にとってはセカンドボールの争いで優位に立ったり、サイドチェンジが容易にできる環境整備につながる。いかに先手を取ってジャブを繰り出し、それによって生じる相手の隙を広げていき、ゴールに結びつけるか。地道なひとつひとつのプレーの質と意志の強さが差となって現れる。
以上
2013.03.30 Reported by 佐藤円
J’s GOALニュース
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