J2全22チーム中、この5試合で勝ち星を挙げられていない2チームが激突する。東京Vと岐阜、喉から手が出るほど欲しい“初勝利”を手に入れるのはどちらだろうか。
開幕戦で『決定機に決めきる重要性』。第2節『シュート1本で終わった超劣勢試合を無失点で守りきった』。第3節『今季初ゴール』、第4節『流れの中からエース・高原直泰が初ゴール』。そして前節は『先制したあとの戦い方』と、それぞれで別々の課題と収穫を手にしながら、東京Vはこの5試合を戦ってきた。その中で、開幕戦の黒星以降は、1点ずつながら4試合で勝点を獲得し続けている。「今が一番苦しい時かもしれない。だけど、何か新しいものを構築するのに、苦しんだ方がより深く強いものができると信じている」三浦泰年監督は直面している“産みの苦しみ”をポジティブに受け止める。選手たちからも同じ言葉が聞こえてくる。ブレることなく、今節も始動から続けてきた自分たちのサッカーで勝点3を目指す。
どうしても勝ちきることができずにいるが、改善策として巻誠一郎は「2点目を取る努力をしなけれないけない」と指摘する。実際、ここ3試合は得点できているが、いずれも1点ずつ。どれだけ安定した守備を兼ね備えていても1失点は想定内だと考えれば、やはり、毎試合1点で勝ち続けていくのは至難の業と言わざるを得ないだろう。
「流れから点が取れるようになってきたし、少しずつゴール前までの良い形が増えてきている」と、攻撃陣も徐々に手応えをつかんでいることは確かだ。だが、「もう1点」を奪うためには、やはり高原の存在が鍵ではないだろうか。今節のポイントとしてもぜひ挙げたい。前節は、「タカさん(高原)にボールを入れて『なんとかしてください』みたいなのも多かった」(飯尾一慶)と、依存的な要素が強かった。加えて、「高原さんがビルドアップに加わっていることで、良い形の攻撃はできるけど、最後のところで力を使ってもらえない」(中後雅喜)。刀根亮輔も「いまタカさんがやっている役割を、もう一人誰かがやって、なんとかタカさんがゴール前で仕事をする場面を増やしたい」と語る。高原をいかにフィニッシュに専念させてあげられるか。得点力アップのための今後の大きなテーマとも言えるだけに、この試合でも注目してみたい。
そのためもあり前節、三浦泰年監督は西紀寛のスタート位置をボランチにした。だが、積極的にボールを受けにいく西から自分たちのリズムを作り、その西が得意のサイドに持ち込んでいくことで中盤が形を変えながら全体的に流動しながら攻撃していく、という狙いがあまり機能しなかった。「まだ1試合。これからじっくり時間をかけてやっていく」と語る三浦監督。同熊本戦の後半、中後をボランチに入れ、西を一列上げたことでボールが回るようになった感はあったが、果たして中盤構成をどのように選択をするか。あわせて注目だ。
また、前節は3バックを採用した。「どちらかというと、誰が誰につくか役割がはっきりするからわかりやすいですね」と、刀根は3枚の利点を述べる。一方で、「どうしても3枚だから、両サイドが空いてしまいがち。そこを使われないように。あとは、守備的になったときに5バック気味になるので、その前の前線とのスペースをバランスよく埋めることが大事」とは中後。守備ではDFとボランチの連携が鍵を握りそうだ。
相手の岐阜は今季まだ無得点だが、「そういう相手の方が逆に怖い。気を付けないと」刀根は、より一層警戒心を強めていた。
その岐阜は、やはり“1点”が、まず何よりの課題だろう。勝つためには得点が必要だからである。やはり、FWとして期待がかかるのは美尾敦だ。前節vs徳島戦でも、退場者が出て1人少なくなった中、ゴール目指して奮闘した。チーム全体も、数的不利の状況から逆に流れを引き寄せられたことはポジティブに捉えていいのではないだろうか。
さらに、今節は李漢宰が出場停止から、服部年宏が長期離脱からと、チームの要となる両ボランチの復帰が濃厚と、プラス材料が続く。特に、服部が入ることで守備はより安定するはず。また、熟練したパスさばきでゲームをコントロールし、杉山新、染矢一樹といった縦への推進力ある両ワイドをより生かした攻撃ができるようになれば、得点力不足も解消される可能性も十分ありそうだ。服部の復帰を起爆剤に、今季初勝利と最下位脱出を目指す。
ところで、東京Vは10年、11年に岐阜戦がシーズン初勝利の相手で、その勝利をきっかけに成績を上げていくという因果がある。特に10年は同じく6試合目での対戦と同じタイミングである。チームは毎年変わるため、単なるデータと一笑してしまえばそれまでだが、好相性を意識することで気分良く試合に臨めるのであれば、利用しない手はないだろう。実は、この情報を提供をしてくれたのは選手である。言うまでもなく、利用する気満々ということだ。
さらに心強いのが、中後の言葉である。「僕は鹿島時代、6試合目が初勝利だった年に優勝したことがあるので、(5試合未勝利を)そんなに悲観していませんよ。07年、同じように監督が代わった最初の年で、最初はなかなか上手くいかなかったですけど、1勝してから徐々に良くなったというのを経験しているんでね」。岐阜相手、6節目と、東京Vにとって“データ上”で好条件揃ったこの試合。吉兆とできるか。そんな角度から見ても楽しいかもしれない。
以上
2013.03.30 Reported by 上岡真里江
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第6節 東京V vs 岐阜】プレビュー:東京Vにとって吉兆揃う「第6節」「岐阜戦」。好データを味方に初勝利なるか?(13.03.31)
- 終盤戦特集2025
- アウォーズ2025
- 明治安田J1昇格プレーオフ2025
- 明治安田J2昇格プレーオフ2025
- J3・JFL入れ替え戦
- AFCチャンピオンズリーグエリート2024/25
- AFCチャンピオンズリーグ2 2024/25
- はじめてのJリーグ
- Jリーグ×小野伸二 スマイルフットボールツアーfor a Sustainable Future supported by 明治安田
- 明治安田Jリーグ百年構想リーグ
- 2025 月間表彰
- 2025 移籍情報
- 2025 大会概要
- J.LEAGUE FANTASY CARD
- 2025 Jリーグインターナショナルユースカップ
- シャレン Jリーグ社会連携
- Jリーグ気候アクション
- Jリーグ公式試合での写真・動画のSNS投稿ガイドライン
- J.LEAGUE CORPORATE SITE













