第10節の横浜FC対神戸戦(4/21@ニッパ球)の試合後の記者会見で、横浜FC・山口素弘監督は「よく選手に伝えていますが、(サッカーには)表と裏があって、攻撃しているからチャンスかというとそうではなくて、ボールを前に運ぶようになれば裏にはカウンターを受けるスペースを作ると。逆もしかりだと思いますが、相手にボールを持たれてボールを動かされていても、相手陣地には広大なスペースがある」と述べた。まさに、攻守の切り替えの妙が勝敗に大きく繋がるサッカーの一面を表した言葉であるが、今節の横浜FC対福岡も、その言葉を実感する試合になるのではないだろうか。ボールをポゼッションを基調とする横浜FCと、ハイプレッシャーからの早い攻撃を特長とする福岡。異なる特長を持つチーム同士だけに、それぞれのスタイルが持つ表と裏を、よりうまくコントロール出来たほうが、勝点3に近づく試合となる。
より特徴的なサッカーを見せているという意味で、先に福岡の今シーズンの戦いを振り返りたい。マリヤン・プシュニク監督を迎え、福岡は変わったと言って良い。局面で素早いプレスを掛け続け、ボールを奪ったら縦に早い攻撃で素早く相手ゴール前に迫る。その流れは、試合を追うごとにスムーズになっている。前節(5/3@レベスタ)では、首位の神戸を相手にそのスタイルを遺憾なく発揮した。両チーム合わせて33本のシュートが放たれる打ち合いの中、個で上回る神戸に対して組織的な守備から攻撃への切り替えを見せ続けた。さらに、守備でも粘り強い対処を見せた。結果こそ、スコアレスドローで終わったものの、自らのスタイルを出し続けた結果は、プシュニク革命が福岡にしっかり根付いていることを示している。もちろん、ポゼッションタイプのサッカーをする神戸に対して相性の良いスタイルであることは確かであるが、自信を深めた一戦になったことは間違いない。
そして、今節のホーム横浜FCは、やはりポゼッションを基調とするチーム。漫然とゲームに入ってしまうと、福岡のサッカースタイルの餌食となってしまう。ここで考えなければいけないのは、冒頭に挙げたサッカーの表と裏。ハイプレッシャーで来る福岡を、いかにいなしていくのか。守備で前掛かりになった福岡の裏には、必ずスペースができる。そこをしたたかに利用する戦いが必要となる。前節の東京V戦(5/3@味スタ)では、行けるときにはポゼッションを基調としたサッカーを展開し、相手のペースの時にはコンパクトなまま自陣に引くという戦い方の使い分けを明確にした。その結果として、チーム全体で一体感と安定感を持った戦いを展開できただけでなく、大久保哲哉の特長を生かしたPKを含む2ゴール、そして相手の隙を突いた内田智也のだめ押しゴールと、盤石な試合運びを見せた。ようやく歯車がかみ合った勝利を果たしただけに、その流れを今節に繋げたいところだ。横浜FCは5試合連続得点中。エース大久保が2ゴールを挙げたことは、間違いなくプラス材料。サイド攻撃から流れの中で得点するパターンが続いており、あとは守備陣が福岡のハイプレッシャーに動じないことが求められる。
このような構図を考えると、サッカーの表と裏を巡る駆け引きがゲームの大きなポイントとなる。福岡としては、神戸をも苦しめた鍛え上げたスタイルを表現出来る時間にいかに得点に結びつけるか、横浜FCはそのスタイルを受け止めピッチ上で福岡の隙を見つけていくか。そして、最大の注目タイミングは「攻守の切り替え」。連戦、中2日でコンディション的には厳しいが、頭を使い攻守の切り替えを制した方が、勝点3に近づくだろう。
この連休の連戦が終わると今年のJ2は約3分の1を消化したことになる。横浜FCも、福岡も昇格という目標に対しては出遅れているが、上向きの状況にあることは間違いない。次の3分の1での飛躍に向けて大事な一戦となる。ファミリーJoinデイズ2013も開催され、天気も晴れの予報。絶好のサッカー観戦日和。ぜひ、臨場感満点、応援と選手のシンクロ率もさらに上昇中のニッパツ三ツ沢球技場に足を運んで、連休の最後にサッカーの醍醐味を堪能していただきたい。
以上
2013.05.05 Reported by 松尾真一郎
J’s GOALニュース
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