負けてはいない。しかし富山にとっては後味の悪いゲーム。終了間際に失点して追い付かれて4試合ぶりの勝利を逃した。エアポケットに陥ったような1分間の失点だった。後半44分、ロングボール処理の判断ミスからGK飯田健巳がワンバウンドしたボールをかぶってCKを与えた。鳥取はその左CKを途中出場のFW岡本達也が頭で競り勝ち、無人のファーサイドに流れたボールをMF奥山泰裕が難なく押し込んだ。
誰もが感じた嫌な流れが失点につながり、富山は悔やみ切れない。しかし得点した鳥取の奥山はその時、CKのこぼれ球に狙いを澄ましていた。小柄な彼は密集からは離れてこぼれ球を拾う役割が与えられているが、「独断で」普段よりもポジションを前に移していたそうだ。仲間を信じて賭けに勝った。10戦未勝利となったが「負けと引き分けでは大きく違う。全員が体を張ってファイトしたことは次につながる」と前向きに語った。
疲労を考慮しなければならない中2日の連戦。富山はGK守田達弥とMF朝日大輔の負傷もあり、前節からスタメンを6人入れ替えた。対する鳥取はDF柳楽智和の出場停止があり同じく2人を変えて臨んだ。
富山は出場選手のストロングポイントを全面に出し、相手のウイークポイントを突く戦いに徹した。スピード自慢のFW苔口卓也と今季初先発のFW木本敬介を走らせ、こちらも今季初先発だった技巧派のMF大山俊輔らがDF裏を狙って長めのボールを送った。鳥取は柳楽の不在と負傷者の続出で本職外をDFラインに起用せざるを得ない状況だった。シンプルだが相手の嫌がる攻撃を繰り返して圧力をかけたわけだ。開始7分、早くも3本目を数えたCKから幸先よく先制点奪取に成功。大山の柔らかなキックにDF舩津徹也が走り込みヘディングで決めた。
鳥取もFW久保裕一をターゲットにして前線にロングボールを送った。互いに大きく蹴り合う展開だったが、富山は大山やMF大西容平を中心にボールを落ち着かせることもできており、狙いあるパスで数多くの好機をつくった。対する鳥取は受け手と出し手との連動性に乏しく、富山のラインコントロールの前にオフサイドを連発して前半はシュート0本に終わった。
後半も富山ペースで進む。しかし追加点が生まれない。同14分にMFソ ヨンドクのクロスにMF國吉貴博がスライディングで飛び込むがわずかに届かず。20分には大山のスルーパスで苔口がGKと1対1になったがシュートは懸命に戻ったDFにブロックされた。
鳥取は後半に入ってフォーメーションを[3-4-2-1]から[4-2-3-1]に変更し、サイドの防御を強化してやや持ち直した。余裕のできたDF尾崎瑛一郎から精度の高いクロスが入るようになり、献身的に体を張る久保ら前線との連係で可能性のある攻撃が増えた。同23分、尾崎のフィードを久保が落とし、奥山がミドルシュートで狙う。30分にはMF実信憲明のスルーパスでFW住田貴彦が決定機を迎えたが、いずれも富山GK飯田の好セーブに阻まれた。
富山は36分の國吉のミドルシュートもポストに弾かれて結局2点目を奪えない。そのまま押し切るかにみえたが鳥取が最後に意地をみせた。
これで富山は4戦未勝利。上位との差は小さいとはいえ、早く次の1勝がほしい。そのためには先制後に追加点を奪う、あるいは無失点で抑えるのが近道だが、今回の試合が示すようにもうひと押しが足りない。踊り場を抜けて再び階段を上るために、さらなるパワーアップが求められている。
以上
2013.05.07 Reported by 赤壁逸朗















