前戦の仙台戦でリーグ戦初勝利を挙げた新潟。ヤマザキナビスコカップ前節のＣ大阪戦に続いて公式戦2連勝と上昇の兆しが見えてきた。流れを断たないためにも、白星は必須だ。鹿島もリーグ戦、ヤマザキナビスコカップと接戦をものにして、チーム状態を上げてきた。予選リーグ突破の足がかりにするためにも負けられない。

上昇機運の新潟にあって、自らもトップギアに入れようしているのがMF田中亜土夢だ。ここまでリーグ戦5試合、ヤマザキナビスコカップ2試合と全試合フル出場。「ちょっと疲れています」と苦笑いするが、精神面では充実している。左サイドで攻撃の起点を作り、自らもゴール前に顔を出す。「空いたらシュートを打とうと思っている」。まだ今季の公式戦は無得点だが、ほぼ毎試合シュートは記録。得点への意欲は旺盛だ。

特に意識しているのがミドルシュート。「今まで、あまり狙うシチュエーションがなかった」が、鹿島戦はそこを軸にする。相手守備がゴール前に引いたところを狙う。外れても、こぼれ球を奪えばチャンスは生まれる。「積極的にミドルを打って、相手が出てくれば、スペースもできる」。攻撃の形を作る上でも自身のプレーの重要性を自覚する。

新潟は、仙台戦では流れの中から得点を決めた。攻撃の連動性に手応えを感じている。ただ、田中は「1つ勝ってホッとしました。でも、特に雰囲気が変わったわけではないです。やることは今までと同じなので」。浮かれたそぶりはまったくない。「まず勝つこと。そうすればもっと自信がつく。その中で自分もゴールに絡めればいい」。連戦の疲れは毎日のマッサージ、睡眠、食事と体調管理の徹底で取り去っている。そして愛犬と過ごすことでリラックス。養った英気をチームの3連勝に使う。

鹿島はしぶとい試合を重ねている。リーグ戦第5節は好調・Ｃ大阪に1-0。相手のミスを確実にものにして遠藤康が奪った得点を手堅い守備で守り切った。

リーグ戦、ヤマザキナビスコカップの合計7試合で1点差以内のゲームが5試合。その内訳は3勝2引き分けと負けなしだ。小笠原満男の組立てを軸に両サイドを使った攻撃、出足の速さが機能してきた。

新潟戦は、ヤマザキナビスコカップ予選では昨年は勝利しているが、リーグ戦では2008年の第4節を最後に未勝利が続く。相性の良さはいまひとつ。その分、ここで勝点3を奪うことが勢いにつながる。

新潟にとっても、負けられない試合だ。3連勝となれば勢いは自信に変わる。どちらも今後の流れを作るためにも大事な一戦。1点を争う攻防になる。

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2013.04.09 Reported by 斎藤慎一郎（ニューズ・ライン）