新潟と甲府は1-1で引き分けた。前半23分、甲府がMF佐々木翔のJ1初ゴールで先制すると、新潟は後半10分、FW川又堅碁の2試合連続ゴールで同点に。新潟がボールを支配するが、甲府がしのぐ展開で90分を終えた。
スタジアムが、この日最大の歓声に包まれた。後半10分、左サイドを突破した田中亜土夢がクロス。川又は中央に走り込みながら、甲府のDF土屋征夫を振り切ってヘディング。ボールはダイレクトにゴールネットに突き刺さった。
前節清水戦、プロ入り6年目にしてJ1初ゴールを決めた。丸5年以上かけて1点をつかんだ後、2点目はあっさりと続けてやってきた。「クロスの練習はしてきた。いい感じで打てた」。ここ3試合連続スタメンで2得点と、好調さが数字に表れる。
もっとも、「点を取っても勝てなければ意味がない」と自己採点は辛口だった。新潟はこの後、追加点を奪えなかった。大半の時間帯でボールを支配しながらも、甲府の守備を崩し切れなかった。川又も、同点弾の後、フリーで放った中央からのミドルシュートを外した。
それでも、期待のFWが結果を残していることには変わりない。注目度も高い。試合前日、クラブハウスには一対のステージ用の花が届いた。贈り主は「サポーター一同」。清水戦のゴールを祝しての豪華なお祝いに、「やっぱり気持ちが入ります。応えなきゃ」と気合十分だった。
連続ゴールにも「特に意識が変わったわけではない」と浮かれた様子はない。ただ、「前半はスペースを突きすぎた。後半は監督の指示もあり、裏を狙った」。勢いはあるが、ボールだけに意識が向いて視野が狭くなりがちだった欠点は、克服されつつある。そして「勝利に貢献したい。FWは点を取り続けないと」。新潟は今季初の連勝は逃したが、初めて2試合連続で勝点をものにした。川又はチームと自らの上昇を、連戦の5月にかける。
勢いに乗った新潟を甲府は食い止めた。「最後までプレスをかけてきたチームは今季初めて」。柏好文が言うように、終始新潟のプレスとポゼッションに苦しんだ。だが、前半はコンパクトな陣形を保ちながら、アタッキングサードでははね返し続け、シュートゼロに抑えた。そして一瞬の隙を突いてカウンター。前半23分、ウーゴのシュートのクリアボールを拾った佐々木がミドルシュート。「うれしいより、びっくりした」というJ1初得点は、チームが狙っていた流れからだった。
ストロングポイントを生かして先制したが、そこは諸刃の剣。前半に動かされたツケが後半に回ってきた。後半10分、サイドを崩されて追い付かれた。「少し疲弊があったかもしれない」。城福浩監督が言うように、前半の45分間、主導権を握られたことで、後半の立ち上がりの動きは精彩を欠いていた。
新潟の柳下正明監督も「後半の立ち上がり、相手の動きは重かったようだ」と言う。その隙を逃さずに、川又に裏を狙い続けるよう指示した。同点は読みどおり。一方、追加点がなかったことは「ここでたたみ込めるようになれば、上位にいけるが」と課題として受け止めた。
ともに持ち味を出しての引き分け。不完全燃焼な結果は否めない。ただ、どちらも着実に、チーム力の上積みがあることを示した内容でもあった。
以上
2013.05.07 Reported by 斎藤慎一郎(ニューズ・ライン)















