4月28日、岐阜は「ぎふ清流国体・清流大会」で大活躍を見せた『ミナモ』を期限付き移籍で獲得した。岐阜にクラブマスコットが誕生した待望の瞬間である。
とはいえ、ミナモとは不思議な契約を結んでいる。その内容(プロフィール)を一部抜粋すると以下のとおりだ。
氏名:ミナモ(MINAMO)
ポジション:『FC岐阜応援マスコット』
所属元:岐阜県
経歴:ぎふ清流国体・ぎふ清流大会公式マスコット・「清流の国ぎふ」マスコット
期限付き移籍期間:2013年4月28日〜2014年1月31日
『FC岐阜応援マスコット』。つまり非公式マスコットなのだが、これは公式マスコットを持たない岐阜だからこそできる“逆転の発想”。ミナモの契約会見に同席した薫田大二郎社長は「1人でも多くファンやサポーターを増やしていただきたい」と喜びながら、今後の目標を話した。
「たとえば試合会場でキャラクターを持つ自治体の全マスコットが大集合できれば、非常におもしろいイベントになるんじゃないかなと思います」
ミナモの活躍次第では、岐阜県に点在する多くの“ゆるキャラ”獲得に乗り出し、地域との交流を深めることが可能なのだ。マスコットを持たなかった岐阜が、いつしか他クラブの追随を許さぬマスコット大所帯クラブ(!)になる可能性もある。岐阜県内ですでに抜群の知名度と人気を誇っているミナモの任務は「あらゆる試合、イベント、地域貢献活動に出ていただきたい」というモノである。
先陣を切ったミナモの初仕事は、第11節・山形戦のキックオフ前。契約後さっそく岐阜サポーターの前に姿を見せる。……のだが、選手入場口で登場の瞬間を待つその姿に異変が起こっていた。契約会見の場で契約書にサインをかわしたミナモ、『応援するなら、今でしょ!!』とフリップを掲げて会見場の静寂を誘っていたミナモは、確かに体一つだったはずだが、気付けば“大量分身”していたのである。
彼女、あるいは兄弟を持つマスコットはいても、まったく同じ容姿のマスコットが大勢いるなんて、見たことも聞いたこともない。よくよく聞いてみると、ミナモの出身地は『岐阜県のキラキラした川』、長良川の水(しずく)から生まれた妖精とのこと。なるほど極めてシュールな光景ではあったが、しずくの妖精であれば分身も不思議ではない。他クラブにはマネできないであろう、ミナモの荒技である。大勢いても愛らしいその容姿は、どこかの奇妙なカエルとは別の意味で、すぐにでも人気に火が付きそうだ。
「今回、地元FC岐阜へ期限付き移籍することになりましたミナモです。今は苦しい状況ですが、ファンやサポーターの皆さんと一緒に力を合わせて応援して、チームの勝利に貢献したいと思います。応援よろしくお願いします!」
そう言って、岐阜への期限付き移籍を意気込んだミナモ。サッカー界にちなんだ契約だけに、与えられた仕事をサボっていれば“契約満了”もあるようだが、その逆もまた然り。好成績を残せば、12月には来季に向けての契約更改も待っている。その敏腕ぶりに期待したい。
以上
2013.05.02 Reported by 村本 裕太













