試合後、「プラン通りだった」と柱谷哲二監督は振り返った。だが、そこには終盤に作ったチャンスの1つでも決めていればという前提がつく。9日間で3試合という過密日程の最終戦。両チームともにコンディション面で厳しい中でのゲームであった。それゆえ、前半から互いにミスの多いゲームとなった。
特にボールをポゼッションしながら主導権を握ろうとする水戸に顕著であった。「3連戦の最後ということで、結構厳しかったです。頭の中ではプレーのイメージがあるのですが、体がついてこないという場面が結構ありました」と内田航平が振り返るように、ボールを動かしてリズムを作ろうという意志は見せるものの、体のキレを欠き、長崎の積極的なプレスをかいくぐることができず、奪ってからシンプルに攻めてくる長崎に押し込まれる展開を強いられた。
だが、「お互い連戦でミスの多いゲームになるということは想定通りだった」と柱谷監督は言う。水戸は右CKから内田がクロスバー直撃のヘッドを放った10分の場面以外、なかなかリズムをつかめず、もどかしい流れとなったが、ここ2試合で5失点を喫している守備陣が気を引き締め直したことで安定感を取り戻し、風上で勢いに乗る長崎の攻撃に対して集中力高く対応し、無失点で前半を切り抜けることに成功した。
そして、後半に突入。試合前から柱谷監督は選手たちに「後半15分過ぎぐらいからが勝負だぞ」と伝えていたという。その宣言通り、59分に橋本晃司を投入すると、橋本がファーストタッチで決定機を演出。さらに63分には鈴木隆行をピッチに送る。鈴木隆が3バックの横のスペースで起点となり、2列目、3列目の攻撃参加を誘発。厚みのある攻撃で長崎ゴールに襲いかかった。両チームともに疲れが色濃く出た時間帯に、柱谷監督はチームのトップスコアラー2人を投入し、チームに勢いをもたらしたのであった。
2人の投入後、流れをつかんだ水戸は猛攻を仕掛け、再三長崎ゴールに迫った。68分、中央で橋本と鈴木隆がパス交換。そこからペナルティエリア右サイドに走った三島康平に展開。折り返しを橋本が合わせてゴールネットを揺らすが、三島がオフサイドの判定でゴールならず。さらに75分には再び右サイドの三島からの折り返しを橋本がフリーでシュート。だが、ゴール上に外してしまう。
そして、86分にこの日最大のビッグチャンスがやってくる。右サイドに流れた小澤司がゴール前に折り返し。ボールを受けた橋本がダイレクトではたくと走り込んだ三島がGKとゴール至近距離からフリーでシュート。しかし、GKの好セーブに阻まれ、ゴールならず。「プラン通り」に進めてきた試合は、その瞬間、「プランが狂う」こととなってしまったのだ。一方、長崎の高木琢也監督は「ラッキーな部分に助けられたゲームだった」と胸をなでおろした。負けない長崎、勝ち切れない水戸。同じ勝点1でも意味合いはまったく異なるものとなったのであった。
これで10試合負けなしとなった長崎。J2新規参入チームとして快進撃を続けている。この日も連戦で苦しい状況の中、ハードワークを続け、最後まで体を張った守備を見せた。今節の結果、G大阪を抜いてJ1自動昇格圏内の2位に浮上。「負けない」強さを見せた長崎。策士・高木琢也監督のもと、快進撃はまだまだ続きそうだ
水戸にとっては手痛いドローだ。この3連戦、いずれの試合も内容を見る限り、勝っていてもおかしくない試合であった。それにも関わらず、2分1敗と1勝もすることができなかったことが悔やまれる。内容は着実に向上しているものの、勝負強さがまだまだ物足りないと言わざるを得ない。攻撃においても、守備においても、「ほんのちょっとしたところ」に日々のトレーニングからこだわれるか。自分たちの手で勝利を引き寄せる力強さを身につけなくてはならない。
以上
2013.05.07 Reported by 佐藤拓也















