岡山にとって前節の千葉戦は、2013シーズンの最初の険しい頂だったと言えるだろう。豪華な攻撃陣とリーグ最少失点の守備を備えた千葉に対し、岡山は2位という、相手よりひとつ上の順位からぶつかり、スコアレスで引き分けた。スピード感と緊迫感に満ちたこのゲームで、的確なアプローチを繰り返した守備は最大の見どころだった。それだけでなく、積極的に仕掛けて千葉の守備を崩す場面を作った。

「特にディフェンス面では大きな破綻をすることなく、最後まで集中力を保ってよく守ってくれた」と、ゲームを振り返った影山雅永監督はこう続けた。「攻撃面でさらに勇敢に攻めることができれば、このような強豪相手にも勝点３が見えてくるのかもしれませんが、我々にはまだそこまでの力はない。もっともっと成長する必要がある」。

中2日で、今季初のナイトゲームに迎える対戦相手は、京都。京都は前節、横浜FCと対戦し、数々の決定機を作り出しながら、開始早々の失点を最後まで取り戻せなかった。主導権を握りながら、ほんのわずかな精度に欠け、あるいは不運があった。京都は第5節富山戦と第6節徳島戦に連敗した後、フォーメーションを【4−4−2】から【3−1−4−2】に変更している。MF田森大己をアンカーに置き、三平和司、工藤浩平、横谷繁、キャプテンの安藤淳の４人が中盤から前線を自由に動き、２トップに絡むスタイルにしたことで、ボールと人の動く京都らしさがより強く発揮されている。

京都の強さはタレント豊富な攻撃の交代カードにもある。前節はFWサヌが先発出場し、FW久保裕也、FW宮吉拓実がゲーム終盤に投入された。やり方を変えずに、投入選手の持ち味で攻撃に変化をつけ、終盤にかけて重さを増してくる京都の攻撃は厄介で、先制点は重要だが、前節の横浜FCのように開始1分でゴールを奪っても、決して有利には働かない。昨年5月のホームでの対戦でも、岡山がMF田所諒のゴールで先制後、サヌ、工藤に決められ、サヌには宙返りまで披露されている。京都は今節、DF染谷悠太が警告の累積で出場停止だが、前節途中からMF中山博貴を入れて準備を整えている。

ともにショートパスを繋ぎ、狭いスペースも得意なチームで、この対戦カードは昨年から、大木武監督が標榜する「もう一度見たくなるサッカー」となっている。しかし岡山はハードワークがベースであることに対し、京都には圧倒的な巧さがある。ならば見どころは、前節の千葉戦で比較的自由に動かせてもらったボランチ・千明聖典と仙石廉による攻撃の組み立てと、ワイドの使い方だ。

岡山は今、険しい頂に立つことが出来ている。そこから見えるのは、さらに険しい頂と高みだ。自信を積み上げていきながら、ひとつひとつのゲームに挑んでいく。それがJ2を戦う岡山の道であることを、ホームで見せてくれるだろう。

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2013.04.16 Reported by 尾原千明