前節、湘南とのアウェイ戦で3-0と勝利し、リーグ戦では3月16日の第3節Ｆ東京戦以来、6試合ぶりの白星を得たＣ大阪。ホームの大阪長居スタジアムに帰ってきた今節では、ACL出場のため、1試合消化の少ない暫定3位の浦和と対戦する。両者の勝点差はわずか1ということもあり、特にＣ大阪にとっては、上位争いを継続するためにも、大変重要な試合になる。

湘南戦では、藤本康太、新井場徹という今季のチームを支える2人のディフェンスリーダーを欠いたＣ大阪だったが、茂庭照幸、山下達也のセンターバックコンビを中心に、2試合連続完封を達成。攻撃陣もシュート21本を放つと、「全員の考えがひとつになった感じがする」（柿谷曜一朗）という連動した攻め崩しから、山口螢が先制点、柿谷が2得点を記録。5戦勝ちなしというトンネルから抜け出した。

しかし、Ｃ大阪のレヴィークルピ監督は、「トータルで見れば相手よりいいが、もっといいサッカーができた。もっといい結果を残せたと思う」と、チームに厳しい評価を下している。「成長する余地はある」というなか、中2日で迎える浦和とのホームゲームでは、さらに気を引き締めて、結果を、数字を、アグレッシブに追求する構えだ。エースの柿谷も、「もっと数字は残せるので、そこは突きつめたい」と、ゴールにこだわる。

ただし、今回の相手となる浦和は、Ｃ大阪とともに、首位の大宮に次いでリーグ失点数2位タイ（6失点）の少なさを誇る。「名前のある人ばかりで、強い」と柿谷もいうように、個の力の強い選手が勢揃い。「タレントが揃っているし、結構ポゼッションしてくる」と丸橋祐介も警戒するように、攻守ともにバランスのとれた戦いができる強豪だ。さらには、ペトロヴィッチ監督の広島時代からの教え子でもある槙野智章、森脇良太の両DFが、積極的なオーバーラップも仕掛けるなど、攻撃のバリエーションも豊富だ。

それでも、Ｃ大阪が手をこまねいているわけではない。むしろ、「浦和でも、やることは一緒。構えずに攻撃的にいけたらいいなと思う」と、Ｃ大阪の顔である8番も語るように、勇猛果敢に攻めに行く。それこそが『レヴィーセレッソ』の本質。たとえ、槙野、森脇が攻めてこようとも、「そこを凌げたら、空いたスペースをうまく、エダさん（枝村匠馬）や（山口）螢が使えばチャンスがある。そこを突いていきたい」と丸橋も言うように、Ｃ大阪にも応戦する態勢はできている。湘南戦で3試合ぶりに先発復帰した丸橋、そして、右サイドの職人である酒本憲幸といった両ワイドの攻撃力も、Ｃ大阪の特長。彼らの出来如何も、勝敗を占う目安の1つになるはずだ。

対する浦和は、5月1日のACLグループリーグ最終戦では、ムアントン・ユナイテッド（タイ）に、アウェイで1-0と勝利し、2位の全北現代（韓国）と勝点10で並ぶも、当該チーム間（直接対決）での勝点で下回り、ラウンド16に進むことができなかった。ただし、2年連続ACL出場を勝ち取るためにも、心機一転、今季のJ1リーグ戦に集中してくるはず。現在、リーグ戦でも2連敗中だが、タイからの移動を含めて中4日で臨む今節のＣ大阪戦には、相当な気合いを入れて乗り込んでくることは、容易に想像できる。チームの中核を担う阿部勇樹が出場停止となるも、広島時代からＣ大阪キラーとして活躍を見せていた柏木陽介をはじめ、マルシオ・リシャルデス、梅崎司、原口元気など、手駒は豊富に揃っているだけに、ペトロヴィッチ監督の選手起用にも注目したい。

「いつも難しいゲームになる。監督は広島の時からいつも同じスタイル。可能性は五分五分になると思う」というのは、Ｃ大阪のレヴィークルピ監督。ペトロヴィッチ監督が広島の指揮官時代から、両者は名勝負を繰り広げてきており、互いに敬意を表する間柄でもある。果たして、勝ち名乗りを上げるのは、『レヴィーセレッソ』か、それとも、『ミシャレッズ』か。「ゴールデンウィークで人もたくさん来てくれるだろうし、僕らにはホームという力があるので、ゴールデンウィークの締めにふさわしい試合ができるようにしたい」と柿谷。子供たちをはじめとした大観衆を魅了するような戦いを、両者には期待したい。

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2013.05.05 Reported by 前田敏勝