NACK5スタジアム大宮が戦慄した。55分、1点を追う清水。カウンターから中央をドリブルで持ち上がった高木俊幸が、菊地光将のスライディングと入れ違いに左サイドに張ったバレーにパス。大宮の右サイドバック今井智基が必死に追うが、バレーは一段とギアを上げて自らゴールに迫る。スピードと走力に優れ、フィジカルモンスターの異名を取る今井でさえ追いつけない。その勢いのまま左足で江角浩司のニアを抜き、試合を振り出しに戻したバレーは、83分にも高木俊幸のパスから決勝点を挙げる。バレーの完全復活を印象付ける2ゴールで、清水が大宮との撃ち合いを制した。
ともにリーグ戦から先発を入れ替えて臨み、大宮はカルリーニョスが今季初先発。清水はバレーをベンチに置き1トップには瀬沼優司でスタートした。
序盤は大宮のペースだった。前線からアグレッシブにプレスをかけ、清水にロングボールを蹴らせ、セカンドボールを拾って攻撃を仕掛ける。清水も前線からプレスに来ていたが、落ち着いてボールを持って攻めることができていたし、ロングボールにも清水慎太郎が競り勝ち、攻撃局面でもセカンドボールを拾えていた。ただ、前線でタメが作れず、攻撃は単発でなかなかペナルティエリア内に入れず、前半に記録した9本のシュートもミドルが多かった。
25分過ぎから、次第に大宮はそのペースを失う。一つの要因として、久々に出場したカルリーニョスが「正直、なかなか試合に入れていなかった」(ベルデニック監督)ことが挙げられる。プレスにズレが生じ、カルリーニョスの背後をケアするため左サイドバック村上和弘のポジショニングが浮き、その背後へ高木純平に飛び出される場面が目立ち始めた。オフサイドが取れないためDFラインを押し上げられなくなり、それでも青木拓矢と上田康太のダブルボランチがベンチの指示通り清水のダブルボランチのマークに行くと、最終ラインの前に大きなスペースが生じ、なおさら清水のスピードある2列目が躍動する結果となった。
その状況に危機感を募らせたカルリーニョスが、35分ごろから自身の判断でボランチの位置に陣取り、押し出される形で上田康太が左サイドハーフに出て行くなど、この時間帯の大宮は組織として機能していなかった。41分には完全にバイタルで翻弄され、左サイドへスルーパスを通され、高木純平のクロスにフリーで八反田康平が飛び込んだ。江角のビッグセーブで事なきを得たが、完全な決定機だった。
後半、大宮はカルリーニョスに代えて渡邉大剛をピッチに送る。同時に清水は瀬沼に代えてバレーを投入して勝負に出た。この交代策はともに効果を挙げた。清水はロングボールをバレーに集め、「セカンドボールも拾えたし、バレーがタメたところを後ろの選手が追い越して行けて、良いリズムが生まれた」(平岡康裕)。大宮は渡邉が気の利いたポジショニングでボールを引き出し、動かした。上田と青木の高い位置取りも続いており、大宮の先制点はそこから生まれた。50分ごろからポゼッションして押し込み続けた大宮は、村上まで含めた7人で攻めたて、52分に村上のショートパスから抜け出した清水慎太郎が櫛引政敏の股を抜いた。
ただ、先制はしたが、狭い場所に人数をかけて強引にこじ開ける攻めは、大宮らしくなかったのも事実だ。55分のバレーの同点ゴールのシーンでも7人が攻撃参加しており、「攻めている時間にいかに守備の準備をするかということに関して、反応が遅かった、または準備が足りなかった」とベルデニック監督が振り返った通りである。
大宮は60分にズラタン、66分にノヴァコヴィッチを投入。決勝トーナメント進出への本気を感じさせた。試合は互いに間延びし、カウンターの応酬の様相を呈した。79分、清水が右サイドのスローインを得る。DFも前線に上がり、カルフィン ヨン ア ピンのロングスローと見せかけて、吉田豊がクロス。混乱した大宮守備陣のマークを振り切った平岡康裕が逆転ゴールを決めるが、大宮も80分、渡部大輔の左スペースへのスルーパスにズラタンが抜け出し、クロスにノヴァコヴィッチが詰めて同点。しかし83分、清水は竹内涼が高い位置でボールを奪い、高木俊幸が中央をドリブルで仕掛け、3人を引きつけて右でフリーのバレーへ。さすがの決定力をバレーが見せつける。1点を追う大宮も最後まで攻めたが、89分に清水の最終ラインのミスからボールをさらったズラタンが絶好機を外し、大きなため息とともに試合は終了した。
大宮は、あまりにも『らしく』なかった。攻守にバランスを欠き、チームコンセプトである「組織的なプレー」を貫徹できなかった。試合前に上田が「みんなアピールしようと、ゴールをねらっていく気持ちは大事だけど、バランスを崩して攻めるのは良くない」と語っていた通りになってしまった。リーグ戦では絶好調なだけに、控え選手のモチベーションの持ち方は難しい。これがカップ戦の怖さでもある。「リーグ戦とカップ戦を戦い抜くには、やはり自分たちに力がまだ足りないのかなと思う」とベルデニック監督は総括した。これでヤマザキナビスコカップでは3敗となり、残り1勝しても最高到達勝点は9。1位の磐田と2位の横浜FMの状況を見て、決勝トーナメント進出は非常に厳しい状況となった。
清水にとってもこうしたバタバタした撃ち合いはゴトビ監督の理想とは遠かったはずだが、収穫は大きかった。何より今季の補強の目玉であったバレーが、往年のJリーグを震撼させたバレーらしいプレーで2ゴールを挙げたことは大きい。また、2アシストの高木俊幸はもちろん、ボランチに入った竹内涼の出来も素晴らしかった。清水はこれで4月に入ってから公式戦5試合で負けなし。ヤマザキナビスコカップでは勝点5となり、残り2試合のうち横浜FMとの直接対決を残しているため、こちらも厳しい状況ではあるが、決勝トーナメント進出に望みをつないだ。
以上
2013.04.24 Reported by 芥川和久
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