結果だけを見れば、2-2の引き分け。勝点1を分け合う形となったC大阪と浦和だが、「内容としては、今季のJリーグのなかでベストゲームと言えるゲームだったのではないかと思う」(C大阪、レヴィークルピ監督)、「今日観に来られた多くのサポーターの皆さんにとっては、非常に緊張感のある、内容のいい、面白いゲームだったのではないかなと思う」(浦和、ペトロヴィッチ監督)と、両指揮官も述べるとおり、ともに持ち味を発揮。今節最多となる32,378人の大観衆を集めた大阪長居スタジアムを熱狂させるような、最後まで目の離せない好ゲームが展開され、試合終了後にはスタジアム全体からピッチ上の選手たちに拍手が贈られていた。
そのなかで、「終始、自分たちがボールを保持している状態」と今季初先発した矢島慎也も言うように、前半から主導権を取っていたのは、アウェイチームの浦和だった。キックオフ早々から右サイドの平川忠亮がC大阪ゴールを脅かすシュートを放つと、中央、サイドとうまく使い分けながら攻撃を仕掛け、再三決定機を作り出したが、「多くのチャンスを我々が活かすことができなかった」(ペトロヴィッチ監督)。
一方、前半は耐える時間も長かったC大阪だが、「前半にも少なかったけど、チャンスはあった」(扇原貴宏)。40分には山口螢の右クロスから、ニアに飛び込んだ柿谷曜一朗は触れなかったものの、その後方で詰めていた枝村匠馬がゴールライン近くにてヘッドで合わせるという形も作った。しかし、このシュートはクロスバーに直撃。前半は浦和とともにスコアレスで折り返した。
後半も森脇良太が強烈なミドルシュートを放つなど、浦和の攻勢からスタートしたが、先に均衡を破ったのは、C大阪だった。63分、決めたのは、若き大型ストライカー、杉本健勇。敵陣ペナルティーエリア手前での相手DFのパスをカットしたシンプリシオが丁寧にパスを送ると、今季から20番を背負う若武者が、右足一閃。「イメージ通り」というシュートは、鋭い弾道で浦和ゴールに突き刺さった。これが彼にとっての今季初得点。「入ったときには正直うれしかった」(杉本)。
ホームチームの先制点で俄然盛り上がったスタジアム。ただし、そこで冷静だったのは、浦和のペトロヴィッチ監督だ。失点後、原口元気、梅崎司を立て続けに投入し、リズムを変えに行くと、その采配がズバリ的中した。71分、C大阪CKをGK加藤順大がキャッチすると、原口へクイックスロー。自陣からドリブルで突き進んだ24番は、あれよあれよと敵陣まで、約70mを単独突破。巧みなステップでC大阪DFを翻弄すると、絶妙のタイミングで左足を振り抜き、ゴールへ流し込んだ。
このスーパーゴールで勢いづいた浦和は、82分、マルシオ リシャルデスのCKから那須大亮がヘッドでゴールを決め、逆転に成功。それまではパスサッカーで崩しながらも得点に至らなかったアウェイチームは、2度、個の力で、C大阪ゴールをこじ開けた。
だがしかし、これで意気消沈するC大阪ではなかった。逆転された直後、杉本と、この試合でほとんどボールに絡めなかった柿谷に代えて、楠神順平とエジノを送り込み、反撃にかかると、76分に投入されていた南野拓実を含め、この交代3選手が絡んで、同点弾が生まれた。87分、エジノのポストプレーを起点にチャンスを作り出すと、扇原の左クロスに南野がファーサイドで競り、このボールを楠神がゴール前へ折り返す。そして、DFがクリアしきれなかったセカンドボールに、走り込んできたのは、山口螢。軽く弾んだボールを、叩きつけるように右足で合わせると、強烈なシュートがゴールネットに吸い込まれた。
場内の興奮は最高潮。C大阪も浦和も、サポーターの強烈な後押しも受けて、アディショナルタイム4分の間に、勝ち越しを狙う壮絶な展開が続いた。C大阪ではシンプリシオと山口、浦和では興梠と原口にシュートチャンスがあったが、どちらも惜しくもゴールにあと一歩及ばず。タイムアップの笛が鳴ったあとは、両軍の選手とも座り込む選手が目立ち、悔しさをにじませていたが、十分に見応えのある90分の攻防だった。
「欲を言えば、自分たちのミスからやられているので、もうちょっと細かいところを考えてプレーしていかないといけない」(C大阪、杉本)、「前半で少しゲームを決められるくらい、ゴールだったり、そういう結果のところに対して反映できれば……」(浦和、槙野智章)と、互いに課題も見つかった試合ではあった。C大阪はホーム4戦未勝利、浦和もリーグ戦3試合連続で白星から遠ざかったという現実もある。しかし、C大阪も浦和も、様々な面において、力強さ、巧さ、攻撃力の高さを示した試合でもあり、この一戦を今後への糧にすることが、両者が上位へ食い込み続ける要素となるだろう。
以上
2013.05.07 Reported by 前田敏勝















