4位・Ｃ大阪と3位・大宮の上位対決は、終盤85分のズラタンの決勝弾により、1−2でアウェイの大宮が勝利した。この結果、大宮は2009年シーズンに鹿島が築き上げた17試合連続無敗というJ1リーグ戦記録に並んだ。一方のＣ大阪は前節の鹿島戦に次ぐ惜敗で、今季初の連敗。また、ホーム公式戦でも2013年初めて黒星を喫してしまった。

Ｃ大阪にとっては痛恨の敗戦だった。1-1で進んでいた後半途中、大宮DF高橋祥平が2度の審判への異議により退場処分を受けたため、数的優位に立っていた。それまでも、いつ勝ち越し点を決めてもおかしくない内容だった。しかしながら、11人対10人の戦いになって、失速したのはＣ大阪のほうだった。「チームとしてはっきりとした攻め方ができなかったというのもあるが、1人少ない相手に負けるということは、本当に情けないことだと思う。言い訳は何もないし、ただ僕らの力不足」。柿谷曜一朗は自らへ、自チームへ、強い憤りをこめて反省の念を口にした。

開始早々から大宮MF金澤慎に50メートルはあろうかというような超ロングシュートを決められ、いきなりビハインドを負う形になったものの、「コンビネーションがよくなったことと、動きの量もいつもより多かった」（枝村匠馬）Ｃ大阪は、徐々に持ち味のパスワークを見せ始め、チャンスを作り出していた。すると、前半終了間際の45分には、その攻勢が実り、扇原貴宏のダイレクトフィードから、絶妙なトラップで抜け出した柿谷曜一朗が今季4得点目となるゴールを決め、一度は同点に追い付いた。

分岐点は、後半の選手交代と、退場シーンからだった。59分、Ｃ大阪のレヴィークルピ監督は、「レヴィーセレッソ」の象徴である左サイドバックの丸橋祐介を下げて、ヤマザキナビスコカップＦ東京戦でも活躍した楠神順平を投入。山口螢をボランチへ、扇原を左サイドバックへ、それぞれポジションチェンジさせ、攻撃のさらなる活性化を図る。しかし、5分後の退場シーンから、相手が4-4のブロックをしっかり敷いて守備を固めてきたこともあり、その配置転換が機能しなくなってくる。

さらに、72分には枝村に代えて、南野拓実を送り込んだＣ大阪だが、献身的なフリーランニングを続けていた枝村の不在もあり、攻撃が停滞。加えて、大宮のベルデニック監督が、切り札として、これまでのＣ大阪戦で活躍してきた渡部大輔を77分に右サイドハーフへ入れてきたことで、今度はズラタンや渡部を中心とした、大宮最大の武器であるカウンターで、ピンチにさらされた。

そして、Ｃ大阪の2失点目は、大宮が村上和弘を投入した直後の85分に生まれた。Ｃ大阪の左サイドにて、浮き球のルーズボールをDFがクリアしきれず、渡部に頭でつなげられると、ズラタンに個人技から鮮やかな左足でのボレーシュートを叩き込まれた。そこから、手札を1枚持っていたレヴィークルピ監督が動くことはなかった。そして、ピッチにいたＣ大阪イレブンに、劣勢を跳ね返す力もなかった。

アドバンテージを活かせなかったホームチームには、サポーターからブーイングも浴びせられた。「間違いなく、こういう試合を続けていたら、優勝することなんてできないと思う」と、今後への警鐘を鳴らしたのは、新井場徹。クールダウン時に、最後までひとり、天を仰いだまま動けなかったベテランDFの姿を見るだけでも、この敗戦のショックの大きさが表れていた。「なぜ勝てていないのかということを考えないと、いつまで経っても上には行けない」。公式戦10試合を終えた桜色のチームは、ここからがまさに踏ん張りどころとなる。

一方の大宮は、殊勲の金澤、ズラタンだけでなく、富山貴光、青木拓矢、北野貴之ら、それぞれが献身的にプレーを続け、リーグ戦3連勝を達成した。「大宮は『闘える』集団なんだと。相手と戦うことを恐れない、1人少なくなっても最後まで貫き通す、そういった強さを見せた」と、選手たちを称えたのは、ベルデニック監督。「（Jリーグ無敗）タイ記録のことを、我々はまったく考えていない」と述べた63歳の知将だが、「ひとつ言えることは、17試合負けていないという部分で言えば、自分たちのプレーが、攻撃も、守備も、両面において安定してきており、そういうプレーの質の向上が、記録につながっている。17試合負けていないということは、偶然ではなし得ないこと」と、昨シーズン途中から作り上げたチームの成長に、胸を張った。

以上

2013.04.14 Reported by 前田敏勝