第7節大分戦でリーグ戦初勝利を収めて以降、ヤマザキナビスコカップを含めて湘南は白星を得られていない。前節は敵地で鹿島に挑み、0−1で敗れた。現在、公式戦4連敗中だ。
鹿島戦は結果的にダヴィの痛烈な一撃に沈んだ。「ダヴィには去年1本もやられていなかったので、それを含めて悔しい」と語られた鎌田翔雅の言葉は、90分全体を見れば決して悪い内容ではなかったということの裏返しだろう。実際、敵のチャンスは限られ、「あと一歩のところをみんなしっかり出せた」と島村毅が語れば、古林将太は「いいかたちで攻めることができた」と攻撃のリズムに触れている。「勝たなければいけないという前提の話だが」と、馬場賢治が釘を刺したように当然満足は遠く、内容に見出した手応えが敗戦の悔しさをいっそう募らせる。
この4敗に等しくつきまとうのが、点を取れていないという事実であり、突き詰めれば先制点を取れていないことに行き当たる。人数をかけた攻撃を志向する湘南にあって、先に失点すればリスクの目盛りをさらに上げざるを得ない。かたや相手は人数をかけて守り、カウンターの意識を高くする。試合終盤に向け、上下動がボディブローのように効いてくる。失点がかさんだ第8節C大阪戦と第9節磐田戦をはじめ得失点差が大きく開いているのは、湘南の志向を思えばこそ、先制点との係わりが決して浅くはないだろう。
くだんの磐田戦で苦汁を嘗めたようなゲームの入り方は修正されている。守備は機能し、惜しい場面も少なくない。「チャンスはつくれているし、1点取れればさらに波に乗れるはず。みんな落ち着けるし、精神的な面でも大きい。先取点はほんとうに大事やと思います」大槻周平がそう語るように、ゴール前の精度はもちろんのこと、その勝負の機会を増やし、まずは先制点を奪いたい。
まずは――言うまでもなく、ゲームは長い笛を聴くまで分からない。先制点を奪えたからといって勝利が担保されるわけではなく、奪えなければ終わりという話でも無論ない。ともすれば強者の真価はその後に発揮されるのかもしれない。今節BMWスタジアム平塚に乗り込むF東京がまさしくそうだ。磐田をホームに迎えた前節、F東京はセットプレーを含め、前半のうちに2失点を喫した。だが後半に入り、石川直宏のゴールで1点差に詰め寄ると、間もなく笛が鳴ろうかという90+3分に李忠成が仕留め、瀬戸際で勝点を手繰り寄せた。サイドから攻略した、いずれも鮮やかなゴールシーンだった。
思えば今季、湘南がタイキャンプを終えて帰国後初めて対戦した相手がF東京だった。チームづくりの初期段階ゆえ、1−4という結果はさておくとしても、寄せがほんの一瞬でも遅れればゴールまで持っていかれるといったJ1の厳しさを味わったものだった。現在7ゴールで得点ランク2位の渡邉千真も、かのトレーニングマッチで決めたひとりである。
そんな強者との一戦を週末に控え、曹貴裁監督はゲーム戦術の大切さに触れながら、「粘り強く、泥臭く」と口にした。ポゼッションに対する志向の異なる両者の対戦である。湘南にあっては、指揮官の言葉どおり、F東京の時間をいかに凌ぎ活路を見出すかに尽きよう。受け身という意味ではもちろんない。湘南らしいサッカーは連敗とは裏腹に体現されつつある。相手が強ければそれだけ、挑戦への意欲は増そうというものだ。
以上
2013.05.10 Reported by 隈元大吾
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